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劇場版コナン「黒鉄の魚影」、スパイサスペンスとして面白すぎ!

今回は、劇場版「名探偵コナン」について少し書こうと思う。
皆さんは、「黒鉄の魚影」って見た?
これは2023年の作品で、確か何か月か前に地上波放送されてたと思うけど、その時に私はうっかり見逃していて、割と最近になってこれを見たんだ。
これの劇場公開時の興行収入は、なんと138億円!
劇場版「コナン」シリーズ初の100億超え達成を成し遂げたわけだね。

「黒鉄の魚影」(2023年)

しかし、よく考えてみてくれ。
あれほど社会現象化した「エヴァンゲリオン」ですら、興行収入のMAX値は「シンエヴァ」の102億なんだぞ?
それを「黒鉄の魚影」は楽々と30億以上も上回ってきたわけよ。
しかも、なんら社会現象化もせずに、だ。

思えば、「コナン」のアニメデビューは1996年(原作は1994年)、そして「エヴァ」のデビューは1995年。
両者は、ほぼ同期といっていい間柄だろう。
まぁ、ターゲットとするところ、そしてコンセプトそのものが全然違うけどさ。
「エヴァ」は、敢えて客層の狭いところを狙ったコンセプト。
これは想像だが、まさかあれほど社会現象化するとは、実は庵野さん自身、想定外だったんじゃない?
だって、どう考えても厨二限定のオタク向けじゃん。
ただし、それに時代の追い風が吹いたんだよなぁ・・。
思い出してみてくれ。
「エヴァ」がデビューした1995年って、関西では阪神大震災、そして関東では地下鉄サリン事件、つまり日本の東西両拠点が大ダメージを食らった年なんだよ。
あの頃の時代の空気を覚えてる?
それこそ、こんな空気感だったよ↓↓

そう、これは庵野さんも狙ってやったことじゃないだろうけど、なぜか時代の方が「エヴァ」にすり寄ってきたのさ。
付け加えると、95年は押井守「GHOST IN THE SHELL」公開の年でもあり、そういう鬱屈とした時代の空気だからこそ、敢えて難解で内省的なモノに人々は惹かれたのかもしれない。

で、そんな時代の潮流の中、1996年、「コナン」はデビューしたんだ。

   うふふ、コナン君、かわいい~♡
        ほのぼの~♡

もうね、完全に「エヴァ」の真逆。
コナンとシンジは、人種として全く相容れない真逆のキャラである。

コナン⇒見た目はコドモ、頭脳はオトナ
シンジ⇒見た目は14歳、精神は小学校低学年レベル

で、私は当時として「エヴァ」派だったし、正直「コナン」の方はほとんど眼中になかったのよ。
これ、キッズ向け、ファミリー向けのやつでしょ、と。
そうやって10年以上無視してたんだが、でもある日、めっちゃ暇だったもんで何となく「コナン」を見てしまったのね。

・・これ、日常的に人が惨殺されすぎじゃね?

そうなんだ。
ちょっと「コナン」の世界観は異常。
それこそ、道端に咲くタンポポのように死体がそこらじゅうに転がってるし、原作者・青山先生は、まるで息をするようにして人を殺してるんです。
しかも、ほのぼのした画風でそれをやってるというサイコパスっぷり。
当時、はっきり思ったね。

これ、「エヴァ」なんかより、よっぽど危険なアニメじゃん!


うん、正直ちょっとナメてたわ・・。
むしろ、「エヴァ」なんかカワイイもんである。
だって「コナン」は、そこらじゅうに黒い人がウヨウヨいるような世界観だよ?

どんだけシュールな世界観やねん・・

もうね、こういう「コナン」の狂った構造に気付いてからというもの、私は一気に「コナン」ファンに転じましたね。

一部ネット情報によると、「コナン」シリーズの累計死者数は1000名を軽く超えてるんだそうだ。
それも大量殺人による数稼ぎはほとんどなく、地道にコツコツとひとりずつ殺していった積み重ねの数値である。
ホント、こういうのコドモたちに見せててイイのかな・・。
むしろ内容的には、めっちゃアダルト向けだと思うんだけど。

というか、「コナン」の真の凄さはその「間口の広さ」である。
これが実に巧妙な作りというか、ほぼ360度、全方位から客を掴めるような巧い構造になってるんです。

私、ミステリー好きなんですけど⇒「コナン」をどうぞ
私、ラブコメ好きなんですけど⇒「コナン」をどうぞ
私、イケメン大好きなんですけど⇒「コナン」をどうぞ
私、猟奇的サイコパスなんですけど⇒「コナン」をどうぞ
私、ロリコン(ショタ)なんですけど⇒「コナン」をどうぞ
私、黒い人が見たいんですけど⇒「コナン」をどうぞ

ご覧の通り、マーケティングはほぼ完璧といっていい。
「エヴァ」が敢えて間口を狭めることで他作品との差別化をしたのに対し、「コナン」の方はその真逆、全方位型のコンセプトで差別化したのさ。
たとえば、上記以外にも「ガンダム」好きなら池田秀一vs古谷徹、つまりシャアvsアムロというライバルの構図(赤井vs安室)に興奮する仕組みになってるし、また海外ドラマファンなら、FBI、CIA、MI6、公安といった各機関のエージェントたちが凌ぎを削るサスペンスドラマに興奮する仕組みになっている。

イケメン同士のライバル構図、赤井(cv池田秀一)vs安室(cv古谷徹)

ちなみにですが、古谷徹さんはこのたびの不倫騒動の責任をとり、安室役を降板されたそうです・・。
非常に残念。
作中、安室は覆面捜査官として黒の組織に潜入してる公安のエージェントなんだが、そこでよく絡むのが、組織の女エージェント・ベルモットである。

安室(エージェント名バーボン)とベルモット

あるいは知らない人もいると思うが、この2人(古谷徹⇔小山茉美)は元夫婦なんですわ。


で、元夫婦ゆえのアウンの呼吸というか(なぜか離婚後も仲いいらしい)、両者とも凄くいい味出してたんだよね。
だから正直いうと、今回の古谷さん降板はかなり痛い・・。

71歳になってもチャラい古谷さん

で、劇場版「黒鉄の魚影」についてだが、これは「コナン」を構成する要素のひとつ、「スパイサスペンス」に全振りした作風になっていた。
やはり、「コナン」はスパイ系に物語を全振りした時が一番面白いと思う。
ゆえに「黒鉄の魚影」はサイコーだったというか、歴代の劇場版の中で本作が一番面白かったとさえ思う。
いや、これは客観的にそうだというのではなく、あくまで主観の話ね。
なぜって、私は灰原哀推しのファンであり、その灰原が本作メインヒロインだった以上、評価も贔屓目になるのはご容赦ください。

灰原哀

うん、灰原はイイ!

灰原の何がいいかって、やっぱcvの林原めぐみですよね。
林原さんは、元気系(「スレイヤーズ」)から陰キャ系(「エヴァ」綾波)まで幅広い声を出す人だが、この「コナン」ではアンニュイ系なんですよ。
灰原は見た目は6歳、中身は18歳(新一の1学年上)という複雑な役どころで、それを林原さんはデリケートに表現してくれている。
だから私の中では、完全に

毛利蘭(メインヒロイン)<灰原哀(サブヒロイン)


なんですよ。

逆に、私が蘭の何が一番ムカつくかというと

     やっぱ、コレですよね。

頭の尖った女を好きになるような特殊性癖は、コナンぐらいのもんだろう。

蘭vs組織エージェント・ピンガ

とはいえ、その蘭も「黒鉄の魚影」ではめっちゃアクションが冴えていて、超カッコいいんです。
灰原が組織に拉致された際、何の躊躇もなく敵に立ち向かっていった蘭にはマジ鳥肌が立った。
・・うむ、それに免じて、髪型の件は不問とします。

それにしても、おかしいよなぁ?
上の画2つをよく見比べてみてほしいんだが、頭の尖った部分が状況により右に位置したり、左に位置したり、かなり自由なポジショニングをしていることにお気付きだろうか。
これ、どゆこと?
・・あ、ひょっとしてだけど、あるいはこれって、蘭の戦闘モードにおけるON/OFFのスイッチ?

ってことは、あの突起は単にスイッチのツマミ部分だったのか!


そうとは知らず、今までつらく当たってゴメンな、蘭・・。

しかし、この映画の一番の見所はツマミ部分とかではなく、やはり

コナン⇔灰原のキスシーン(人工呼吸シーン)だよね。

多分、本作が興収100億超えを達成したのは、このシーンがあったからだというのは、ほぼ間違いないと思うよ。

       (;゚∀゚)=3ハァハァ


でさ、人工呼吸とはいえ、コナンの唇を奪ったことに罪悪感を抱いた灰原は、「唇の本来の所有者」である蘭に「唇」を返すわけよ。

   まさかの百合キタ~!(;゚∀゚)=3ハァハァ


こりゃもう、興収100億超えも当然の結果だと思えてきたわ・・。

でもさ、これ、ちょっと灰原のことが心配になるよね。
本人としては特にリスクを想定せずにやったことだろうけど、「唾液感染」というのは実際あるから。
まさか、例のやつ、感染してないよな?

既に感染していた灰原

   実は、もう既に発症してたりして・・。


そんなわけで、「黒鉄の魚影」はめっちゃ面白いから、まだ見たことないという人(ほぼおらんと思うが)は是非見てみて下さい。
視聴環境にない方は、ネットで「Detective Conan Black Iron Submarine」と無料動画検索してみて。
しかし、興収138億の「黒鉄の魚影」がこのレベルで面白いんだから、これを上回る、興収156億の「100万ドルの五稜星」はさらにどこまでのレベルに到達してるのか?
私はまだ見てないんだけど、ちょっと楽しみになってきた。


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