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【映画】落下の解剖学を観た話


田舎なもので、小さな劇場でしか上映していなかった「落下の解剖学」がAmazon primeに追加されていたため嬉々として観た。怠惰なわたしは二分割した上に休憩を挟んだ。家で観て良かったと思った。
数年振りにnoteに感想を残します。

※たくさんネタバレします。 ご自衛ください。



あらすじ

本作はフランス映画ということで英語音声がない。日本語吹替で観たが、本編にも絡むことでフランス語音声の字幕で観るのも良かったかもしれないと思った。
ドイツ人とフランス人の夫婦、事故で弱視の息子とその介助犬。フランスの山奥で暮らす彼らに事件は起こった。父親であるサミュエルの転落死現場を発見したのは息子ダニエル。殺人の容疑者として裁判にかけられる母親のサンドラ。その弁護士を務めるサンドラの友人のヴィンセント。転落死が故意か過失か殺人かを見極めていく上での主要な登場人物はこの4名。サスペンスに振り切って、証拠を集めていくのかと思いきや、法廷で、客観的にサンドラやダニエルが話すこと、サミュエルが遺した物を見ていく。まさに事実を“解剖"していく。


解剖学という点

観ている者として、1番重要なことは、サミュエルの死が完全なる事故だったのか、絶望感からの自殺だったのか、それともサンドラとの夫婦喧嘩の延長による殺人だったのかという真相がはっきりすることだと思う。しかし、最後までそこは明らかにならない。無罪だったというだけ。
その後サンドラは、「(無罪になると)ほっとするのかと思っていた。ただ終わっただけ。」とこぼすが、その言葉はどちらにも取れてしまう。事実、殺害したから無罪になってホッとするはずだったのか、急に夫を失ってしまった喪失感がいつまでも続いているということなのか。分からない。
落下事故が故意だったのか、殺人だったのか、という点よりも、話が進むに連れて、夫婦の歩んできた道、会話、息子と各々の関係性、妻の言い分と夫が遺した事実など、落下事故を起点として一枚ずつ家族の本性が現れていくさまがこの映画の面白いところだと感じた。

さいごに

法廷の場面や会話が多いため、推理小説を読むぞというような気持ちで集中して観ないと気付くと流し見してしまう。けれどしっかり映像に引き込まれる。不思議な感覚だった。
あと、なんといってもスープ役の犬がとても名役者でお見事だった。犬って本当に賢いんだなぁ。


★★★⭐︎⭐︎


よき


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