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劇場版「ウマ娘」、想像の斜め上をいくヤバい映像表現!
今回は、映画「ウマ娘プリティーダービー新世代の扉」について書いてみたい。
今年の春に公開された、「ウマ娘」の劇場版だね。
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これの興行収入はきっちり10億を突破したらしいんだけど、でもその数字に対する配給側のリアクションは「期待外れ・・・」というものだったらしいんだわ。
えっ?10億突破して、期待外れなの?
どうやら関係者は、その2~3倍を想定していたようだ。
・・まぁ、このアニメは確かに結構なドル箱だからね。
なんせ、TVシリーズ2期の円盤売上が20万枚を突破しており、これはアニメ史上歴代NO.1の大記録である。
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<TVアニメ歴代円盤売上TOP10>
【1位】ウマ娘プリティーダービー2期(約20万枚)
【2位】新世紀エヴァンゲリオン(約13万枚)
【3位】ラブライブ!(約11.6万枚)
【4位】おそ松さん(約11.4万枚)
【5位】進撃の巨人(約8.3万枚)
【6位】化物語(約8.2万枚)
【7位】魔法少女まどか☆マギカ(約8万枚)
【8位】ユーリ!!!ON ICE(約7.6万枚)
【9位】機動戦士ガンダムSEED DESTINY(約6.8万枚)
【10位】マクロスF(約6.4万枚)
(※なお劇場版の円盤ではジブリ関連が圧倒的に強く、100万枚以上の売上がたくさんありますのであしからず)
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しかし、このランキングを見る限りだと、確かに興収10億程度で満足してるようではいかん気もする。
ただね、この「ウマ娘」2期は確かに凄かったんだが、その後の3期の売上は約2万枚と明らかに下降傾向にあり、「結局2期だけかよ!」という捉え方もできるわけで・・。
まぁ、この際数字はちょっと置いとくとして、じゃ、内容はどうなんだ?という話。
これは、いまどき珍しい熱血スポ根「泣ける」系で、特に2期はそのドラマの評価がかなり高かったんじゃないだろうか?
いや、個人的には「泣かせたる」という意図があまりにもミエミエすぎて、正直ちょっとあれでしたわ。
と言いつつ、ぶっちゃけ泣いたけどね・・(笑)。
ただ、私としてはこの「ウマ娘」シリーズって、そっちのドラマ部分よりもむしろ「画」としての表現力の方が面白いアニメだったのさ。
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何なの?この疾走感のエゲツなさ(笑)
なぜか、風(空気)が可視化されとるし・・。
「走る」というだけのシンプルな競技だけに、やはりその走りをどうやって表現するかこそがキモなんだよね。
普通、人間はここまで極端な前傾姿勢では走らない。
・・あ、そういや、この子たち普通の人間じゃないんだったわ。
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やっぱり、まずはこのアングル。
カメラ視点としてローアングルなのよ。
普通、我々が見るレースというのは、大体が上からのアングルである。
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でも、カメラを走者たちの目線の高さにまで下げると、やたら迫力出るわけです。
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でさ、劇場版は特に、この低い位置のアングルのとり方がホント見事だったんだよね。
TVアニメの時より、かなり進化してるわ。
カメラ位置が目線よりさらに低いし。
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さらにレース中の心理描写も、TVアニメの時より一歩踏み込んだ作画だったと思う。
走りながら陶酔し、イッちゃう感じ
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走りながら、なんか別の世界が見えちゃってる感じ
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なんか変なスイッチが入っちゃった感じ
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目からビームが出ちゃった感じ
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ビームを撒き散らしちゃった感じ
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こういう画の数々を見て、もうお分かりだろう。
・・そう、この劇場版「ウマ娘」って、
<金田伊功エフェクト>のオンパレードなんだよ!
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金田さんは70年代から台頭したアニメーターだが、彼は出崎統&杉野昭夫による「止め絵」「ハーモニー」「3回PAN」などの<エフェクト>を別の形で解釈した人物というか、「めっちゃ動いて見えるが、実をいうと作画枚数はそれほど多くない」という異様に巧いゴマカシの<エフェクト>を開発した作画屋なんだわ。
ポイントは、遠近法、フラッシュ照明、ねじ曲がり、効果線など。
それらが「金田パース」「金田びかり」「金田ポーズ」「「金田ビーム」「金田爆発」といったところで、これらテクニックにより日本式リミテッドアニメーションがもう一段階進化したともいえよう。
彼の作画から、日本アニメ独特の「カブいた動き」(←外国人アニメーターは、いまだこれをなかなか会得できないらしい)が生まれたんだね。
結果、「動く画」派の宮崎駿の寵愛をも受けることになり、ジブリでも数々の名シーンを作画。
また彼独特の躍動感ある作画に影響を受けた、<金田派>なるアニメーターの派閥が後に自然発生することにもなったんだ。
いうなれば、近代文学でいうところの「白樺派」みたいなものか?
<金田派>のアニメ作品群
こういうの↑↑見てると、今の日本アニメーションのど真ん中の芯を作ったのは、他ならぬ金田さんであるような気さえするね。
「板野サーカス」の板野一郎も、金田さんの信奉者だったらしい。
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多分だけどさ、「ウマ娘」のアニメが商業的に成功したことには複数の要因があると思うけど、ひとつに、その支持層をあらゆるところから引っ張ってこられたことが大きいと思うのよ。
・原作ゲームのファン
・萌えアニメファン
・競馬ファン
・アイドルアニメファン
・スポ根ファン
そして私は、意外とあると思うのが
・アニメーションとしての作画ファン
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なんだよね。
・・いやホント、アニメ好きからして、これは画がめっちゃ面白いよ?
ただ走るという単純なモーションを、ここまで面白く描いてるアニメは他にないと思うし。
だから劇場版「ウマ娘」を未見の方、中でも特に<アニメーション>が好きという方、騙されたと思って一回ご覧になってみてください。
絶対、「うぉ~っ、金田オマージュ~ッ!」とビビると思うし、途中から「・・あれ?今自分って、『グレンラガン』見てるんだっけ?」と勘違いをして、いつの間にか心がドリル待ち状態になるはずです。
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果たして劇場版「ウマ娘」にドリルは出てくるのか?
それは、本編を見てお確かめください。
さて、この「ウマ娘」は一体どこの制作会社が作ってるのかということだが、これはCygamesPicturesというところ。
Cygamesの完全子会社で、最近はゲーム原作のアニメ化のみならず、アニメオリジナル作品まで制作している。
「ウマ娘」以外で、この会社が制作したアニメでよかったのは「プリンセスコネクト!Re:Dive」だね。
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<画が綺麗な「このすば」>と評された作品である。
そのへんの中堅制作会社なんかよりも、よっぽどマトモなアニメを作ってるところだと思う。
Cygamesは結構侮れない、というか、いや、どっちかというとゲームの制作会社そのものが侮れないんだよ。
だってさ、前述の金田伊功さんだが、彼は亡くなる10年ほど前から、
アニメ界から去って、ゲーム業界に移籍してたんだからね?
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彼はスクエアエニックスに所属し、「ファイナルファンタジー」等を手掛けていたらしい。
・・なぜ、アニメ界のカリスマがゲーム業界へ?
そのへんの詳細は全く知らんのだが、でも想像するに、アニメ界よりゲーム業界の方が給料がよかったのでは?
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おカネという問題は、やっぱ大きいよね。
おカネを出すところには人材も集まるし、Cygamesもバックについてるのは藤田晋のサイバーエージェント。
そのへんのアニメ制作会社なんかより、よっぽどイケイケだろう。
そりゃ、侮れませんってば。
・・まぁ、いいんだけどさ。
アニメ⇔ゲームは、いまやメディアミックスでファミリーみたいなもんだし、CygamesPicturesのような制作会社はむしろ大歓迎である。
あと、似た系統の会社で、Yostar Picturesというのもあったね。
Yostar Pictures制作アニメ「アークナイツ」
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このアニメもまた、めっちゃ映像のクオリティ高かったと記憶している。
とはいえ、CygamesPicturesにせよYostar Picturesにせよ、何でケモ耳キャラにこだわるのかねぇ?
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とはいえ、とりあえず今は、アニメはアニメ、ゲームはゲーム、なんてことも言ってられない時代だろうよ。
少なくとも、TVアニメ歴代NO.1円盤売上記録を更新したのが、CygamesPicturesだというのは紛れもない事実だし。
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