言葉の宝箱 0002【一生幸せでいたいなら、正直でいることだ】
『カール・エビス教授のあやかし京都見聞録』柏井壽(小学館文庫2019/8/11)
京都にまつわる不思議な体験、してみませんか。
英国人ミステリ作家のカール・エビスは
京都にある名門、京洛大学に招かれ、教鞭を執っている。
次回作執筆の参考にと講義がない日には
助手の九条葵と京都の街を練り歩き、日々創作の種を捜している。
まだ京都へ来てから日が浅いカールを驚かすのは
京都ならではの不可思議な出来事。
時間や空間の概念などないかのように、
安土桃山時代の逸話〈宗旦狐〉の母狐が化けた女性の姿を見かけたり、
〈六道の辻〉の案内人である年齢不詳の老婆と出会ったり。
京都人らしい、気遣いができるも
小言を言わねば気が済まない性格の葵に振り回されながら、
行く先々でカールは科学で解明できない出来事に遭遇する。
『宗旦狐』『鐵輪の井』『六道の辻』『嵯峨野の竹林』
『おかめ伝説』『百夜通い』6話連作短編集。*出町桝形商店街
・男女を問わず、京都人は心と言葉が必ずしも一致しない P16
・ケチではなく始末。これはある種の京都人の美学 P140
・一日だけ幸せでいたいなら、床屋へいけ。
一週間だけ幸せでいたいなら、結婚をしろ。
一か月だけ幸せでいたいなら、車買え。
一年だけ幸せでいたいなら、家を買え。
一生幸せでいたいなら、正直でいることだ P181
・感情移入できないと、どうしても斜めに観てしまう。
ふーん、としか言いようがなかった(略)
人は誰でも自分が感動したものを否定されると落胆する。
自分自身まで否定されたように思ってしまうことすらあるのだ P228
・伝説というものは、
いかにもっともらしく見せて伝えていくかが大事なのであって、
一か所でもほころびがあると、そこから一挙に夢が壊れてしまう P243
・何もかもが偶然のできごとのように見えて、
実はすべてが仕組まれた作りごと、
はかりごとのようにも思えてしまう P276