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言葉の宝箱 0283【不安というのは寂しがり屋だ。次なる新たな不安の仲間を招き、胸を押しつぶしてくる】


『天使の報酬』真保裕一(講談社2010/12/20)


サンフランシスコで日本人女子大生霜村瑠衣が失踪し、
日本から駆けつけた父親の立ち会いのもと、アパートの捜索が行われた。
外務省邦人保護担当領事黒田康作も現場に立ち会ったが、
当の父親は娘の失踪理由を知っていて隠している様子が窺われる。
瑠衣の容疑は単なる窃盗ではなく、テロ準備罪?!
黒田が調べていく内に彼女の周囲には
日系ボリビア人や謎の日本人フリージャーナリストをはじめとする
不審な人物の影がちらついていて、何人かの死亡者までいることが判明。
ついに失踪事件の背後に隠されていた真実に辿り着いた時、
その重さに黒田は愕然とする。
国益を優先すべきか、邦人の命を守るべきか、黒田の苦悩はつきない。
『アマルフィ』の続編、「外交官 黒田康作」シリーズ第二弾

・不安というのは寂しがり屋だ。
次なる新たな不安の仲間を招き、胸を押しつぶしてくる P43

・己の甘さを知った。資料の読みが浅いと、こういう事態を招く。
先を越されたのが悔しいのではない。
打つ手が目の前に見えていたにもかかわらず、
それを気づくことができなかった P156

・身内に競い合う者がいるからこそ、組織も人も磨かれていく。
敵は敵でも、好敵手はありがたいほどだ。
その反対に最も質が悪いのは、好敵手になれないと自分を見限り、
外の敵と手を組んで人の足を引っ張りにかかるやつだ。まさしく外敵。
つまみ出すに限るが、
ゴキブリのように組織の隙間に逃げ込んで姿を隠したがる。
しかも、一匹いれば、その周囲にうじゃうじゃ同類が身を寄せている P167

・余裕をなくすと、
人は視野と考えが狭くなり、柔軟さが失われていく P215

・相手へのすぎた同情が、
その人物を甘やかすことになるのは、よくあるケースだった。
度を超えた善意は、人に誤解を与え、思い上がりを生みやすい P298

・生まれたばかりの子どもは、誰もが天使のような存在なのだ。
その後の生き方次第で、人の心が形作られていく P342

・強い心を持ち続ける。それが必ず自分を救ってくれる P369

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