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推しは、「うる星やつら」から始まっている

今年、アメリカの動画ストリーミングサービス「Max」がU-NEXTと提携をしたそうで、U-NEXT加入者の私としては米国制作のアニメを目にする機会が圧倒的に増えたんですよ。
たとえば、DCの「バットマン」シリーズとかね。

「バットマン ダークナイトリターンズ」(2012年)

実写版の「ダークナイト」とか大好きなんですわ。
で、これも見たんだが、なるほど、世界観や雰囲気は実写DC映画とほとんど変わらんイメージで、確かに面白い。
・・面白いんだけど、う~ん、正直何といったらいいのかなぁ、普段日本のアニメを見慣れちゃってるせいか、どこかしっくりこない部分があるんだよね。

多分、その違和感の多くの部分は「キャラデザ」だと思う。
特に女性キャラとか、全く萌えないんだよ。
これは純粋に、日本人と米国人の美意識の違いかもなぁ。

多分、こういうの↑↑が米国人にとっての「完璧な美」である。
確かにキレイ。
国際基準だと思う。
でも日本人の「美」の感覚はちょっと違っていて、たとえば代表的なところを挙げるなら、こんな感じ↓↓なんです。

全然タイプが違う。

・・いや、厳密にいうと、70年代「ルパン三世」の時代には国際基準っぽい美を纏ったヒロインもいたんだけどね↓↓

こういうのは、いまや日本じゃ絶滅危惧種である。

で、一体いつから日本人はこんな嗜好になってしまったのか?


そこを紐解く為、今回は皆さんに「年間覇権アニメ」のラインナップを見ていただこうと思う。
そのスタートは、深夜アニメに火が点いた年、1995年(「エヴァ」開始の年)からとさせていただきます。

<歴代年間覇権アニメの推移>

(※覇権⇒年間円盤売上1位作品)
(※💗マークは萌えキャラ作品)

【1995年】新世紀エヴァンゲリオン(ガイナックス)

【1996年】機動戦艦ナデシコ(XEBEC)💗

【1997年】勇者王ガオガイガー(サンライズ)

【1998年】カウボーイビバップ(サンライズ)

【1999年】無限のリヴァイアス(サンライズ)

1990年代円盤売上1位「エヴァンゲリオン」(13.1万枚)

【2000年】ラブひな(XEBEC)💗

【2001年】まほろまてぃっく(ガイナックス/シャフト)💗

【2002年】機動戦士ガンダムSEED(サンライズ)

【2003年】鋼の錬金術師(BONES)

【2004年】機動戦士ガンダムSEED DESTINY(サンライズ)

【2005年】AIR(京都アニメーション)💗

【2006年】コードギアス反逆のルルーシュ(サンライズ)

【2007年】機動戦士ガンダムOO(サンライズ)

【2008年】マクロスF(サテライト)

【2009年】化物語(シャフト)💗

2000年代円盤売上1位「化物語」(8.2万枚)

【2010年】けいおん‼2期(京都アニメーション)💗

【2011年】魔法少女まどか☆マギカ(シャフト)💗

【2012年】偽物語(シャフト)💗

【2013年】進撃の巨人(WIT STUDIO)

【2014年】ラブライブ!2期(サンライズ)💗

【2015年】おそ松さん(STUDIOぴえろ)

【2016年】ラブライブ!サンシャイン(サンライズ)💗

【2017年】けものフレンズ(ヤオヨロズ)💗

【2018年】ゾンビランドサガ(MAPPA)💗

【2019年】鬼滅の刃(ufotable)

2010年代円盤売上1位「ラブライブ!2期」11.6万枚

【2020年】プリンセスコネクト!Re:Dive(Cygames pitures)💗

【2021年】ウマ娘 プリティーダービー2期(スタジオKAI)💗

【2022年】リコリスリコイル(A-1pictures)💗

【2023年】呪術廻戦(MAPPA)

2020年代円盤売上1位「ウマ娘プリティーダービー2期」16.7万枚

・・こうして見ると、2010年代以降、萌え系、美少女系作品の勢いはホント凄いよね。
90年代、00年代まで圧倒的強さを誇ってたサンライズが、「このままいくとマズイ・・」とでも思ったのか、急遽「ラブライブ」というオンナノコ路線に走り始めたほどなんだから・・。
彼らもそれまでは主に「美男子路線」(ガンダムOOなど)で踏ん張ってたけど、他社を見て美少女キャラの効率のよさに気付いたんだと思う。
実際、美少女系アニメってのはファン層が男性に偏ってるのかと思いきや、現実はそうでもないらしいじゃん?
意外と男女50:50に落ち着くものらしい。

で、近年の円盤売上で特に目を引くのが「ウマ娘」16.7万枚、そして「ラブライブ」11.6万枚
このふたつの共通点はいうまでもなく、

出てくるオンナノコの数がめっちゃ多い!

「ラブライブ」
「ウマ娘プリティーダービー」

ようするにこれ、秋元康商法だよね。
おニャン子クラブAKB48乃木坂46・・。
これまで秋元さんがやってきたことは、とにかくオンナノコの頭数を増やしていくことだった。
それまでもアイドルグループはたくさんあったけど、そのユニットの人数はせいぜいが数名。
しかし秋元さんは、その10倍の頭数を揃えたわけさ。
で、たったそれだけのことで、あれほど売れたんだから驚きだよね。

AKB48

やっぱ、数はチカラである。


秋元さんがオンナノコの頭数にこだわるのは、そこに競争原理を持ち込む為だと思う。
競争のメカニズムを、彼はよく熟知している。
仮にグループが3人なら、その3人というスケールまでしか競争原理が機能しないのに対し、仮にそれが48人ともなれば、その中での「承認欲求」は10倍以上にまで肥大するのさ。
つまり小さなスナックの中の競争原理と、大きなキャバクラでの競争原理は全くの別次元だということ。

で、大事なのは、この競争原理が「お客様」までを巻き込んでしまうところである。
これが不思議な現象で、なぜかお客の方まで「この子をNO.1に!」という「承認欲求」の衝動が湧いてきちゃうんだよなぁ・・。
キャバクラしかり、ホストクラブしかり。
「推し」の為なら、彼らはどんどんおカネを注ぎ込んでいくという、これは昔からの水商売マジックである。
でもまさか、このマジックがアイドルのみならず、アニメキャラにまで通用しちゃうとは・・。

「進撃の巨人」
「鬼滅の刃」
「呪術廻戦」

で、「進撃」、「鬼滅」、「呪術廻戦」などは「萌え系」ってわけではないにせよ、「推し系」という意味でいえば「ウマ娘」や「ラブライブ」とほぼ同義なんですよ。
そりゃあれだけ頭数が揃ってりゃ、見てる側として推しの1人や2人は必ず出てくるって・・。

やっぱ、数はチカラである。

秋元康

<2023年CDシングル年間売上TOP10>

【1位】Life goes on/We are young(King&Prince)

【2位】タペストリー/W(snowman)

【3位】Dangerholic(Snowman)

【4位】おひとりさま天国(乃木坂46)

【5位】人は夢を二度見る(乃木坂46)

【6位】なにもの(King&Prince)

【7位】SpecialKiss(なにわ男子)

【8位】こっから(SixTONES)

【9位】Monopoly(乃木坂46)

【10位】CREAK(SixTONES)

へぇ~、乃木坂って、まだ結構売れてるんだね?
昨年の年間TOP10に3曲もランクイン。
でもホントいうと、昨年の音楽業界はYOASOBIの圧勝だったはずなのよ。
つまり上記ランキングはあくまで「円盤の売上」であり、実はダウンロードひっくるめると乃木坂の曲は全てTOP10圏外になるんです。
ようするに、

「アイドル(推し系)の売上は、円盤に限って強い!」


という構図。
おそらく、こういうメカニズムはアニメでもまた同様だろう。

「うる星やつら」

じゃ、アニメ円盤の少し古い話をひとつ。

皆さんは、70~80年代のアニメ円盤売上がどうだったかを知ってますか?
実は、その売上集計結果を見ると、そこでダントツの売上を示してるのが「うる星やつら」ということになるらしい。

・・いや、厳密にいうと、枚数としては6000枚しか売れてないのよ。
ただし、その単価がなんと33万円(LD)。
33万×6000=49.8億。
どうやらこれ、TVシリーズ全話収録版だったらしく、予約だけで即完売し、店頭には並ばなかったというシロモノである。
しかし、33万が即完売とは、さすが「うる星やつら」。
「推し系」の元祖といっていいだろう。
思えば、この作品って

・オンナノコのキャラデザがめっちゃカワイイ
・キャラの数がめっちゃ多い


ということもあり、まさに「ウマ娘」や「ラブライブ」のご先祖様といっていいよね?
80年代という時代は、おニャン子か、「うる星やつら」か、という2択の時代だったのかも?

全ては、「うる星やつら」から始まっている。


そういう解釈でも、私は構わないと思う。


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