奴隷から抜け出るには
今朝の一言です。「うつ人も うたるる人ももろともに ただひとときの 夢のたわむれ」(夢窓疎石)これは、自分が許せないと思った仕打ちにあった時に思い起こすと有効です。今は、世相に怒りが渦巻き被害者と感じる人も増えたように思われます。しかし許せない思いを持ち続けることは心身の健康を蝕みます。今日はそれを克服するための一言として選びました。
夢窓疎石は鎌倉から室町にかけての禅僧。ある時、弟子を連れて天竜川下る船に乗ったとき泥酔した一人の武士が乗り合わせました。泥酔してるので騒いでいるのを疎石がたしなめると逆ギレ。眉間を扇子で打ち付けました。流血に周りの弟子たちは激怒。取り押さえようとしたところ疎石はなだめ、上記の言葉を紙に書いて弟子に見せて場を収めたといいます。船着場に着く頃には武士の酔いも覚めて名を聞いたところ有名な疎石で相手は平謝りしたとのこと。しかし、この話の要点は有名人だから謝ったかどうかではありません。
嫌な目にあったとしても、所詮は一時の夢のようなものという透徹した視点です。嫌なことを忘れられず怒りや恨みを引きずっているのは感情の奴隷になっているからです。喜怒哀楽の感情に引きずられている限り奴隷からは抜け出せず、自由になれません。
自由になるにはいかなる喜怒哀楽も、所詮は一時の夢のようなものという客観的で正しい認識を持つことです。これにより、自己愛の強い執着から自由になる事ができるでしょう。自由になるコツは、先に自由になってしまう事です。今日も良い一日を。