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サンライズは「ガンダム」だけでなく、お笑いにも頑張ってる

アニメにおいて「サンライズ」というと、まず誰しも「ガンダム」シリーズを思い浮かべるはず。
あと近年では、「ラブライブ」シリーズなどのアイドル系。
ロボット/アイドル、バトル/音楽、燃え/萌え、これがサンライズの両輪だと解釈して間違いないと思う。
でもこれ以外にも、普通に漫画原作のアニメ化なども手掛けてるわけです。
中でも、長期に渡ったシリーズで人気を博したのは次の3つ。

         犬夜叉

2000年~2004年、2009年~2010年

        ケロロ軍曹

2004年~2011年

         銀魂

2006年~2018年

犬夜叉」については、当初ゴールデンタイムの放送だったよね。
しかし、この作品については日本国内よりむしろ海外ウケが凄かったんじゃないだろうか。
米国でのDVD売上が累計100万枚を突破してるらしい。
ゆえに続編「半妖の夜叉姫」は、明らかに海外を狙った企画だったと思う。一方、「ケロロ軍曹」と「銀魂」については日本国内だけでDVD売上が累計100万枚を突破してるんだってさ。
もともとのサンライズは、「バンダイの玩具販促アニメ」を作るイメージが強かったんだが、このあたりから「円盤を売って儲けよう」という別の一面が出てきたと思う。

さて、今回取り上げてみたいのは、この3作品のうちのひとつ、「銀魂」である。
これは長寿シリーズだったけど、その一方で何度も「最終回」告知があったことは皆さんもご存じかと。
映画でも「完結編」があったわけで、しかしその後もTVシリーズは続いた。
これは売上アップを狙った「閉店セール」のような「終わる終わる詐欺」と揶揄されたりもしたが、いやいや、そういうのじゃないと思う。
おそらく、あの時点では本当に終わる予定だったんじゃないかと。
ひとつに、たとえ円盤がそこそこ売れていたとしても、このシリーズは売上以前の問題で、とにかく各方面から受けた苦情の多さについてはアニメ史の中でも最上位にランクするレベルだったと聞く。
・・まぁ、もともと原作がそういう類いのものだから致し方ないともいえるんだが、でも「銀魂」の場合はアニメオリジナル回でもクレームが多かったのよ。
たとえば、コレ↓↓

第50話(2年目初回)「節目節目で気合いを入れ直せ」

はい、「プリキュア」のパロディですね。
どうやら、東映アニメーションに無許可でこれをやっちゃったらしい(笑)。

本家「プリキュア」

上の画がホンモノの「プリキュア」であり、いかに「銀魂」が本家を忠実に再現してるかをお分かりいただけるだろうか。
主犯は、監督の高松信司さんだと思う。
この人はこれが初犯ではなく、実をいうと「SDガンダム」時代にもしっかりやらかしてるわけで、彼が手掛けた「SDガンダム猛レース」というのは米国の人気アニメ「チキチキマシン猛レース」のパロディだったのよ。
これが現在「SDガンダム」のDVD-BOXにも収録されておらず、視聴不可。
つまり、封印されてしまったわけさ。
その理由は、「あまりにも本家と似すぎていたから」らしい(笑)。
でも高松さん、全然それに懲りてないってことね・・。

ちなみに、この問題の回には高松さん自ら出演しています↓↓

エリザベスの中の人が、なぜか高松監督でした

一説によると、後日、東映アニメーションに謝罪に行ったらしい。
そこでどういう顛末になったのかは不明だが、実はこれ以降もプリキュアのパロディが再び出てきたので、多分、OKを貰えたんじゃないだろうか?

あと、私が凄いと思ったのが第113話便器を磨く事これ心を磨く事なり」である。
これは前半が原作準拠、後半がアニメオリジナルとなっており、問題はその後半アニメオリジナルの方なんだ。

まぁ、画を見てもらえばお分かりでしょうが、「ナウシカ」のパロディですね。
東映アニメーションの次は、いよいよジブリを攻めたか・・。
しかし、前回あれほど緻密に「プリキュア」を再現したのに比べると

    巨神兵が、めっちゃ雑(笑)

オリジナル同様、こいつは1発撃ったら崩れます

で、これがジブリに怒られたかどうかは不明。
多分だが、何事もなくやりすごせたんじゃないだろうか?
その論拠として、これの後に作られた実写版「銀魂」は、これでもかというほどジブリをイジりまくってたわけだし、あれができたというのは「ジブリは、意外とクレームをつけてこないぞ」という情報が実写スタッフにリークされてのことだと思う。

実写版「銀魂」のナウシカ

確か、このあたりから
監修(総監督)/高松信司
監督/藤田陽一
という2TOP体制になってたのでは?
この御二方は、「銀魂」以降にも面白いコメディを色々輩出してくれているよね。

<高松信司>

     男子高校生の日常(2012年)

         

     坂本ですが?(2016年)

         

     ぐらんぶる(2018年)

<藤田陽一>      

    おそ松さん(2015~2020年)

この御二方、いまや日本で最も笑わせられるアニメ作家じゃないだろうか。
そして御二方に共通していえるのは

かなり際どい、インコースぎりぎりの球を投げてくること

・・藤田さん、相変わらずやってますね(笑)。


だけどさ、私は「お笑い」って本質的にそういうものだと思うのよ。
「人を不快にさせないように」、「権利を侵害しないように」という笑いを突き詰めていけば、多分行き着くところはヌルくて毒のない、つまらんものだと思う。
私は、そういう毒の無いものしか許容をしない、ユートピアのような社会はまっぴら御免ですね。

ゴキブリはいるが色々な食べ物がある社会と、ゴキブリはいないが食べ物を制限された社会なら、私は前者を肯定する。


さて、こういう表現の自由、海外だとどうなんだろう?
そうね、やはりエンターテイメント大国・アメリカを見てみるのが一番いいと思う。
今回皆さんにご紹介したいのは、これは不朽の名作コメディといっていいだろう、映画「サウスパーク」です。

「サウスパーク」(1999年)アメリカ制作

これは1997年から米国のケーブルTVで放送されてるギャグアニメで、今まで26期が制作されたという長寿シリーズなんだ。
これまでエミー賞を5回受賞。
で、そういうのがホントに好きな人はそっちの本編の方を見てもらえばいいとして、さっと雰囲気だけ味わいたい人には劇場版の方をお薦めしたい。
まぁ正直いうと、

めっちゃヒドい内容ですよ(笑)。


というのも、人種差別のジョークがエゲツないし、また下ネタのジョークもエゲツないし、親としては「絶対に子供には見せたくない内容」である。
・・あ、これR15だったはず。
このシリーズ、これまで大量のクレームを受けてるのはまず間違いない。
で、この劇場版は、そういうクレームを入れてくるPTA的な人たちのことをおちょくった内容なんですわ。

絵の可愛らしさにダマされちゃいかんよ・・

子供たちの明るい未来の為に!」といって、有害と認定したものを強制的に取り締まるファシズムに走るオトナたちと、それを何とか食い止めようとする子供たちの攻防を描いた内容。
オトナたちは、なぜだか「全てカナダ人が悪い!」という結論を出し(笑)、劇中では在米カナダ人を強制収容所に連行するなど、
これ、明らかに隣国に対して喧嘩売ってないか?
と思うけど、結局、最後はその隣国との全面戦争になるという展開です。

結構グロい展開に・・

攻めてるなぁ・・と思うよ。
なぜか、サダムフセインが重要な役どころとして出てくるし・・。

かなり政治色が強く、本質的なところで

ギャグ=風刺


である。
こういうのは笑いの本質が日本のそれとは少し違うし、我々として
めっちゃ面白い!」
となる類いのものではない。

なんていうかな、笑いのメカニズムとしては、日本みたくボケ⇔ツッコミという形でパッケージ化をしてないから、登場人物がみんなボケ倒すばかりで全く締まらない、というのは正直ある。
「銀魂」でいう新八「おそ松さん」でいうチョロ松のような人材がいないのよ。
こういうの、アメリカという国のお国柄なのかねぇ?
そもそもアメリカに「漫才」という文化はないわけで、時々アカデミー賞の司会なんかをコンビでやる時にそれっぽい掛け合いもあるんだが、

アカデミー賞MCを務めたジェームズフランコ&アンハサウェイ

上の画のように、アンハサウェイが体を張ってボケ倒してるのに、その相方のジェームズフランコは全くツッコまないのよ。
だから、アンハサウェイが「ただのイタい女」に見えちゃってるでしょ?
このフランコ、日本だったら絶対許されない責任放棄だよね?
私、アンハサウェイのファンだから許せないんですけど。
この時、スベったアンの気持ちを考えただけでも、私は辛くて辛くて・・。

というのは置いといて、日米文化のギャップというものを考えてみる副教材としても、「サウスパーク」は一見の価値ありのシロモノだよ。
逆にこれを見て、

「日本のギャグアニメって、やっぱクオリティ高いなぁ」


と感じてくれれば幸いです。


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