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おなかがすく話

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日本文化とごはん、カルチャー類 うつくしいものを書き留めます
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#レビュー

永い、永い言い訳

永い、永い言い訳



なんだかどうしようもなく苦しくて、何度も何度も顔を覆い隠して、深いため息をついた。どうしてそんなこと言うの、どうしてそんなことするの。そんなことの連続で、愛しきれない主人公と自分が、いつの間にか重なっていることに気がついてしまったりして、また深いため息をついた。

私の3メートル上くらいから見下ろすカメラのようなものがあって、他人ではないほどよく客観的な私が、あーだこーだ言ってくれたら、もっと

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おっさんとドローンからみた新世界

おっさんとドローンからみた新世界



アナログな人間だから未来を嫌っているわけではなく、ただただ、テクノロジーに洗脳されて自分の感覚が弱くなることにおびえているだけ。近未来的なものにワクワクしないし、強くなりたくもない。土にまみれて遊んで、効率とは遠くても魂と近い世界で生きていたい、ってそう思う。

ただ、未来はおっさんにも私にも70歳のおばあちゃんにもおとずれる。長く生きすぎたって、私もいつか言うのかな。一生懸命覚えたかけ算も漢

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映画「言の葉の庭」



「あなたがいたから僕がいる」

あなたと食べたラーメンや一緒に観た映画、知らなかった音楽とバンド、好きだといってくれた髪型、住んでいた街、夜中の2人乗り。もう引き返せないほど孤悲をしていた。強烈な孤独と戦う、私が私を信じることでしか相手と向き合えなかった。もっと、吐きそうなほど怒鳴り合いたかった、怒りをぶつけて泣き叫べばよかった。もっと、甘えればよかった、わがままを言えばよかった。可愛くなかっ

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しろいろの街の、その骨の体温の

しろいろの街の、その骨の体温の

「しろいろの街の、その骨の体温の」村田沙耶香

無償に泣きたくなった。

覚えてもないような思い出が

走馬灯のように身体を掻き毟る

痒い 怖い 寂しい

あの頃は全然楽しくなかった

すごく美しい恋愛映画を観て泣いた

魔法使いになるための努力だってした

本と映画とカラフルな絵に救われてた

本を抱えて帰ることが誇りで、

大人に褒められることで頭の悪い子たちを蔑んでいた

小さな三角形の中

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