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言葉の宝箱 0284【女は男より、はるかに嘘を操る】


『脇坂副署長の長い一日』真保裕一(集英社2016/11/10)


地元出身のアイドル・キリモエが一日署長を務めるというイベント当日。
賀江出署副署長の脇坂に思いも寄らぬ報告が上がった。
病欠していた若い巡査部長鈴本が事故現場から逃走した?
ただでさえマスコミの注目が集まる大事な一日。
そんな日に、あってはならぬ身内の不祥事か、それとも?
収拾を一任された脇坂だが、
捜査を進める内に誰も予想し得ない事態に次々と直面する
一方で脇坂自身の家庭内でも
前夜から妻と息子の双方に不可解な行動があり、
それに気付いた娘の由希子から想定外の連絡が続いていた。
職場も家庭も、どちらを見ても謎ばかり。
同時多発する出来事に休む間も無くひとり立ち向かわざるを得ない脇坂。
生粋の警察官として職務を全うする
脇坂が最後に辿り着く、複雑極まりない事の真相とは?
『プロローグ』『消えた警官』『一日署長』『密告情報』
『偽造された依頼』『隠された事件』『真相への道』『警官の誇り』
『エピローグ』

・本性を隠すのが人ってもんだろ P48

・上司の前で部下に厳しく接したがる者は、まず小物と言っていい。
指導を怠っていないとのアピールだろうが、
相手を委縮させるうえ、反発心まで根づかれることもあり、
人の上に立てる器ではないと、自ら証明するに等しい態度だ P54

・科料のような軽微な処罰であろうと、
すべての記録を検察庁が管理している。前科調書と呼ばれる記録だ。
生年月日と名前で人物の特定ができれば、過去の交通違反であろうと、
くまなく検索できる。
マイナンバーにも直結され、
そこから多くの情報を引き出すことも可能だ P123

・女は男より、はるかに嘘を操る。
取り調べの経験からも、確実に言えた P147

・警官も役人と同じで、保身こそが出世の近道となる P193

・愛情をそそがれて育とうとも、
人は満たされない現状への不満から、罪に走る。
つまずく種は、世間にいくらでも転がっていて、
人は自分の足元を見たがらない生き物でもあった P197

・可愛い息子を守るためであれば、
母親たちは自分で犯したわけでもない罪をかぶりかねない。
息子を思う信念は、新興宗教を支える狂信者にも似た強さがある P201

・悔いる暇があるなら、走るのみ P260

・姑息で卑劣な男を野放しにはしない。
人の善意を利用し、私利私欲を満たそうという発想を、
警察官たる者が持ってはならない P363

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