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言葉の宝箱 0328【自分のことって案外わからなかったりするのよね】
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欲望に蓋をして生きていくつもりだったけれど。
第10回R-18文学賞大賞受賞作。
アルコール依存から脱することのみを目的に生きる女。
「きみとはもうセックスしたくない」と夫から宣言された女。
母になるか否かを考え続ける女。
もっと愛したい、もっともっと愛されたい、なのに。
40代を漂う彼女たちが見つけた、
すべて剥がれ落ちた果ての欲望の正体とは。
女の危うさと哀しみをあぶり出した、
『結婚について私たちが語ること、語らないこと』『花車』
『母にならなくてもいい』『残欠』
『熊沢亜理紗、公園でへらべったくなってみました』『べしみ』
6話連作短編集。
・結婚して幸せになれるとは限らないと実感している P24
・「結婚したという安心感」は、
長い間結婚できなかった者からすれば
喉から手が出るほど欲しいものだけど、
たかが結婚と思っている人には愚かしいものだろう P41
・稼ぎは増えるというのは、何とも言えない安心と自信を与えてくれる。
お金の心配が減って、気が大きくなる P104
・夫婦のことはその二人にしかわからないことが多いんだから、
離婚がいいとか悪いとか、そういうことは言うなと念を押されたけど P157
・好きでたまらない相手に対してどれくらいの距離を保てばいいのか、
いまだにわからない P184
・自分のことばーっかり考えてると、大抵行き詰まるから。
自分を見つめないこと。
そんなヒマがあったら、他人を見つめたほうがいいよ P261
・自分のことって案外わからなかったりするのよね P276