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宵々小灯~2000字以下の掌編小説~

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「宵々小灯」(よいよいこあかり)と称した、自作の2000字以下小説のまとめです。ツイッターでは「#宵々小灯」で公開しています。フリー朗読台本として公開している作品もありますので、…
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2022年11月の記事一覧

星の万華鏡【短編小説・フリー朗読台本】

「好きなものを『覗いて見て』あなただけの万華鏡を作ろう!」  そんな売り文句の書かれた、不思議な万華鏡を、僕は買った。  その夜、僕は万華鏡を使って、お気に入りの星を『覗いて見た』。  きらきら輝く、青色の星。僕のお気に入り。覗いた万華鏡では、僕のお気に入りの星が何個にも増えて輝いた。くるくる回せば、星は金平糖みたいに転がった。  万華鏡から目を離して夜空を見れば、そこに、僕のお気に入りの星はなくなっていた。  でも気にしなかった。僕のお気に入りの星は、いま僕の手の中、

ラピスラズロゥ星空保護区【短編小説・フリー朗読台本】

 ラピスラズロゥ星空保護区は、その名の通り、星空が保護された草原地域です。まさに宝石のラピスラズリのようなので、それを元に名付けられた保護区です。  人の技術と文明が栄え、夜でも街が明るくなったことにより、多くの星が、その真上で生きることができなくなり、消えてしまいました。  星が減っていることに気付いた人々は、残っている美しい星空を守るべく、いくつかの保護区を設けました。この夜空の下では、星が参ってしまうような明るく大きな光は禁止されています。もし大きな光を持ち出す人が