言葉の宝箱 0097【小説っていうのは作り話なんだよ】
『我慢ならない女』桂望実(光文社2014/3/20)
あらゆることを犠牲にし、
小説を書くことに全身全霊を傾ける作家の樺山ひろ江。
秘書として支え続ける姪の明子だったが、
気難しい性格のひろ江は編集者たちに煙たがられる存在。
6年前に出したデビュー作のドラマ化をきっかけに状況は一変。
作品は売れ、執筆依頼も殺到する。
浮き沈みの中、絆を深めてゆく二人の女性の人生を描いた長編。
・心根の優しい子。そんないい子は、作家には向かない。
文章力や描写力といった技術以前に大事なのは、
人間の嫌な部分をどれだけえぐり出せるかということ。
性格のいい子の書く小説には、いい人しか登場しない。
誰がそんな温いお伽噺を読みたがるだろう P13
・女は美人じゃなくていい。物静かで、慎み深いのがいい P21
・四人でいても、気持ちと言葉がすれ違うばかりで、
一人でいる時より一人を感じてしまった P22
・見ようとしなければ、目の前にあったって、見えないもんさ P78
・夫婦になろうって
男に気を許していないってのは、どうかと思ってさ、心配してたんだ P202
・なにが辛いって、
自分より実力のある同業者を見た時ほど、辛いものはないんだよ。
自分の力のなさを、自覚させられるってことだからね P223
・小説っていうのは、昔々あるところにで始まる、作り話なんだよ P230
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