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言葉の宝箱 0142【孤独も貧困もいじめも、言葉がなくなればやがて消えてしまうかもしれない】

『美しい家』新野剛志(講談社2013/2/5)


妻子と別れ一人で暮らす
作家の中谷はある夜コンビニの前で酔った女を助ける。
連れ帰った部屋で女が語ったのは幼いころの不可思議な記憶。
中谷はその過去を辿ることになる。
同じ頃一人の青年が幼少期の恩人を探し出そうとしていた。
その3人は誰も家族を持たなかった。
重なり合った孤独の先にあるのは光か、それとも?
高校時代に姿を消した姉の行方を捜しつづけている作家の中谷。
「あたしが関わるひと、みんな死んでいく」という26歳の亜樹。
子供の頃に“教授”と目指した黄金の里に行きたいと願う友幸。
一人で生きていながら、いつも誰かを求めていた三人の孤独が交錯し、
家族の真の意味を問い直すミステリ。

・援助交際もリストカットも、
名前が付かなければそんなに広がらなかったに違いない。
孤独も貧困もいじめも、
言葉がなくなればやがて消えてしまうかもしれない。
家族はどうだろう。消えるのだろうか P85

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