なぜ「シニヨン」と言いたくなるのか。
平日の昼。
私は、公園でお昼を食べることが多い。
外は気持ちがいいし、一人がいいから。
その公園。
だいたい、同じような一人お昼仲間が集まる。
もちろん、みんな顔も知らない他人。
カット野菜の袋に、ドレッシングをインして箸で食べる20代くらいの女性。
あんぱんとコーヒーが定番の、30代くらいの男性。
そして…
必ずぬい撮りをしてから弁当を食べる、50代くらいの男性。
みなさんは、どの人物が気になっただろうか?
…
やはり、ぬい撮りの男性ではないだろうか?
私は、この男性に合うことをほんの少し楽しみにしている。
その男性は、売店で買った弁当を持参。
そして、それをベンチに置いたあと、もぞもぞとリュックの中からぬいぐるみを取り出す。
これは、ぬいぐるみの声が聞こえたように感じただけで、実際に誰かが発した声ではない。
このぬいぐるみ、何のキャラクターなのか全く分からないが、青い髪をしている。
それをいつも、弁当の横に並べて
控えめに「カシャッ」と写真を取る。
そして、すぐにリュックへと戻っていく。
そんな声が聞こえた…ような気がした。
(だから、誰…)
で、この男性が気になる理由がもう一つある。
それが、ヘアスタイルである。
何を隠そう(?)、お団子ヘアなのだ。
雑なお団子ではなく、しっかりと髪がネットに収められている。
これは、あれだ。
そう、
シニヨン!!
説明しよう。
シニヨン。
思わず口にしたくなる言葉…ではないだろうか?
異論は認める。
でも、なぜか言いたくなってしまう。
似たような言葉は、他にもある。
パピヨン。
そう、島谷ひとみだね。
ぴえヨン。
そう、推しの子に出てくるYouTuberだね。
あとは、
クロマニヨン(クロマニヨンズ?)とか。
…
パピヨン、ぴえヨンについては
なんとなく、口にしたい理由はわかる。
パ行の破裂音は、人気のアニメやキャラによく使われる、って聞いたことあるから。
アンパンマンとか、プリキュアとか。
ポップな響きが楽しいもんね。
でも、シニヨンはどうだろう?
そこに、破裂音はない。
ゆえに、ポップさはない。
むしろ、落ち着いている。
なんだろう、シニヨンの「シニ」が持つ
シニア感だろうか。
あれ?
フランス語が語源だって書いてあったような?
ってツッコミは一切受け付けていない。
******
ということで、
なぜ、「シニヨン」と言いたくなるのか。
答えは、分からない。
でも、言いたい。
シニヨン、と言いたい。
すべてのことに理由があって、すべてのことに説明がついたら、それって退屈ではないだろうか?
分からないから、面白い。
分からないけど、口にしたい。
そんなものがあっても、いいのではないだろうか?
…
今日は、シニヨンの男性に会えなかった。
明日は、会えるだろうか。
…
シニヨン。
シニヨン。
明日はきっと、シニヨンに会える。