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山崎与次兵衛アーカイブ:三輪眞弘

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これまでWebページ、Blog記事などの形で20年に亘って公開してきた三輪眞弘さんについての文章をアーカイブ。
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#シンギュラリティ

「参考文献要約表:三輪眞弘を理解するために」 表の見方と説明(2019.8.15)

[はじめに] 以下のレジュメは、「参考文献要約表:三輪眞弘を理解するために」の説明を目的として、2019年8月15日に大垣のIAMAS(情報科学芸術大学院大学)で開催された、共同研究「『システム内存在としての世界』についてのアートを媒介とする文理融合的研究」の研究会で行った発表用に用意したものです。要約表は、「参考文献:三輪眞弘を理解するための300冊+3冊」の文献を、文献が描き出す「星座=布置」の或るバージョンを提示することにより要約することを目的としたものです。発表の機

モノローグ・オペラ「新しい時代」の再演に接して(後半)

(承前) 0.はじめに 以前私はこの作品を含む「新しい時代」の系列の作品群について「ミイラ取りがミイラになる」危険について記したことがある。この作品に先行し、かつ四人のキーボード奏者がフォルマント合成の原理によって「言葉の影」を浮かび上がらせるという側面を共有する「言葉の影 またはアレルヤ」ともども、少年Aの事件やオウム真理教の事件との関わりについてはしばしば言及されてきたのだが、「ノンフィクション作曲」であったり、架空の教団の典礼音楽という体裁を取ることは、そこに批判

「科学技術終結期」に旧人によって書かれたメモ

三輪眞弘「感情礼賛」(2008年11月7日初演)「今年の感情礼賛について 《学長の挨拶》」(「三輪眞弘音楽藝術」所収) (...) 意識は存在しないのか?クオリアは存在しないのか? 意識は存在しない、或いは、クオリアは存在しない、といった言い回しは、 人を驚かし、興味を惹き付けるレトリックとしての意義はあるだろう。 だがそうした主張は、決まってまず、意識なりクオリアなりの定義が曖昧であることを 指摘し、自分なりに意識なりクオリアなりを定義し直し、そして自分の定義した 意識