文系の僕が唯一学んだ「恋愛工学」
僕が唯一学んだ学問といえば、「恋愛工学」かもしれない。
もちろん、大学時代「恋愛工学部」に所属していたわけではないし、そのような学問は実態として存在しているものではないけれど、大学に1年間しか通っていない自分からすると、唯一まともに向き合った学問がそれだ。
知り合いから面白いと紹介されて読むことになった、藤沢数希さんの『ぼくは愛を証明しようと思う。』という本(以下、ぼく愛)。
読んだのはもう4年前くらいで、正直内容はあまり覚えていない。
誠実でまじめな主人公が恋愛工学のマスターに出会い、モテない自分を変えていく、そんなストーリーだったと思う。
学問書のように体系的に書かれているわけではなく、あくまで形式は小説なので読みやすく、物語を読みながら所々ノウハウや知識の要素が入っている、そんなイメージだったと記憶している。
「誠実で真面目」なのに「モテない」という主人公に、思わず自身を重ね合わせた人は非常に多いと思う。誠実で真面目と聞くと一見モテそうだが、世の不条理なのか、実際は誠実で真面目じゃない人ほどモテていたりする。
どうしてそうなのか、そんなこともストーリーを読み進める中で明らかになっていく。
と、恋愛やモテについてのあれこれが書かれているわけなのだが、内容は恋愛だけに通ずるものではないのが、ぼく愛の面白いところ。
ぼく愛を読んでいた当時、仕事で思うような成果が出せておらず、「営業」というものに対して嫌悪感を抱いていた。
それこそ、こんなにも自分は誠実で真面目なのに、どうして商品を買ってもらえないのか、どうして自分を信用してくれないのかと悩んでいた。
そんな時、主人公をダメな営業マン(=自分)に見立てて、食い入るようにぼく愛を読んだことが、今振り返ると重要なきっかけとなっている。
恋愛と営業自体が、対人という観点で似ているからかもしれないが、対人コミュニケーションに苦手意識がある人、営業に辟易する日々を送っている人にとっては面白く、学びもある作品だと思う。ドラマ化もされていたはず。
まさかこの本が「#人生を変えた1冊」になるなんて、当時は微塵も思っていなかったけれど、真っ先に思い浮かんだのがぼく愛でした。
くれぐれも、ぼく愛を読んだ方が、愛を証明するどころか消滅させてしまわないことを祈るばかりです。