「これのおかげで人生変わった」は一生現れない。

「いつかいつかという奴に、いつかは絶対やってこない」

沢木耕太郎の『一瞬の夏』の中に出てくる言葉だ。

私もこの「いつか」という言葉をよく使う人間だ。
いつかいつかと言い続けて、こういいおじさんになってしまった。
やりたいことはいくつもあったのに「いつか」のせいで何も成し遂げてない。

いつか海外を旅してみたいと思っていた。しかし、結婚し、子どもが出来た。もうフラフラと旅をすることも出来ない身になってしまった。海外の流浪の旅の夢は、途絶えた。

いつかコピーライターとなって広告の仕事をしてみたいと思っていた。しかい、新しく雇ってもらえるには遅すぎる歳になった。そもそも、コピーライターとして大きな仕事を頼まれるには、学歴がなさ過ぎた。それに気が付かず、「いつか」なれると思っていた。

時々、インタビュー記事とかテレビの取材なんかで「この本に巡り合えたから人生が変わった」とか「この作品に出会えたから今がある」などという物をよく見る。

私は、それに巡り合うことをずっと望んでいる。

いつか、自分の人生を変える出来事が、物事が目の前に現れ、自分を救ってくれる。そして、人生は好転する。と。

しかし、「いつか」は絶対やってこないのである。
自分の短い人生を生きた中で、「いつか」と思って何かを成し遂げたことなど、一度もない。そもそも、自分の人生を好転させるのに外部からの要因でなんとかさせようとしているのがダメなのだ。自分の人生を好転させるのは、自分が。他者や外部の物ではない。

今が「いつか」である。
双極性障害というハンディキャップを背負いながらも、私は前を向かなくてはいけないのである。

楽しみであり、怖くもある。
これから何十年経って、また同じように「いつかは来なかった」と思わないようにしたい。そのためには、情熱が必要である、覚悟が必要である。

少しづつ、その情熱・覚悟を持てるよう、今はただこうして書こうと思うのだ。

もう一度言う。

「いつか」は一生やってもない。

人生を変える○○も、一生現れない。

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