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【美術展レポ】鎌倉の小さな美術館と和風ラーメンのひととき。
昨年から、家族で美術展めぐりをしています。2025年も「おもいたったら吉日モード」で出かけます。先日、鎌倉の小さな美術館・博物館をめぐりました。
鎌倉といえば、観光客でにぎわう小町通りが有名。その小町通りの脇道を北に少しすすむと、なんとまあ、穏やかで静かな住宅街が広がっていた。閑静な住宅街の中にある美術館から、散策をスタートしました。
鏑木清方記念美術館
鎌倉の閑静な住宅街にたたずむ鏑木清方記念美術館。門をくぐると、まるで時代をこえて大正ロマンの世界に迷いこんだような気分になる。
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鏑木清方(1878-1972)は、戦後の昭和21年(1946)に疎開先の御殿場から鎌倉の材木座へ移り住みます。そして清方門下の伊東深水(1898-1972)も24年(1949)に疎開先の小諸から鎌倉・山ノ内へ居を移し、月白山荘と名付けた画室で制作活動を行いました。深水は、材木座の清方を訪れ、随筆家の一面をもつ師の姿を写し作品に残しています。
清方は29年(1954)、76歳で雪ノ下に居を構え、47年(1972)に93歳で亡くなるまでをこの地で過ごしました。「内に居れば閑靜で、戸外へ出れば賑やかなところ」を好んだ清方にとり、雪ノ下はまさに理想の地でした。
鎌倉には、68歳に移り住んだとのこと。いま記念館になっている建物には、76歳から亡くなる93歳まで過ごした。
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懇意にしていた建築家、吉田五十八氏に依頼した画室
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日本画は、伝統的に天然岩絵具(鉱物を粉砕・水簸分級してつくった顔料)をつかってきたという。岩絵具と天然岩絵具の原石標本があった。はじめてみたかもしれない。
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顔料の原石だ
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緑といっても微妙な違いでこんなにたくさん…
自然界の色はなんてきれいなんだろう。
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水につけて不純物を取り除き、精製した顔料
くすみカラー、今流行りの色だね
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清方の作品は撮影NGだった。収蔵品は以下から閲覧でき、見出し画像は、こちらからお借りしました。
展示されている清方の美人画は、繊細な線とやわらかな色づかいが印象的だった。とくに、和服の女性たちがまとう着物の美しさに心をうばわれた。
静かな空間で絵と向き合うと、不思議と自分の心も静かになっていくのを感じた。
中庭に面した休憩コーナー・資料室には、清方が手がけた「少女出世双六」(明治41年・1908年)があった。雑誌の表紙やこうしたふろくも手がけていたそうだ。
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子どもと3回やった
子どもが勝つまでやったということ…いつものパタン😂
もうお昼をとっくに過ぎていたので、ここでランチタイム。
不動茶屋で和風ラーメン
清方美術館から、とことこ2分歩いたところにあったカフェに立ち寄る。古民家まではいかないが、民家の一階で営んでいるお店。
お店のとなりには、窟堂・岩窟不動尊がある。不動尊に併設しているカフェということで、不動茶屋。
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お参りしました
選んだ和風ラーメンは、やさしい出汁の香りが広がり、寒さで冷えた身体にしみわたる最高の一杯だった。
店内のインテリアからもレトロな雰囲気がただよい、ほっと一息つく時間が何より贅沢でした。
家族だれもがラーメンの写真を撮っていなかった…
みんな早く食べたくてしょうがなかったんだね。わたしもね。
ラーメンには、梅干しがついていて、それもまたよかった。
身体があたたまったところで、散策再開。
川喜多映画記念館
不動茶屋から、とことこ1分歩いて着いたところが、鎌倉市川喜多映画記念館。
鎌倉市川喜多映画記念館は、映画の発展に大きく貢献した川喜多長政・かしこ夫妻の旧宅跡に、鎌倉市における映画文化の発展を期して、2010年4月に開館しました。
本記念館では、映画資料の展示、映画上映をはじめとし、映画関連資料の閲覧やWeb検索も行なっていただくことができます。また講座・講演会やワークショップなども年間を通じて開催いたします。
建物は平屋建ての和風建築で、数寄屋造りのイメージを表現し周囲の環境に調和しています。板塀もかつての面影をそのままに復元しており、展示室の明るく広い開口部からは緑豊かな庭園も眺められ、古都鎌倉の落ち着いた雰囲気をかもし出しています。
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広いお庭で海外の映画関係者とのパーティがあった
ここは、日本映画の歴史を愛する人にとっては宝の山。川喜多長政・かしこ夫妻は、外国映画の輸入以外にも、映画フィルムの収集・保存、そして日本映画を海外へ普及させるために尽力したそうだ。
館内には、モノクロのフィルムや古いポスターが展示されており、映画ファンでなくても、昭和のノスタルジックな雰囲気に浸れる場所だった。
映画も上映している。訪れた日は、高峰秀子特集を開催していて、昔の作品を上映していた。この日は映画はみていない。
ここから、鶴岡八幡宮方面へいく。
鎌倉国宝館
さいごに訪れた鎌倉国宝館は、鶴岡八幡宮の境内にある。ここは、鎌倉時代の文化財がぎゅっと詰まった小さな箱庭のような場所。
鎌倉国宝館の本館は、国の登録有形文化財に登録されている。鉄筋コンクリートによる高床式校倉風建築で、設計は歌舞伎座(第三期)などを手がけた岡田信一郎によるもの。
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レトロな可愛さ
仏像や仏具など、どれもが長い年月を経てここに存在していることに感動する。とくに、十二神将像の力強い造形は圧巻。じっと見ていると、当時の人々がこめた祈りや願いが伝わってくる。
どれもポーズも表情もユニークだ。「みんなマッチョだね」と子どもが言って笑ってしまった。
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十二神将立像の一部を紹介します。写真は上のサイトからお借りしました。
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どれどれ?
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怖い形相でにらむ
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腰がくねっと
以上は、平常展示。
さて、特別展はというと…
おめでたい縁起物、十二支や七福神に関するもの、過去の乙巳年に起こった出来事を記した資料など、約30点の作品を展示していました。
所蔵作品の中から、学芸員さんが探し出したそうだ。学芸員さんのコメントがクイズ形式でかかれていて、小学生の子どもも、一緒に楽しめたのがよかった。
美術作品をただ展示するだけではなく、こうした工夫があると、ぐいぐい引き込まれながら観覧できておもしろさが倍増する。
展示の中には、とても小さなかわいい人形もあり、一生懸命干支にかかわる作品を探した様子もうかがえて、和やかな気持ちになった。
鎌倉国宝館は鶴岡八幡宮の境内にあるが、国宝館がある場所は人通りが少なく、静かに鑑賞できるのも魅力だ。
ここで、余談。
鶴岡八幡宮には、鎌倉文華館鶴岡ミュージアムもある。これは、旧神奈川県立近代美術館 鎌倉館で、2016年に土地契約の問題で閉館したが、2019年に「鎌倉文華館」として再オープンした。この美術館は、ル・コルビュジエに師事した坂倉準三が手掛けた設計で、自然と建築が一体となったデザインが魅力的。庭園や平家池を眺めながら館内をめぐることで、芸術鑑賞だけでなく、静けさや心地よい時間を過ごすことができる。
ここは何度か訪れている美術館だが、今回は時間の都合でスキップした。
小さな美とともに
鎌倉には、街の喧騒をはなれた先に、静かで味わいぶかい美術館や博物館が点在していました。
家族で散策しながら、歴史やアートにふれる時間は、心を豊かにしてくれます。
2025年も、日常の中にある「小さな美」に気づける旅をつづけたいです。
最後までお読みくださりありがとうございました。