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「コードギアス 奪還のロゼ」をMAXで楽しむコツ

今回は、「コードギアス 奪還のロゼ」について書きたい。
まさか、ここにきて「コードギアス」新作をお目にかかれるとは・・。
しかも驚いたのは、今回はルルーシュが主役じゃないという。
ということは、「亡国のアキト」パターンか?
あれは、ルルーシュがちらっとしか出てこないスピンオフだったんだけど、それでも確かに、しっかり「コードギアス」っぽさはあったと思う。

①CLAMPの原案による妙に艶っぽいキャラデザ
②選民思想バリバリのブリタニア貴族の鬼畜っぷり
③とにかく動きが恐ろしく速い、ナイトメアフレームの機動性
④やけにクローズアップされる、軍事の戦術面

上記4つほどの条件が揃えば、それなりに「コードギアス」になっちゃうんだよね。
特に最重要とされるのは、やはり①だろう。
極論すれば、①、③という条件さえ満たしていれば、もうそれだけで十分「コードギアス」である。

「コードギアス 奪還のロゼ」

「でもルルーシュが主役じゃないコードギアスなんて、そんなのコードギアスじゃない!」

と言いたい人たちの気持ちもよく分かるよ。
確かに、ルルーシュはアニメ史に名を残す強烈な主人公だったのは事実。
人気声優・福山潤さんの最高傑作といっていいんじゃないかな?

ルルーシュ

このケレン味ある身のこなし、CLAMPデザインの妖艶な風貌。
この厨二キャラに福山潤さんのやけによく通るクリアボイスがつくと、もうそれだけで独自の世界観ができちゃうんだよね~。
だけど、もう彼を主人公に据えるのは難しいだろう。
なぜって、劇場版「コードギアス 復活のルルーシュ」〔2019年)において、ルルーシュはもはや人間を超越した存在になっちゃったから・・。
ヒロインCCと同様、ギアスを使う側ではなく、与える側に回ったわけだね。

よって、今後の「コードギアス」シリーズ新作の主人公は、「ルルーシュによってギアスを授けられた者」という設定になるんだろう。
果たして、どれほどの数の人間にあの能力が授けられたのか、あるいは今後授けることになるのか、それは分からない。
でも、まずは1人目ということで、それが今回の「奪還のロゼ」である。
最初が肝心だよな~。
ここで派手にコケてしまえば、「コードギアス」サーガ構想はいきなり頓挫しちゃうから。
で、よ~く熟考した結果、敢えて主人公を女子にしたんだね
しかも、男装の麗人という池田理代子的世界観、やや「ベルサイユのばら」を彷彿とさせる少女漫画的土俵に持ち込んできたわけだ。

「奪還のロゼ」主人公ロゼ(皇サクヤ)

彼女、「ベルばら」でいうオスカルみたいなもんさ。
これは、発想としてなかなかうまいかも。
というのも、ここで普通に男性を主人公に据えちゃうと、どうしたって先代ルルーシュとの比較論に終始してしまうから。
でもって、ルルーシュを超える男性キャラとか、そんなの簡単に作れるわけないじゃん?
ならば敢えて「ルルーシュとは比較対象になり得ない存在」、そう考えると一番手っ取り早いのが女性キャラということに。

で、今回の主人公・ロゼを見る限り、制作サイドはかなり「女性視聴者層」を意識してると思う。
もともと、このての宮廷劇は男子より女子の方が好きでしょ?
でもって、「女子が男子のフリして男性社会で頑張る」ってやつは、昔から少女漫画におけるひとつの定番なのよ。

「ベルサイユのばら」
「桜蘭高校ホスト部」
「花ざかりの君たちへ」

男性の多くは、こういうものの良さをあまり理解できないと思う。
しかし、女子は大好物なんですよ。
たとえば、男子は「宝塚歌劇」の良さってあまり理解できないでしょ?
だけど私の周りには、宝塚にハマってる女子が結構いてねぇ・・。
基本、女子は本質的にジェンダーのネタが好きなんだと思う。
このところ女子に大人気のBLってやつも、多分その一環だろう。
かくいう私も

「・・お、お前、女だったのか?」


というのを、「生涯一度は言ってみたいセリフ第7位」に設定している。

主人公ロゼの正体、皇サクヤ
こういうワケ分からんモーションとか、個人的には超ツボでしたわ

で、この画の女性がロゼの本当の姿で、こんな長い髪が短髪のカツラの中に収まるか?というのは別にして、「うわ~、どうしよう~、バレちゃう~」とか、キャーキャー言いながら見るのが「奪還のロゼ」の正しい楽しみ方である。
特に、男性諸君に言いたい。

「コードギアス」は、もっと心をオンナノコにして楽しむべきものだ。


これを踏まえてない人は、「亡国のアキト」あたりを例にとってツマンネーとか言ってるんだが、そう言っちゃう人は多分、心の乙女成分が足りてないんだと思う。

これは私の持論として、もっと我々は視聴する対象によって心のスイッチを切り替えていくべきじゃないか、と。
たとえば「コードギアス」シリーズの場合、私は心の乙女スイッチを入れるぞ?
また同じサンライズでも、「ガンダム」宇宙世紀シリーズなら心のオッサンスイッチを入れて臨むけど。
こういうスイッチをもたず、心のチャンネルが1個しかないような人って、おそらく見た作品の半分以上をツマンネーとか言っちゃうんだろうね・・。

「プリンセスプリンシパル」

で、「奪還のロゼ」を楽しむ上でのコツをもう1つ。
それは本作の原作者・大河内一楼が以前に脚本を手掛けたオリジナルアニメ「プリンセスプリンシパル」を押さえておくことだろう。
この作品で使った舞台設定を、大河内さんは「奪還のロゼ」にてまんま転用している。
貴族社会、王妃の入れ替わり、偽王妃の頑張り、本物王妃の頑張り、そして両者の厚い友情。
もうひとつ付け加えると、大河内さんは脚本家デビューが「∀ガンダム」であり、皆さんご存じの通り、「∀ガンダム」もまた王妃の入れ替わりをネタにした物語だったわけです。
あるいはこの設定って、大河内さんにとっては何か大きな意味をもつのかもしれないね。

ロゼ第3の顔「喫茶店従業員のラズベリー」

で、少しややこしいけどロゼにはもうひとつの変装パターンがあり、それが「喫茶店従業員のラズベリー」というやつなんだ。
困ったことにロゼの(偽の)兄であるアッシュがこのラズベリーに恋をしてしまうという、もうこの上ないほどの古典的少女漫画展開(笑)。
こういう展開はオンナノコがきゃっきゃいって喜び、一方オトコノコ的にはうんざりしたかも。
でもさ、いいじゃん。
硬派な「ガンダム」だと、あまりこういうお遊びはできないでしょ?
「コードギアス」の良さは、その軟らかさとラブコメ要素である。

で、ロゼは先代ルルーシュと比較すりゃ、やはり能力的にはかなり劣る存在なのよ。
チート能力「ギアス」をもってしても、結構な頻度でミッションに失敗するし。
・・いや、その設定で良かったと思う。
だって、この作品の本質は

「チート能力を手にしたロゼが、様々な失敗を経て、こんな能力は必要ないと最終的に気付くまでを描いた成長録」


なんだから。
ゆえに、変にルルーシュみたく「デキる人」である必要はない。

武力担当の兄アッシュと、知略担当の弟ロゼという(偽の)兄弟

率直に言おう。
「コードギアス」というドラマにおける最重要の軸は「天才による頭脳戦」でも「ギアスという能力」でもなく、実は「愛憎劇」の方なんだ。
「反逆のルルーシュ」ではルルーシュ⇔スザク、そして「奪還のロゼ」ではロゼ⇔アッシュ。
特に今回のロゼ⇔アッシュの愛憎関係は、かなりドロドロに込み入ってる。
このドロドロを楽しめるか否かが、ひとつのポイントである。

基本、「コードギアス」における最大のキモは主婦向け「昼ドラ」みたいなものなのさ。


「昼ドラ」でピンとこないなら、「財閥御曹司が必ず出てくる韓流ドラマ」と言い換えてもいいし、どっちにしても「女子向けコンテンツ」と言うべきだろうね。
やっぱ、「コードギアス」は心のチャンネルをオンナノコにすべきものだと思うなぁ・・。

とはいえ、ちゃんとオトコノコ向けにこういうのも出てきます↓↓

ラスボス・ノーランド

・・これ、「ガンダム」だっけ?

そういや、「ガンダム 水星の魔女」も大河内さんの脚本だったわ。
「水星の魔女」もまた、貴族同士のドロドロ愛憎劇だったんだけど。

「ガンダム 水星の魔女」

そして、今回のノーランドも仮面つけてる以上は「何かあるな」と思ってたが、なるほど、その正体は「コードギアス」ファンに向けたサービスっぽいものだったね。

あと、ファンサービスとしては、旧作メンバーが結構たくさん出てきたのは嬉しい限り。

ニーナアインシュタイン
紅月カレン

「亡国のアキト」からもちらっと出てたし、そのうちオールキャスト企画で何か大型企画をやってくれそうな気もする。
思えばサンライズも、このてのやつは「ガンダム」シリーズだけが頭ひとつ抜けた、イビツなほどの1強体制だからね。
それに次ぐシリーズという意味でも、「コードギアス」を今後大型化して、育てていこうという方向性は悪くないかも。

そんなわけで「奪還のロゼ」、未見の方は是非ご覧になって下さい。
特に心に乙女成分のある人なら、絶対楽しめるはず。


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