「美味しんぼ」は、欠番回の中にこそオススメがある
私は最近、「ラーメン赤猫」というアニメを見てるんだ。
基本コメディなんだけど、めっちゃ笑えるというほどでもないし、いかにも低予算風だし、ぶっちゃけ、自分でも「何でこんなアニメ見てるんだろ?」と不思議に思ってたりもする。
いや、低予算と書いたけど、実はOP曲唄ってるのが水曜日のカンパネラで、cvは津田健次郎、釘宮理恵、早見沙織、杉山紀彰(「Fate」の衛宮役ね)で、押さえるべきところはきちんと押さえてある。
この企画、マーケティングとしては非常によく練られたものだと思う。
だって、「猫(カワイイの王者)」と「ラーメン(B級グルメの王者)」という最強カップリングだぞ?
そういや昔、「猫ラーメン」というショートアニメがあったが、でもあれはシュール系ブラックコメディだったし、「赤猫」とは全く似て非なるもの。
「赤猫」の方は、ベクトルがあくまでも「癒し」なんだよね。
猫がラーメン運んでくるのを見てるだけでほっこりするし、ましてやそれが釘宮ボイスで語尾に「にゃ」を付けて喋るんだから、これは完全に反則級である。
でもって、やはりラーメンというアイテムの破壊力は凄まじい。
このてのグルメ企画というのは色々あれど、以前、ラーメン一本に絞った「ラーメン大好き小泉さん」が予想外にヒットしたのを覚えてる?
当時これを見て思ったんだが、ラーメンとアニメは抜群に相性いいよね!
この作品は「美少女(百合)」+「ラーメン」という切り口だったわけで、
きっと「赤猫」は、この方程式の応用パターンだろう。
しかし、どうも最近のグルメ企画というのは、変化球が増えてきたよな?
昔はもっと、グルメそのものを中軸に据えたド真ん中直球の王道だったように思うのよ。
たとえば、「美味しんぼ」、「ミスター味っ子」、「クッキングパパ」、「食戟のソーマ」など、いずれもが料理に始まり料理に終わる、純度の高いグルメ企画だったでしょ?
でも今は、たとえば
「異世界」+「洋食屋」⇒「異世界食堂」
「異世界」+「モンスターの調理」⇒「ダンジョン飯」
「異世界」+「ドラゴンの調理」⇒「空挺ドラゴンズ」
「異世界」+「ネット通販食材」⇒「とんでもスキルで異世界放浪メシ」
といった感じで、リアル路線から大きく逸脱しちゃってるんだよね。
やたら異世界推しである。
この傾向って一体いつからだろうと考えたんだが、おそらく、一番最初は「トリコ」じゃないだろうか?
さすがは少年ジャンプ、モンスターを狩って食うという「ダンジョン飯」的グルメ企画を、どこよりも早くアニメ化してたわけね。
じゃ、この「トリコ」の影響力が大きく、これが現在に至る潮流を作ったというのか?
・・いや、そんなことはあるまい。
ぶっちゃけ、アニメ「トリコ」は大コケしてるし・・。
多分だが、現在に至る変化球シフトの潮流に「トリコ」はほぼ関係なく、
むしろ主因は、王道側の方に「大きな問題」が生じたからなんだよ。
というのは、2014年スピリッツに掲載されたコレのことですわ↓↓
そう、皆さんも記憶に新しいだろう、
「美味しんぼ」山岡士郎の鼻血問題。
結局はこれが引き金になって、小学館が謝罪の末に「美味しんぼ」は休載にまで追い込まれてしまったわけね(現在も休載中)。
もともと、「美味しんぼ」は
「真に美食を追求すれば、産業や環境の問題に行き着くし、それも最終的には政治問題にまで行き着く」
というスタンスだったんです。
真面目だねぇ・・。
一応この鼻血問題、雁屋哲先生は福島を長期間取材した上での表現だと主張したものの、「これは風評被害を助長する表現だ」という福島側からの苦情には勝てなかったみたい。
まぁ、このへんは今でも意見が分かれてるところだし、何とも言い難い。
ただ、とにかくグルメ王道作品の頂点「美味しんぼ」が休載に追い込まれたことで、漫画界もアニメ界も、さすがに「硬派路線」「リアル路線」グルメ企画は怖くなったと思うのよ。
もちろん、グルメ企画そのものは一定のニーズがあるからやめないとして、しかし今後はやるにしても
今までよりもユルく 今までよりもファンタジー寄り
というのがひとつの既定路線になったんだろうね・・。
でも私、昔から「美味しんぼ」のファンなんです。
今でも自分で料理する時には
♪DANG DANG 気になる~♪気のない~フリしてるのが♪
と、キッチンで必ず唄うほどである。
やっぱ「美味しんぼ」は何がいいのかって、そりゃ栗田さんですよ。
特に、原作序盤の栗田さんは萌えるわ~。
だけど、アニメ版の方は割と序盤から、22歳とは思えぬほど落ち着いてるよね。
まぁ、これはこれでありだと思う。
さて、アニメ「美味しんぼ」は現在、ほとんどのオンデマンドで配信されてるわけだが、しかしその内容はTVアニメ放送分から15話分をカットされてることは結構有名な話である。
いわゆる「欠番回」ね。
色々、内容に問題があると判断されたっぽい。
しかし今は緩和されたのか、あるいは修正が入ったのか、上記15話のうち、9話分はYouTubeにて視聴が可能になっている。
その視聴可能になったものは、下記の通り。
旧15話「日本風カレー」
旧20話「食卓の広がり」
旧25話「舌の記憶」
旧26話「食べない理由」
旧36話「スープと麺」
旧40話「真夏の氷」
旧54話「江戸っ子雑煮」
旧55話「しょう油の神秘」
旧123話「究極vs至高 対決!!スパゲッティ」
・・いやいや、これの何が良かったかって、旧40話「真夏の氷」が見られるようになったことさ。
全国7000万の栗田ファンにはもはや常識だろうが、この旧40話はアニメの中で唯一というべき、
「栗田さんセクシー回」なのよ。
栗田さん、プリップリやん!!
あと、地味に田畑さんの柴田理恵臭がスゴイ!
よりによって、こんなお宝映像回をわざわざ配信からカットしてたなんて、我ら栗田ファンへのイヤガラセなの?
あるいは、田畑さんのセクシーショットに対して苦情が入ったの?
・・まぁ、今は見れるようになったからいいけどさ。
しかも、この旧40話は単に水着回というだけじゃないんですよ。
例によって、我らが富井副部長が安定したパフォーマンスを見せてくれる回でもあるんです。
さすが副部長、安定感あるぅ~!
あと、欠番回の中でお薦めしときたいのは、旧123話「究極vs至高 対決!!スパゲッティ」である。
というか、究極vs至高対決を欠番にするなんて、よく考えたらエゲツない話じゃないか。
確かに放射能問題が出てきたりするのでデリケートな回ではあるが、しかしそんな小難しい話より、この旧123話は
ラブコメ「美味しんぼ」を語るにあたり、絶対に外せないLOVE伏線回なんですよ。
山岡「・・晩飯、一緒に食わないか?」
山岡「俺には、君が必要だってことが分かったよ」
栗田「・・えっ?」
このくだり、実は原作になく、完全にアニオリなんですよ。
いや、アニオリはここだけじゃないさ。
というのも、実は冒頭からいきなりアニオリの演出が挿入されてて、これが栗田ファンの間では、もはや伝説とされてる登場シーンなのね。
なぜか彼女、頭上にファイルを乗せた状態、クチ半開きの状態で向こうから歩いてくるというシュールな登場の仕方である。
しかも、この奇行に大した意味はなく、大したツッコみもなく、ほぼスルー(笑)。
でも、このシーンで全国7000万の栗田ファンは全員、ハート射抜かれたんです。
いやホント、この旧123話を欠番にするとか、絶対に栗田ファンをナメてるとしか思えないんだが?
さて、今後の「美味しんぼ」はどうなってしまうんだろうか?
アニメとしては、雁屋先生の件もあり、ちょっと怖くてシンエイ動画も迂闊には続編を作れないっぽい。
ゆえにずっと放置され、このままいくと、アニメ「美味しんぼ」は田畑さんの結婚式が最終回クライマックスという、まさかの
「田畑エンド」
でシリーズが完結してしまったことに・・。
これでいいのか?
いや、せめて山岡&栗田の結婚まではやるべきじゃないの?
クレーム云々はどうあれ、仮にも一億数千万部の発行部数を誇るNO1グルメ作品なんだし、このままフェードアウトは、さすがにマズイと思う。
これには「シンエイ動画、頑張れ!」としか、今は言いようがないけど。
まぁ、皆さんも是非一度、「美味しんぼ」見直してみてください。
80年代後半~90年代序盤のアニメにしては、恐ろしくクオリティが高いことに気付くと思うよ。
やっぱこれ、不朽の名作です。