![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41908402/rectangle_large_type_2_80af3a8c63e9bfdeb2e1a4d86689186b.png?width=1200)
食品ロス削減につながる簡単で効果的な取り組み
■ セブンイレブンでおにぎりの消費期限が2倍に
セブンイレブンのおにぎり消費期限2倍の取り組み、本当に良い取り組みだと思います。工夫のポイントが窒素というのも好きです。化学物質で酸化を抑えるわけではなく、
袋の中に充満している気体が空気じゃなくて窒素だったら
無害だし酸化しないんじゃね?
という発想がとても良いと思います。
また先日、ローソンも発注にAIを導入することで廃棄ロスを3割削減しようとする取り組みが出てましたね。
■ 食品ロスの削減に気象データを活用
普段このnoteではあまり仕事の話はしませんが、現在の取り組みにも共通する所があるので少し紹介させてください。
食品ロスをなくすためには、こうした加工段階の工夫や需要予測の精度向上など、様々な対策があります。私が関わっている商品需要予測プロジェクトでも、気象データを利用した需要予測を行うことで食品ロスの削減に貢献してきました。
具体的には、相模屋食料さんの寄せ豆腐の需要予測に気象を導入することで約30%の精度向上を果たし、食品ロス削減に貢献することができました。また、Mizkanさんの冷やし中華つゆでは、長期の気温予測から冷やし中華つゆの需要を予測することで、シーズン終盤の最終在庫を約20%削減することができました。
また、これらの取り組みにより、平成28年度の「省エネ大賞」で経済産業大臣賞(ビジネスモデル分野)を受賞することができました。
現在も食品・アパレルなどの気象の影響が大きい分野から、少しずつではありますが着実に、気象データのビジネス活用が進んできています。
私のミッションはこれらの活動を通じて気象データ活用を社会に普及させることなので、今後も様々な分野で取り組みを進めていきたいと思います。
■ 予測よりも食品ロスの削減に効果があるもの
その取り組みの中で分かった事なのですが、個社で需要予測の精度や食品の加工方法の変更、配送の最適化などの対策を行うこと以上に、食品ロスの削減に効果が出る取り組みがあります。そしてそれはAIなどの高度な技術を使わなくても、誰でも簡単に行うことができます。
その取り組みはズバリ、「予約」です。
「えっ・・・?当たり前やん・・・。」と肩透かしになった方もおられると思いますが、でもその通りなんです。予約こそが食品ロスの削減に一番効果的な取り組みだと考えています。
ホテルやレストランの予約など、私たちが何気なく当たり前に行っている予約という制度を、企業間の取引でも当たり前に行うことができれば、確実に食品ロスを減らすことができると考えています。
―――
例えばお豆腐を例に挙げると、豆腐の製造には2日間かかるため、発注のタイミングが納品の1日前だと、メーカーでは発注の前日から仕込みをしておく必要があります。これを見込み発注と言います。
しかし、発注のリードタイムが1日前倒しされて2日前になると、メーカーでは、注文された個数を生産すれば良いので、見込み違いによる食品ロスは実質ゼロになります。これを完全受注生産と言います。
これは受注側と発注側の取り決めが必要ですが、この取り決めさえ実現できれば、注文された数を作ればいいので予測の精度は実質100%となり、需要予測の精度をいかに向上させてもかなわない成果になります。
―――
日本気象協会では、この取り組み(※)について、相模屋食料さんと関東地方のスーパーで実証実験を行いました。この実証実験では、スーパーからの発注リードタイムを現在の1日前から2日前へ前倒しをすることで、豆腐の発注を受注生産に切り替える試みでした。
( ※ こうした取り組みはCPFRと呼ばれています。)
この実証を行うことで、メーカー側で見込み生産を行う必要がなくなり、このスーパーに向けた商品の生産段階で発生する見込み誤差(→食品ロス)はほぼゼロになりました。
しかし小売りさんも発注を前倒しにすると、欠品や廃棄などのリスクが大きくなってしまいます。しかしこの実証実験では、気象を使った需要予測を活用することで、発注タイミングが1日前倒しになったにもかかわらず従来の予測よりも精度が向上したため、小売り・メーカーともに嬉しい結果となりました。
相模屋食料さんの取引先はこのスーパーの他にも数多くあるため、1社だけでは大きな効果は得られません。同じような取り組みをより多くの企業と連携をすることができれば、製造段階で発生している食品ロスを大幅に減らすことができると思います。
また、この実証はメーカーと小売りの業態の連携でしたが、同じように小売りと消費者の関係でも、予約は食品ロス削減に効果的な方法です。例えば数年前に廃棄が問題になった恵方巻ですが、予約注文に切り替えることで大幅に廃棄を削減することができます。そのため皆様も、積極的に予約注文に切り替えることで食品ロス削減に貢献することができます。(^^)
■ みんなで頑張る方がいい
1人で頑張るよりも、同じ目的を共有してみんなで頑張る方が、得られる効果が大きいこともあると思います。そしてそれが食品ロスのように社会的な課題であれば、個社で進める取り組みに加えて、このように各社で情報を共有して進める方が、大きな成果につながることは明らかです。
どうしてもビジネスの世界では個社の利害関係や取引が複雑に絡み合っていてなかなか企業が連携した取り組みは進めづらいので、私たちのような第三者が仲介することで、こうした企業連携の取り組みを進めやすくなるのではないかと考えています。
気象という、色々な人々や企業の活動に関係する立ち位置だからこそ、業界や業態によらない横断的なアプローチで貢献ができるのではないかと考えているので、今後も色々な取り組みを試してみようと思います!
ではまた(^^)