「ガンダムSEED FREEDOM」、こりゃヒットするわな・・
今回は、映画「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」について書いてみたい。
この作品は、歴代「ガンダム」映画興行収入NO.1記録を更新し、その数値はなんと48.2億にも及んでいるという。
歴代「ガンダム」映画興行収入ランキング
【1位】48.2億
ガンダムSEED FREEDOM(2024年)
【2位】23.1億
ガンダムⅢめぐりあい宇宙編(1982年)
【3位】22.3億
ガンダム閃光のハサウェイ(2021年)
【4位】17.6億
機動戦士ガンダム(1981年)
【5位】13.8億
ガンダムⅡ哀・戦士(1981年)
【6位】11.6億
ガンダム逆襲のシャア(1988年)
【7位】10.8億
ガンダム ククルスドアンの島(2022年)
【8位】8.6億
ガンダム00 A wakening of the Trailblazer(2010年)
【9位】8.6億
Zガンダム星を継ぐもの(2005年)
【10位】6.7億
ガンダムNT(2018年)
スゴイね。
「SEED FREEDOM」、ダントツじゃん?
そもそも、アナザーガンダム(宇宙世紀シリーズ外)の中でも、「SEED」の人気はダントツなんだよね。
もともとこれ、「ファーストガンダム」のオマージュ作品として制作されたものだったかと記憶する。
純粋に「リメイク」するという案も当然あっただろうけど、さすがに創造神富野由悠季がご存命のうちに、それはやりづらいだろう。
おそらく、没後には必ず誰かがやると思うけど・・。
とにかく、「ガンダムSEED」はリメイクでなくリブートという形を選択。
とはいえ、あくまで「ファーストガンダム」オマージュという精神を貫き、
宇宙世紀⇔コズミックイラ
地球連邦⇔地球連合
ジオン⇔ザフト
ニュータイプ⇔コーディネーター
ホワイトベース⇔アークエンジェル
といった感じで、これがもう実にうまいこと設定をスライドしている。
ちなみにだが、2018年にNHKが実施した「全ガンダム投票」では、その投票の結果、1位が「ファーストガンダム」、3位が「ガンダムSEED」だったんだ(2位は「Zガンダム」)。
・・でね、その時の投票データがこれなのよ↓↓
はい、「ファーストガンダム」と「ガンダムSEED」、各々の支持層の違いをお分かりいただけるだろうか。
<ファーストガンダム>
・支持年齢層は、40代以上が約8割
・男女構成比は、オトコ8:オンナ2
⇒完全にオッサンがメイン層
<ガンダムSEED>
・支持年齢層は、30代以下が約8割
・男女構成比は、オトコ6:オンナ4
⇒意外と、若いオンナノコたちにも支持されている
・・そうね、いまどきのこういう商売って、オンナノコを押さえてナンボ、ということなのよ。
サンライズは、そこを「ガンダムW」や「ガンダム00」で既に学んでたし、後の「ラブライブ」大成功も結局はそこである。
多分だが、オンナノコは機体やバトル描写よりむしろ、人間の描写、それも特に恋愛要素、メロドラマの方に関心を寄せてたのでは?
昔から、オンナノコはそういうの好きだからねぇ・・。
思えばトレンディドラマが全盛の時でも、その人気を支えてたのは明らかに若い女性層だったわ。
でさぁ、「SEED」はまたトンデモなくイケメン揃いなんだよね。
で、イケメンほど意外と死なず、これがもうしぶとく生き残るんだわ。
富野さんなら、とっくの昔に殺してたと思うんだが?
・・いや、「SEED」はめっちゃ悲壮なストーリーの割に、意外と「皆殺し」ではない。
こういうところも、かなり商売上手である。
さて、この「SEED」シリーズは↑↑の「福田夫妻が作った」といって過言ではない。
旦那が監督し、嫁が脚本を書く。
なんとドメスティックな作品だろう(笑)。
不幸にも2016年、夫人がお亡くなりになったんだが、なぜか最新作の「FREEDOM」にも両澤さんの名前がクレジットされている。
・・遺稿ということなんだろうか?
なんかさ、それ考えるとこの作品、より一層泣けてくるよね。
もはや「FREEDOM」って、 福田監督の<奥さんへの愛>そのものじゃん?
そういや、この作品って、ビックリするぐらい甘いラブストーリーだったよね・・。
そりゃ女性ファンは喜ぶはずだし、ここまでやりゃ興収だって記録更新するわな。
でさ、この福田夫妻って、「SEED」制作にあたって「宇宙世紀」シリーズをめっちゃ研究してきたと思うのよ。
特に「宇宙世紀」で難しいのは「シャアアズナブルって、結局のところ何がやりたかったんだ?」という政治の部分だよね。
ぶっちゃけ、シャアがモビルスーツでバトルするのは、あくまで政治的理念実現の為のイチ過程にすぎなかったわけで、いや、彼にとっては地球連邦を壊滅させることですら、あくまでそのイチ過程にすぎなかったんだよ。
そのへんは「逆襲のシャア」で初めて我々も把握できたことだが、結局彼がやりたかったのは、<スペースノイド>⇔<アースノイド>という対立構造そのものの撤廃だったわけよね?
地球に小惑星を落とすことによって、地球そのものを<人類が居住不可能の星>にしてしまおうという意図。
それによって、アースノイドもまたスペースノイドという立場にならざるを得なくなり、つまり全人類が初めて<統一された同じ人種>になるわけさ。
非常に分かりやすいイデオロギー。
かつてソ連や中国で起きた社会主義革命、全国民を皆「人民」とする発想とほとんど同じ左翼主義だといえるね。
で、そういうシャアの「左翼」というイデオロギーを福田夫妻なりに解釈し、その発展形として表現したのが「ディスティニープラン」である。
これ、結構難しいんだが、私なりの最も分かりやすい解釈としては
人類=ひとつのカラダ
個人=カラダを構成する細胞
⇒個人がどの器官に適した細胞かは、適性として最初から決まっている
ということだと思う。
これこそ、<究極の社会主義>さ。
正直、私はこの新設定を見て「うまいなぁ~!」と感心したんだわ。
外装を新たにしつつも、きっちりとシャアの思想(富野さんの思想)を継承してるもん。
こういうのって、よっぽど「ガンダム」に精通してないと絶対作れない設定だよ。
・・そう、「ガンダム」って、その根源を辿っていくと行き着くところは
最終的に左翼イデオロギーなんだよね。
つまり、マルクス/レーニン/毛沢東である。
・・いや、そんな小難しい話は正直どうでもええねん。
あくまでオッサン目線で「FREEDOM」を語らせてもらうなら、
この映画のイデオロギーは、<お尻>である!
いやはや、アニメ史上最強の<お尻>は「楽園追放」アンジェラだと思ってたが、ここにきてラクスクラインもまたトンデモない逸材ということが判明してしまった。
もうひとつ、<おっぱい>というイデオロギーもあるぞ!
ちなみにだが、この映画の入場者特典はこういうモノ↓↓だったらしい。
まぁとにかく、バンダイナムコフィルムワークスは興行収入を上げる為に、ありとあらゆる手を使ってきたということ。
上の「コマフィルム」というのは、どうやら当たる画が「ランダム」だったらしく、当然のことながら
「くっそ~、<お尻>のやつが当たるまで劇場に通い続けてやる~!」
「うむ、俺は<おっぱい>だけに照準を絞って通うぞ!」
という血気盛んなファンも必ずいたと思うので、おそらく興収48億のうちの大体20億ぐらいは、ラクスクラインの<お尻>と<おっぱい>で稼いだものだと推測できるね。
だけどさ、あまりこういうのを露骨にやってると、せっかく今ついてる女性ファンがドン引きするんじゃないか・・?
・・まぁそれはともかく、映画の内容としてはめっちゃ面白かった。
よくもまぁ、2時間程度の枠で、あそこまでうまいこと大きな物語をまとめ上げたもんだわ。
なかなかの職人芸である。
おそらくだが、これほどの興収を上げたことだし、劇場版「SEED」シリーズはまだまだ継続するだろう。
近いうち、絶対また新作やるよ。