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山崎与次兵衛アーカイブ:三輪眞弘

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これまでWebページ、Blog記事などの形で20年に亘って公開してきた三輪眞弘さんについての文章をアーカイブ。
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2024年11月の記事一覧

意識と音楽:「人工知能と音楽の未来」および「三輪眞弘を理解するための要約表」に向けてのプロレゴメナ(2002~:未定稿)

公開にあたっての注記:  以下の文章の「現在」は既に10年以上も前の時点を指していることをまずお断りしておきます。時期的には、三輪さんについての最初の文章「覚え書」の時期にまで遡り、その後、しばらく公開をした後、紆余曲折を経て一旦撤回し、放棄したものですが、昨年の「人工知能と音楽の未来」の対談にあたり、検討の出発点となった内容を含むため、「人工知能と音楽の未来」の前史として、更には今後補足説明を加えていく予定である「三輪眞弘を理解するために:要約表」のいわば「プロレゴメナ」

モノローグ・オペラ「新しい時代」の再演に接して(後半)

(承前) 0.はじめに 以前私はこの作品を含む「新しい時代」の系列の作品群について「ミイラ取りがミイラになる」危険について記したことがある。この作品に先行し、かつ四人のキーボード奏者がフォルマント合成の原理によって「言葉の影」を浮かび上がらせるという側面を共有する「言葉の影 またはアレルヤ」ともども、少年Aの事件やオウム真理教の事件との関わりについてはしばしば言及されてきたのだが、「ノンフィクション作曲」であったり、架空の教団の典礼音楽という体裁を取ることは、そこに批判

「新調性主義」を巡っての断想

(…) 本当は「「時の逆流」および時間の「感受」のシミュレータとしての「音楽」に関するメモ」でその射程を示したコンピュータによる音楽作品のMIDIデータ分析と、そのそもそものきっかけとなった「新調性主義」との関連付け(但し両者が最初から本質的に関連していて、「新調性主義」の派性としてMIDIデータ分析が位置づけられるわけではなく、その結びつきには少なからず偶然が関与していて、寧ろそれ故に確認の必要に迫られていると言うべきなのかも知れませんが…)を改めて確認し、整理しようと思

人工知能と音楽の未来・梗概と補遺

0.はじめに以下は、今年(2018年)の3月24日にロームシアター京都で行われた三輪さんとの対談「人工知能と音楽の未来」の梗概と若干の補遺である。対談はロームシアター主催の「「いま」を考えるトークシリーズ」の第4回として企画されたもので、主催者による要約は別に公開される(注)ので、ここでの目的は寧ろ、対談という枠組で、その場の状況に応じて展開された内容の再現というよりは、枠組の持つ様々な制約から避け難く生じた単純化に対して最低限の補正を試み、そこでは主題的に掘り下げることが