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制限がアイデアを生む
自由に考えることほど難しいことはない。
だから、「もし1億円あったら何をしますか?」みたいな質問が苦手だ。
確かに、「1億円ある」というのは見方によっては「制限」だけれど、この質問の意図は、無意識の制限を取っ払い自由に思考させることだと思う。
仕事で何かアイデアを考えたり、自分が何をしたいか・どう生きたいか考える時、何も浮かばない時がある。
そういう時はたいてい「制限」がない。
例えば、自己分析なら「私はどんな仕事がしたいんだ?」と考えるよりも、「営業、企画、事務、この中だったらどれが一番良いかな?」と考える方が、答えを出しやすそう。
上記のような選択肢の数に限らず、期限や条件、使えるリソースなど、初めから制限されている場合もあれば、自ら制限を加える場合もある。
制限があるから、イノベーションが生まれない。
「当たり前」や「常識」といった制限に囚われないことが大事だ。
そんな声が聞こえてきそうだけれど、僕らは自由に発想することに慣れていない。
思考の仕方の向き不向きだから、自由に発想することで納得のいくアイデアを出せる人ももちろんいるけれど、自分自身も含め多くの人は、「自由に考えて」とか「自由にやって良いよ」と言われると、まず初めに戸惑うのではないだろうか。
「制限」と「自由」、これらは相反するもののように見えるけれど、制限があることで自由にできる時もあるし、自由がかえって制限を生む時もある。
新規事業を考える時、予算や期限、リソース、方向性が決まっていた方がその中で自由に考えることができるし、「好きにして良いよ」と言われると、「これは良いのかな?これはダメかな?」と、本来制限されていないものを制限としてしまったり、結局何をしたら良いか分からず無駄な時間を過ごしてしまう。
制限が多ければ多いほど、時にはそれが無理難題でも、針の穴のようなわずか小さな穴を抜けて出てくるアイデアこそ、むしろ革新的で斬新なアイデアだったりする。
「制限」という言葉にあまりポジティブな意味合いは無いけれど、僕らはこれまでも制限の中で知恵を振り絞り、生きてきた。
思い悩んだ時、方向性が決まらない時、そんな時ほど必要なものは「制限」かもしれない。
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