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劇場版「ポケモン」は、もうオワコンなのか?

今回は、アニメ「ポケットモンスター」について書いてみたい。

まぁ、ポケモンを知らん人はこの世にほとんどいないだろう。
とはいえ、アニメ「ポケモン」をがっつりと見たことない、という人は多いんじゃない?
かくいう私も、その例外じゃないし。
だって、これシリーズとしてめっちゃ長いもん。

どうやら、サトシとピカチュウを主人公にした元祖シリーズは2023年で一応完結したらしく、それだけでも26年分、通算1240話もあるという。
未見の人が、今からそれに挑むのは無謀ってもんさ。
何なら、元祖シリーズの後に始まった新主人公リコとロイのシリーズの方はまだ80話程度だと聞いてるし、そっちの方に挑戦する方がまだ無難かもね。

新「ポケットモンスター」(2023年)

でもこれ、ピカチュウがどっちかというとサブキャラに回ってるのよ。

・・いやいや、あかんって、このシリーズはピカチュウが中心でなきゃダメでしょ、と考える人はきっと多いと思う。
仮にそう考えるなら、やっぱ元祖シリーズの方にいかなくてはなるまい。

いや、そこまでがっつり<沼>にハマる気はないし、ほんのりとエッセンスさえ楽しめればええねん、という人も多いと思うので、そういう大多数の方に私が是非お薦めしておきたいのが、劇場版「ポケモン」の視聴である。

劇場版「ポケットモンスター」シリーズ

劇場版「ポケモン」のいいところは、

テレビアニメ本編を見てない人も、全然ついていける


というところだね。
こういう点は、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」と同じ構造。

劇場版の長編は、全部で23作品あるらしい。
それを全部見るのはさすがに骨が折れるので、どれかお薦めは?ということになると、まず最初に挙げるべきなのは記念すべき第1作目のこれ↓↓

「ミュウツーの逆襲」(1998年)

これの興行収入72億という記録は、いまだ歴代首位。

これに出てくるミュウツーというキャラは、歴代シリーズの中でもおそらく最強だろうとされるチートで、「バキ」でいう範馬勇次郎みたいな位置付けだと思う。
そんなのを1作目に出しちゃダメだろ?と思うけど、出してしまったものは今さらどうしようもない。
以降、シリーズでは様々な最強ポケモンが出てくるが、それでも内心みんな「ミュウツーよりは下だろ?」という思いを正直抱いてるんだよね(笑)。

ミュウツー

あまりにも本作が秀逸だった為、2019年には3DCG版でリメイクされたほどである。
それほどに飛び抜けた扱いの一作。

しかし、これの内容は結構難しいんだわ。
まずメインのミュウツーというのは、科学者グループの手によって人為的に培養されたポケモンのクローン体で、その出自からして通常のポケモンとは一線を画している。
そして、その出自のせいか「俺は誰だ?」という自問をずっと繰り返してるというコジラセ系。
そう、オリジナルではないクローンゆえ、<自分>が<自分>であることがよく分からなくなってるんだね。
しかし、こんな難解な設定、おそらく「ポケモン」のメイン視聴層って子供だろうに、彼らにこれが理解できるのか?

・・いや、本作が大ヒットしたというところを見るに、ちゃんと子供たちにもミュウツーの苦悩が伝わったんだと思う。
というか、逆に相手が子供たちだからこそ伝わった、というべきかな?
皆さんも、自分が子供だった時のことを少し思い出してみて。
それこそミュウツーみたく、「俺は誰だ?」という自問を繰り返してる時期というのがなかった?
私は幼稚園児の頃、それがあったなぁ・・。
で、ある日突然、「あっ、俺は俺だ!」と気付くわけよ。
今思うと、これが<自我の芽生え>というやつだったのかな?

人間誰しも、幼少期にこういう経験を経てきてると思うので(オトナになるとそれを忘れちゃってるが)、そういうのがまだ生々しく記憶に残っている子供にこそ、ミュウツーの苦悩が手に取るように分かったのかも。
逆に、オトナは「俺は誰だ?」を繰り返すミュウツーを見て、「こいつ馬鹿なの?」と素のリアクションをしちゃったかも(笑)。
いやいや、このての児童向けコンテンツを見る時には、ちゃんと童心に戻ることをお薦めいたします。

「キミにきめた!」(2017年)

で、「ミュウツーの逆襲」以外でお薦めは?と聞かれたら、私はまず、この「キミにきめた!」をお薦めしておきたい。
これ、97年「ポケモン」TVシリーズ、一番最初の原点に戻ってるやつなんだよ。
サトシとピカチュウの出会いからやり直してて、じゃ、純粋にリメイクかといえば全然違うんだが、でも「ポケモン」完全ビギナーの人ならこれを入門編として見始めるのも全然OK。

というかね、本作が作られた2017年以降、劇場版「ポケモン」は原作ゲームから独立したオリジナル路線になって、バトル中心からドラマ中心にシフト変換してるんだよね。

・・で、その結果、どういうことになったのか?

【2017年】劇場版第20作目「キミにきめた!」

興行収入⇒35.5億

【2018年】劇場版第21作目「みんなの物語」

興行収入⇒30.2億

【2019年】劇場版第22作目「ミュウツーの逆襲EVOLUTION」

興行収入⇒29.8億

【2020年】劇場版第23作目「ココ」

興行収入⇒20.2億

はい、非常に分かりやすい数字の推移だね。
ここ数年、回を重ねるごとに興行収入は落ちてきてて、遂に最新作「ココ」は約20億というダントツの最低記録を樹立。

もう「ポケモン」はオワコン・・?


うむ、結局は「ココ」の2020年以降、劇場版「ポケモン」のリリースは全くされなくなってしまいました。
・・でも、誤解しないで。
これら最近の劇場版「ポケモン」は、面白くなくなったから数値が落ちたというわけではないと思うから。
というより、私が見た感じでは今までよりむしろ面白くなってたほどだし、これはあくまで個人的感想だが、

興行成績の史上最低を記録した「ココ」こそ「ポケモン」史上最高傑作だと私は思ってるんですけど?

正直、劇場版「ポケモン」で1番泣いたのは「ココ」だし、2番目に泣いたのは「キミにきめた!」だし、3番目に泣いたのは「みんなの物語」。
ようするに、直近の劇場版は全部が号泣系なのよ。
・・いや、逆にこれがダメだったのかもしれない。
「ポケモン」のメイン視聴層はあくまで子供であり、子供からしてみりゃ

「お涙頂戴はエエし、はよバトル始めろや!」


といったところだと思う。
あと、ストーリーが原作ゲームから乖離したアニメオリジナルとなったことで、ゲームファンだった子供たちが離れたというのも大きいかと。
でもね、ゲームファンでも何でもない私から言わせてもらうなら、ドラマはオリジナルになったことで自由度が上がり、めっちゃテーマがはっきりしてきて脚本クオリティは上がってるのよ?
もう、このへんは「ポケモン」の捉え方の違いか・・。

・・ともあれ、今後劇場版の新作が作られるとして「サトシ&ピカチュウ」編でなく「リコ&ロイ」編だろうし、もう今後ピカチュウが主人公の映画が見られないと考えただけでも、悲しくて悲しくて・・。

ぶっちゃけ、サトシはどうでもいいんです。
私はピカチュウが見たいから「ポケモン」を見てるわけだし、ピカチュウがメインじゃない「ポケモン」とか、お米を使わないオニギリさ。

というか、このピカチュウのキャラデザインとかキャラ設定したのはどこの誰だか知らないけど、これ考案した人はちょっと天才だと思う。
もうね、サイズ感といい、フォルムといい、適度な肉付きといい、セリフが「ピカチュウ」や「ピカピカ」しか言えないところといい、ホント完璧だといっていい。

もともと、「少年と動物との心の交流」というのは児童向けのコンテンツにおける昔からの王道中の王道であって、それは「フランダースの犬」しかり「あらいぐまラスカル」しかり、そういう名作群の系譜の上に「ポケモン」の軸足はあるよね。

そもそも、ピカチュウを含めたポケモンって、一体何なの?


<架空の生き物>といってしまえばそれまでだが、ようするに、この世界観は<異世界ファンタジー>ってこと?
多分、そういうふうに捉えている人も多いだろう。
でも私の解釈は少し違ってて、それは前述「キミにきめた!」の中での描写なんだが、作中、サトシは明らかに一回死んでるのよ。
身を挺してピカチュウを守ろうとし、その結果、敵ポケモンの攻撃をモロに食らって死亡。

死亡したサトシ
号泣するピカチュウ

これ、めちゃくちゃ泣けるシリーズ屈指のいいシーンなんだけど、ただ気になるのは、何で<死亡⇒透明になって消えていく>という表現だったのか、である。
いくら異世界といえど、生身の人間が死ぬ時はこういう表現にはならないよね?
となると、考えられることはひとつ。

<サトシは生身の人間じゃない>
⇒サトシとは、アバターである
⇒つまり、この世界はプログラム(ゲーム)


まぁ、ミもフタもない言い方すると、結局はそういうことになっちゃいますよ。
でもそう考えると、ポケモンのような不思議な生き物がいる世界観にも一応の整合性が出てくるってもんさ。

ひょっとしたらだけど、遠い将来には人類もいよいよ肉体を捨て、アバターとしてプログラム世界の方を生活圏にしてるのかもしれないなぁ。
「ポケモン」がそういう世界観だと断言はしないにせよ、でもこれ、任天堂のゲームが原作だからね?
これを作った人に、そういうプログラム世界という発想が根底にあったことはほぼ間違いないだろう。

まぁ、ぶっちゃけ、そんな細かいことはどうでもいいんですよ。
私としてはプログラム的仮想世界だろうがファンタジー的異世界だろうが、そこにピカチュウさえいてくれればOKですわ。
というか、大谷育江が「ピカチュウ~」とさえ言ってくれれば、それでOKだし。

とにかく大谷さん、この人ピカチュウといい、チョッパーといい、かわいいをやらせたらマジ無双だよね・・。


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