真夜中インク【短編小説・フリー朗読台本】
深夜の二時に、明かりを消してベッドに入る。
すると暗闇がまるで呼び水のようになって、胸の奥で何かが疼く。
それを具体的に何と言ったらいいか、わからないけれど、一言で言えば「もやもや」だった。音はしないがひどくうるさくて、本当に気持ちが悪いわけではないものの吐き出したくて、とにかく何か悪いもので、熱にうなされるように、私は何度も寝返りを打つ。
ついに息が詰まりそうになって、起き上がる。
こういう時は注射器がいい。
注射器を手にとって、胸に刺す。ちくりとした痛み