特別対談:「心理学アプローチ vs 社会科学アプローチ」 (原 小百合さん) -後編-
(前編の続き)
黒木:先に話題にしていた数的なものについてですが、私は代わりに3つの基軸で見ています。一つはリダンダンシー(redundancy)という冗長性です。二つめはコヒーレント(coherent:収束性)という概念。そして、三つめが運動性(Linkage)です。このリダンダンシーとコヒーレントは意味、反対概念ですので、一つの企業の中に相反する概念を内在することは難しいであろうとは思っています。
小百合:なるほど、効率とか数値で捉えられないことを3つの基軸で図ることができるとは興味深いですね。生物用語については背景がないので、今後の学びの対象としてぜひ聞かせてください。
黒木:申し訳ない、いきなり生物用語とか説明が足りなかったですね(苦笑)。ちょっとイメージしやすくしてみますと「生物の世界」を論じた今西錦司氏は”類推”を発想の原点にして日本独自の生態学と文化人類学を作り上げました。分析ではなく"類推"こそが発見をもたらすという極めて示唆に富んだ概念です。この今西氏の全体と個の関係は、現代の経営・マーケティングにおいて論じられている自己組織化や創発、DAOの自律分散型の考え方がみられます。生命と生態系をヒトと組織の関係に似ているし、新たな未來が作れるのではないかと妄想家の私(笑)としては注目するわけです。
小百合:今西氏の著書はまだ手にしたことがありませんが、黒木さんのお話しを聞いていると興味が湧いてきますね。分析でなく"類推"こそが発見をもたらすという観点なのですね。
以前、医大で教鞭を取っている方から「医師が人を専門の臓器でしか捉えられなくなっている弊害がある」というお話しを伺ったことがあります。全体と個の関係ということについては、まさにその両方が見られる視点が必要とされていると感じています。
ヒトと組織もそうですし、個人のメンタリティにおいても「こういう私」と「ああいう私」がいたりして、いろんな側面を含めて自分というより存在がある。先日、お話ししたオーケストラの指揮者なような視点と持った自分という視点です。
黒木:確かに部分ではなく全体、空間ではなく時間にこそ真相が隠されているという西田幾多郎哲学と、これまた生物学者になりますが福岡伸一氏の"動的平衡"理論の繋がりも、その医師がご指摘されたことにありそうですね。
私がご支援させていただいている企業で、プロトタイピングの一種として”物語アプローチ”を研修やワークショップに使っています。これは全く従来のマーケティングアプローチとは異なり、出来ゴトを事物の全体について総体で見ないで出来ゴトのネットワークとして捉えるラーニングです。 この”物語アプローチ”によって、whatとwhyが明確になるのです。
研修に参加いただいた方が、これらのステップによって新しい可能性を考え、イメージする登場人物を通して、因果関係を自ら考えるようになり未来に向かう物語ることに意味を見出すのです。そして何よりも笑顔を取り戻し積極的に関与し始める。今何をすべきか、どのようにすべきかを考える点では、極めてダイナミックでこの2、3年の弊社ワークショップでは成功を収めてきました。本当に嬉しいことです。そして参加者にとっても嬉しい体験となってくれていると私は信じています。
小百合:関わった方がやる気や自信を感じて笑顔になるのは私にとっても何よりの原動力です。ずっと言われていることですが、最後はやはり「人」です。先ほど言及した変化しているという観点は、私の個人的な経験でもインパクトがあった考え方なのです。
まさに「小百合ストーリー」で恐縮なのですが・・・(笑)。20代前半で何か自分の生き方の方向性を試行錯誤していた頃、何かの本で「自分は自分と言うけれど、そのあなたは日々新陳代謝していて約30日で細胞が入れ替わる。そう言う意味では日々新しい自分になっている」と言う文章に出会って何か自分の中で溶けたのですよね。自分を認めると言われてしまうとなんだか難しいですが「そうか、私は〜だしなんて思っている自分も単なる一つで現実はもっと全体的に動いているんだな」と腹落ちして楽になれました。そんな気づきを感じられたのは、少なくとも自分が今、携わっているメンタルトレーニングに影響があったと思います。
一ついいですか? よく目標を設定として”to do リスト”として「ダイエット」「売り上げ○円」のように名詞で上げることがありますよね。悪くはないのですが少し残念で、せっかくなら「動詞」で表現するのがおすすめだと思っています。何かを成し遂げるのは一連のプロセスで行動をともなうというのが理由です。
黒木:おお、それは大いに賛同します!目標を名詞ではなく動詞で表現する方がよいというのは、重要な指摘ですね。人、特に会社組織としては目的と目標を分けて考えることが多いです。目的と目標は似ていますが異なるものだと捉えると、小百合さんの名詞より動詞の方が何かを成し遂げるという観点は非常にworkすると私は思うのです。
目的は意義や価値観など「主観的要素」から導きだされます。かたや目標は対象や数値など「客観的要素」から設定されているんですよね。したがって目的は柔軟で定性的であり、目標は固定的かつ定量的だと言えるでしょう。目的は試行錯誤が奨励あるいは要求されますからね。対して目標は、未達や失敗は評価されない、むしろマイナス評価対象になってしまいます。
故に、小百合さんがおっしゃっている動詞というのは、極めて動的で柔軟性ある方が、人間は未来に常に臨機応変に対応できると言うことではないかと受け取りましたがいかがでしょう?
HRM(Human Resource Management)といった人的資源管理の文脈では「成果を管理する為の目標」ではなく、「人のモチベーションや創造性を引き出す目的」を創造せることが大切だと考えて、目的を創造することをどのプロジェクトでも最初されているのでは、と捉えたのですが。
小百合:はい、まさに目的と目標をどう捉えるかと言うことは、個人の生き方にも組織のあり方においても無視できないことですね。目標を動詞で表現する狙いは、どうしても目標が「絵に描いた餅」になってしまい本人のモチベーショションと切り離してしまう事を防ぐこと、さらにその目標達成が実際には何がなされていることか、そのことが与える影響に意識を向けていくことです。
黒木:日本の企業では、いまだに目標というか目標値を小百合さんが言っていたような「売り上げ○円」とか「対前年比で105%」とか設定して目的を明確に策定している会社は少ないのが実情です。また弊社が関与するプロジェクトでも目的を策定することをすると、固定的で変えられない目標と誤解されて、臨機応変に動けない方が散発します。凝り固まっているのでしょうね。だけど、目的は柔軟で試行錯誤する。したがって市場をリアルに観察するフィールドワークした後に改めて対話することで少しずつ変化する、いやスイッチが変わるのかもしれない。
さらに実は大切なのは、そのタイミングです。プロジェクトの最初の段階では固定観念で戦略はこうであらなければならないと考えている方の脳を和らげる作業が効く。この前お話しいたしました、VTSはこのタイミングで極めて役に立っています。
小百合: なるほど、とても共感します。私がご支援させていただいている企業さんの目標について「前年比10%アップ」と設定している場合に「前年比10%アップする」と言葉づかいから動詞に変換させていただいています。
そしてその後にその事が成し遂げられた事がわかるのは周りで何が起きているからなのか?何を見て、聞いてという五感で捉えることができるようにサポートしていきました。すると「部下から〜と言う報告を聞いている」と言うように、目標が達成した時に何を経験しているのかに接続していきます。「絵に描いた餅」は人ごとでも、実際に美味しさを味わうとなればそれは自分ごとになりますからね。
「知っている、わかっている」という領域と「やっている」と言う行動レベルを区別することは、人生を豊かにしていく上で大切エッセンスではないかと思っています。進めながら実際に行なった結果に対して柔軟に調整していく事を私自身も大切にしています。では、どう調整するのか?それは「何のためにこれをやっているの?」という目的意識によって確認できるのではないでしょうか。
黒木:素晴らしい。柔軟に調整していくというのが動的でいいですね。「知っている」のと実行で「やっている」は,確かに大きく違いますね。やはりwhyとwhatが明確だと相手に伝わり、かつ共感しやすくなりますね。
私が行なっている研修内容をちょっと説明させていただいていいいですか。ちょっと長くなってしまって恐縮なんですが、まずは目的の明確化作業の中で「自分が本当にやりたいこと」、「自分ならできることという自分の欲求に基づく目的」、「社会の為に未來をこんな風にしていきたい」という自分の意志をはっきり明示化させて、それを自身の中で創出させることに注力しています。マーケティング研修なのにと思う人も(まだまだ)多いのですが、まずは"人が出発点"だと信じているからです。
そのステップの後に、その間にある「自分がやりたいこと、できること(小目的)」と、未來をこんな風にしたい「社会的価値が入ってくること(大目的)」の中間を徹底して考えることをプロジェクト全員で行うのです。そしてその後にこの中間に存在するもの(中目的)を創出していくのです。その作業で発表し目的が似ているチームゴトにグループ分けします。で、次のステップはチーム別に目的が似ている人同士に対話をしていただきます。個人が集団になりそれが組織として、共有できるかの大切な、いわば登竜門になります。先ほど伝えた"主観と主観がぶつかり合って目的を論じる"というフェーズです。
お互いに納得して共感したものだけが「相互主観=我々の主観」になりますからね。この目的創出には時間が必要で、どんな価値が創出されるのか、それは誰の為か、をチームごとに論議していくことは、本当に難しい…といつも感じます。おそらく、皆さん経験がないのです。目的と手段が逆になることもありますし、目的の上に目的が何の為にということが次ぎ次と出てくることが実感されます。ハシゴのように目的が積み重なって、何の為にと問い続けます。最初の目的が最上位になるわけです。つまり、小百合さんのおっしゃる何の為にやっているのを自身に突きつけるわけですね。きっと本人たちは嫌だなと思っているのかもしれません(笑。
小百合:なるほど、なるほど。目的が似ているチームごとグループ内で対話をするのですね。だけど一方で個人の目的がどう組織として包括できるのかは、お互いがどんな姿勢でディスカッションするのかも影響されるように思いますがいかがですか?
と言いますのも、目的のように抽象度の高い内容は同じ言葉で語っていてもそれが意味することが違っていることがありますよね。すぐに共感や納得できない相手の意見に対していかに好奇心を持てるか、黒木さんが 事前にVTSでさまざまな意見を聞くことで多様性の受容を目指していることが効果を発揮しそうですね。
黒木:最初の質問ですが、個人の欲求に基づく「小目的」は全員バラバラですね。参加メンバーの前で個々に発表してもらうのですが、この段階で本音の方もいますし、表面や上部の方もいます(苦笑)。しかし真摯な発表されている方の方に段々時間経つと影響されていくのです、これはとても良い意味での影響かと思います。
課題は「大目的」ですが、かなり時間かかります。社会的価値とか、未来像なんか考え他ことがない方が多く(日本特有でしょう)これは私の方からバックアップさせていただいています。小百合さんからご質問いただいたどんな姿勢でディスカッションするかにですが、この頃には皆さんがかなり真剣に向き合ってくださいます。先ほど伝えたように最初は自分の仕事とのつながりがわからなかったのが、この頃にリンクされてくるのでしょう。
ご指摘の通り、VTSなどの事前ワークは、この時点で実は機能するために行なっています。こうしてプロジェクトは徐々に理解されて、自分の目的がどのようにして知らせ、理解され新しい価値が提供出来そうだと分かってくる。結果として、参加者の表情が変化します。目的創造するプロセスは皆様かなり考え込んでいますが、後半は徐々に明るくなって腹落ちしてくださっているのでしょう。私にとって一番嬉しい瞬間です。
小百合:ありがとうございます。そのように目的を創造するプロセスを実際に体験することは、組織におけるプロジェクト推進だけでなくそこに参加したメンバーそれぞれの中に大きなものを残すのではないかと思いました。
繰り返しになりますが、誰かと「対話」をするには、自分というものを表現しなければなりませんから。自分は何が重要なのか、何に意味があると考えているのか、そんな自問をしていくわけですよね。
何かしらの自分の価値観が自覚してもそれを自己完結させるのではなく、他の人の価値観と照らし合わせるからこそ、気づけることがあります。そういう意味で私は「対話」はより自分という存在の純度を高めてくれるものだと捉えているんです。
黒木さんが提供されているプロセスを経験した方が、ご自分の持ち場や仕事という枠を超えて、そこで見つけた目的感覚をどんどんと活かしていってほしいですね。
黒木:日本の企業には目標値はあっでも目的がないということは大変由々しきことです。自分ゴトで考えられないということにもなってしまいます。だからなんとなく、違和感がある、しっくり来ないというのは,自分モードでなく、他人ばかり気にしてしまうからです。” いいね”数を気にするとか典型的な話です(苦笑。
「言葉にできない そんな夜」という番組はご存知ですか?私が観ていた回でゲスト出演していた金原ひとみ氏は、旅から帰るときの気持ちを旅青(ブルーな気持ち)とか表現したりしていました。
目的を共有化する、それはその後のコンセプトを伝える、人の気持ちを動かすみたいなことに繋がる表現力にも関わりますね。“対話をする、共感する、相互主観になる”って一貫する情熱やエネルギーを感じることが、今の時代にものすごく大事な気がします。つまり自分ゴトになるとエネルギーが強く出ますね。生きざまともいうべきでしょうか。
ちょっと話変えてみましょうか。
目的を創出するプロセスと対話する大切さをお話ししてきましたが、私たちはその中で、変化や違和感を大切にしています。小百合さんの心理学アプローチでも何かされていないでしょうか。
徹底的な対話って、先にも伝えたように実施されていない企業が極めて多いです。なので、私は敢えて「対話」に異分子の人間、と言っても私なんですが(笑)を加えて話をすることに意味があるのかな、と思っています。凝り固まった”あたりまえ”をひっくり返すことで、右脳が働きだすのですよね。
小百合:変化や違和感を大切にする、という観点に共感です。例えば、管理職の方がコーチングでよく不満として訴えっていらっしゃるのが、新しい方針を示した時に抵抗されるということがあります。おそらく両者が見ていることに違いがあればこその不満なんだろうと思うのですが、「違い」があることが心地よくない受け止め方になっている様です。
私がメンタルトレーニングを学んだ恩師に、クリスティーナ・ホール博士がいらっしゃいます。クリス先生はよく「みんなが全く同じ考え方をしていたら何の進歩も生まれない。それに、そんなつまらないことはないでしょ」ととてもチャーミングにおっしゃいます。
そしてワークショプの参加者から出る質問で、何か一瞬的外れでは?と感じる様なことに「それは、おもしろい。世界中で講義をしてきたけどそのような観点の質問をされたのは初めてです。あなたがどのようにその質問に至ったのか、もう少し話しを聞かせてもらえますか?」とまさにお互いの探求が始まります。
これは、変化や違和感を排除するのとは全く逆の姿勢ですよね。心理学的アプローチというと、何か人を分析してジャッジするようなことにもなりかねない事がありますが、やはりそれを用いる人がどういう前提から関わっているのか、ここに尽きるのではないでしょうか。
黒木:恩師のクリスティーナさんの言葉、本当に素晴らしいですね。確かに、自分とは違うと排除やら分析の姿勢では進歩はないですよね。問いを生み出す力が本当に求められているのだと思います。あとは共に考えること。回答は一つではないことを実感すること。その背景を明らかにすると正解に見えるものもありますしね。変化や違和感を大切にすることが進化には重要です。
そうそう、変化や違和感って効率の全く反対に位置しますよね。違和感があると言ったり、そんな事を表情に出すと「君は業界(世間)を知らない」とみんなの前で言われてしまうなんてことがあったわけです。まさしく経路依存症ですね。組織全体が予定調和で動いていて当たり前で片付けてしまうことが多かったわけです。これは企業も然り、社会も然りですが…。
違和感というのは左脳ではなく、なんとなく変だなぁと思う概念であり、右脳というか体感知だと思います。五感のどこかが今までと異なる感覚を感じる。だからA Iのような身体を持たない論理的なものでは解読不可能なのかもしれません。目には見えない、聞こえていないけど感じる。よくわからないけど、境界線のギリギリに存在する不思議なものにあるのが違和感じゃないかと私は思います。
小百合:黒木さんがご指摘されている”予定調和の弊害”というのは、実は多くの方が既に気づいているのではないかと感じています。でも、どうなればいいのかと問われるとなかなか「ありたい状態」というのが描けない、人は習慣を維持してしまうのでいつもの通りという事が続いてしまうのかもしれません。
なので、黒木さんが実践されているように経営やマーケティングの観点から、今回この場で対話(それこそですね。笑)させていただいたような事が、机上の空論ではなく実際に一緒に創りあげていくとステップを始めるということがより必要になっているのだと思います。
「あぁ、今までなんとなく違和感があったことは、やはり大切なことだったんだ」と実感する機会があって、では何に向かうのか、そして自分は何ができるだろうか、そういうプロセスを私自身もご一緒できることが今の仕事のやりがいというか、無くしたくないことだなと改めて再認識しました。
とはいえ、現状の私の立場だとワークショプや企業の研修でご一緒できる方というのはやはり限られていますし、自分のリソースだけだと時間もかかります。だけどもっと今の世の中の働き方や生き方について、もう棚上げせずに自分ゴトとして考えなければといったそんな流れもあるように思って、私としては仲間のメンタルトレーナーと一緒に人生を自分で面白くしていくためのTipsを発信し始めました。
「スクールオブライフ」というポッドキャストなのですが、かしこまらずにワイガヤ的にやっています。豊かな生き方について考える事を特別な事ではなくて日常の中の一コマにしてほしいなと。まずは発信することが大切かな、なんて。
黒木:素晴らしい!もちろん応援しますよ。まずはぜひ拝聴させていただきますね。
いやぁ、まだまだ話が尽きませんね。そのポットキャストの反応とかも伺ってみたい。またゆっくりお話しさせてください。
今回は本当に楽しい時間でした。今日は一旦ここまでといたしましょうか。
本当ありがとうございました!!
対談を終えて
「人間の本質をどのように捉えるか」「人間の本質をどう問うのか」。
幼少期からAIが身近な「AIネイティブ」が今後の社会を担うとき「人間にしかできないこと」をより深く問いを続け、探索する転換が今まさに重要になってきているでしょう。私たちが生きているこの瞬間がまさにその転換期なのです。
心理学では「ジョハリの窓」と呼ばれる4分類があります。
①開放の窓:自分が知っているし、他人も知っているテーマ。共感型。
②盲点の窓:自分は知らないけれど、他人の中に答えがあるテーマ。相手が答えを(完全な答えを持っていなくても)共に答えを考える型。
③秘密の窓:自分が知っていることを、知らない相手に問いかけるといった問題提起型。
④未知の窓:誰もが回答を持っていないけれど、共に探求型の問いを発して考える型。
弊社がコンサルを担当させていただいている企業とお仕事させていただいてい中で、④が難解だと感じることも多いですが、私としてはこれこそが人間にしかできない創発を生む領域であるとも感じています。
「脳の解放→エスノグラフィー→ダウンロードミーティング→ストーリーメイキング」といったマーケティングに従事されている方にとっては耳慣れた言葉かもしれませんが、実はこの経過を通して上記の②と④の領域に移り、徹底的な対話した後に"そういうことだったのか、そうしたらいいのか"、とメンバーと共に腹落ちする。これが人間らしい、人間の本質に近づいたんじゃないかと、私は感じています。
今回の対談では、小百合さんが従事されている心理学領域からの観点と私の領域である経営やマーケティングの観点から様々なお話をさせていただきました。それらの話を通じて、改めで私が専門とする領域において、統計学などの基本原理原則から考えることだけを主軸にするだけではなく、場と空気を読み(感じ)ながら、生活者の意識を身を寄せて、瞬間的に発想し「対話」していくことが重要であると再認識した次第です。
小百合さんとご一緒することで、また新しいプロジェクトが生まれるのではないか、そして新しい知が創発されるのではないかと考えています。それはまた別の機会にでもお伝えしましょう。
(完)
協力:千年茶館