言葉の宝箱 0101【いつだって遣り直せるんだよ。一歩目は大変だけれど、二歩目からは思ったより楽しめるもんよ】

『オーディションから逃げられない』桂望実(2019/2/5)

「あなたらしくいればいい」と世間は謳うが、他の誰かと比べてしまう。
渡辺展子はいつも「ついてない」と思っていた。
中学でできた親友は同じ苗字なのに学校一の美女の久美。
同じ「渡辺」でも、注目されない方の「渡辺」になった。
絵が好きで美術部に入るが、
そこには「一風変わった絵」を描くだけなのに
なぜか注目も評価も集めてしまう同級生がいる。
就職活動をしてみれば、仲良し四人組の中で自分だけ内定が取れない。
幸せな結婚生活を夢見ていたのに、旦那の会社が倒産する。
いつも選ばれなかった女性の、それでも幸せな一生を描く。
他人と比べながら生きてきた展子が手に入れた、本当の幸せの形とは？

この本はこう終わる
「選んで選ばれて、合格して不合格になって……。
それが人生なんですよね（略）
先のことはわかりませんが、選ばれなかったことも楽しめるような、
そんな人になりたいと思っています　P340」

・世の中には理不尽なことが溢れている　P4

・顔の良しあしはその人の人生に大きな影響を与えますでしょ。
美人と美人じゃない女では、
なにをするにせよスタート地点が違いますからね　P28

・子どもだったんです。
自分だって好きか嫌いかでいろんなことを選別している癖に、
選別されることは理不尽だと思っていたんですから　P57

・物理的なものを超えようと努力して欲しかったです。
せめて努力するフリでもね。
途中で落とされる危険もあるのだと知って、恋愛が怖くなりました。
一瞬たりとも気が抜けないのだと思い知りました　P79

・どうしてこんな人を好きになっちゃったんだろう。
会っている時は楽しいけど、
その何倍も悲しい目に遭わされているのに　P85

・比べるのはよくないと言う人はいますね。
その通りです。よくないと思います。
よくないけど、やってしまうものなんです。
人のことだって、服のことだって、すべてのことをね。
その時になにを第一にするかで、結論は大きく変わりますよね（略）
好きを第一に考えるのか、それから先の人生を第一に考えるのか。
難しい選択です。どっちの方が幸せかわかりませんから　P110

・説明しなくちゃ説得できないアイデアなんて、
そもそも大したことがないのよ　P154

・やりたいことがあったら先延ばししちゃダメだよ　P206

・こんな終わり方は嫌だって思ったの。
私はまだなにもしてないのにこれで死ぬのは嫌だって　P232

・自分のために平気で嘘を吐き続けられる人　P233

・人の感情って、無駄とか効率とかは別の次元にあるものだから　P251

・正しさって人を傷つけるんだよ　P293

・解決できないことってあるわよね、世の中にはたくさん。
それを無理して解決しようと考えていただかなくていいんですよ。
こっちはただ愚痴を言いたいだけなんだから。
そういう時の対応の理想はね、愚痴を聞いてくれて大変だったねと、
なんとかなるさと言ってくれることだと思うの　P316

・いつだって遣り直せるんだよ。
それにね、一歩目は大変だけれど、
二歩目からは思ったより楽しめるもんよ。
だから遣り直しを楽しんで　P322

・謝るなよ。人は間違うもんなんだからさ。
間違ったことで、本当に大事なものがわかったりもするんだよ。
遣り直せるさ、きっと　P326