あなたはUFO信じる派?幽霊信じる派?
最近「ダンダダン」が人気だが、この作品の最も面白いところは
・幽霊は信じるけどUFOは信じない(桃)
・UFOは信じるけど幽霊は信じない(オカルン)
という2種類の主人公を出してきたことである。
・・で、皆さんはどっち派?
少し気になったので、こういうのを調査してるデータをちょっと調べてみた。
「あなたは宇宙人の存在を信じますか?」
このデータは、2007年にオリコンがアンケート調査した結果らしい。
「宇宙人はいる!」と思ってる人が8割近くもいるとは驚きである。
じゃ次、幽霊の方を見てみよう。
「あなたは幽霊の存在を信じますか?」
これは、2016年に某ニュースサイトがアンケート調査した結果らしい。
肯定派43%、否定派25%、保留32%ということで、UFOに比べるとハッキリしない結果である。
でも多分ね、このアンケートを受けたほとんどの人が、今まで宇宙人も幽霊も一度も見たことないのよ。
見たことすらないものを「信じる」と言う場合、それはその人の嗜好が出るものである。
宇宙人の存在を肯定派⇒SF派(科学を信じる派)
幽霊の存在を肯定派⇒ファンタジー派(神を信じる派)
上記のアンケート結果を見る限りだと、日本人の意識はやや「科学寄り」といえるだろうね。
ただ、次のデータをちょっと見ていただきたい。
これは統計数理研究所という公的機関が、1958年、および2008年という2度に渡って実施したアンケートである↓↓
「あなたは、あの世の存在を信じますか?」
【1958年】
信じる 20%
信じない 59%
保留 12%
その他 9%
【2008年】
信じる 38%
信じない 33%
保留 23%
その他 6%
見ての通り、50年ほどの間で日本人の意識はだいぶ変わってきてるのよ。
50年で、あの世を信じる派がほぼ倍増し、信じない派がほぼ半減。
こういう精神性というものは、カルチャーでも顕在化するものである。
<昔>
<今>
割と代表的なところピックアップしてみたんだが、<昔>はSF的というか、メタリックなメカのイメージがやたら強いでしょ?
それに対して<今>は、ダークファンタジー的な色がかなり強くなってきている。
科学的な表現よりも神話的な表現の方が主流となり、「ロボット」の範疇かと思われた「エヴァ」ですら、最後は神話型ダークファンタジーという展開を見せていたわけで・・。
私が思うに、上記のデータはね、<1958年>という初回アンケート実施年にこそ最大のキモがあるのよ。
1958年、すなわち「60年安保」以前(左翼が体制に屈する以前)。
この頃って、日本でもマルクス主義(左翼)がめっちゃ強かった時代なのね。
このマルクス主義は、徹底した「合理主義」、そして「科学万能主義」。
毛沢東が文化大革命で、中国の古い文化遺産を破壊していった史実などでもこのへんの流れはご存じかと思う。
こういうのは日本もまた例外じゃなくて、特に我が国は戦前が「神の国」という極端なファンタジー王国だっただけに、その反動で当時の若い世代は皆左翼になっちゃったわけさ。
「アンチファンタジー!目指せ、SFの国!」
<昔>は、そういう時代だったんだね・・。
だけど哀しいことだが、やがて彼ら左翼たちは国の圧力でどんどんと勢いを削がれていき、そうこうしてるうちにやがてソ連も北朝鮮もヘンテコな状態になっていくもんだから、彼ら自身、「・・ん?」という感じになっていくわけよ。
ちなみにだが、そんな「葛藤する左翼世代」というのが、アニメ界においては宮崎駿だったり、富野由悠季だったり、押井守だったりするんです。
特に、押井守のアプローチとか、めっちゃ面白いよね?
あんな先進的なサイバーパンクを描きながらも、そこに「ゴースト」という有機的要素云々を作品の最大テーマにしてたんだから・・。
さらに押井さんの下の世代(このへんからマルクス主義とか関係なくなってくる)になってくると、さらにもっと表現が自由になってくるわけさ。
その代表格が、庵野秀明だろう。
左翼(科学)にも右翼(神話)にもフラットに接することができる彼は、「エヴァンゲリオン」において
SFの土俵で「神」を描くという、これまで誰もなしえなかった偉業を成したんだ
SFとファンタジーの融合。
科学と神話の融合。
これまで水と油かと思われていたことが、実はそうでもない、ということを示してくれたのが庵野さん最大の功績だと思う。
ここを皮切りにし、00年代以降、一気にSFとファンタジーは融合していくこととなる。
多分だが、「エヴァ」の洗礼を受けた世代に、次の質問をしたら
「あなたは、宇宙人の存在を信じますか?」⇒「はい」
「あなたは、幽霊の存在を信じますか?」⇒「はい」
となる気がするよ。
「宇宙人も幽霊も、もともと、そのふたつは相反するものではない」という柔軟な思考。
きっと「ダンダダン」を描いた龍幸伸先生も、きっちり「エヴァ」の洗礼を受けた世代の人だと思う。
<「科学」から「幽霊」へのアプローチ>
あともうひとつ重要な要素として、1958年⇔2008年という50年の間に「量子力学」の進歩があったのが大きい、と私は思うんだよね。
「二重スリット実験」が行われたのが1961年のことであり、そこで
セカイの最小単位・素粒子は、「粒」になったり、「波」になったり、それは「観測次第」という事実が科学的に実証されたんです。
これって、よく考えたら、めっちゃ凄いことなんだよね。
だってさ、ある意味「幽霊」の正体に一歩近づいたともいえるんだから。
まず、我々人間を構成する最小単位もまた、「素粒子」だということを理解して下さい。
で、その素粒子が「原子」のような粒状なら、まだ<昔>の人であろうとも一応の理解はできるのよ。
粒が合わさって原子になる、というふうに解釈できるからね。
ところが、素粒子のメカニズムはそれほど単純なものじゃなかった。
素粒子とは
「観測されてる時は粒(実体)になるが、観測されてない時は粒じゃなく、波動というエネルギー体(実体がないモノ)である」
という、特殊な性質であることが実験にて判明したわけだ。
・・おいおい、人間を構成してる素材はそんな曖昧なモノだったのか?
じゃ、ロジックとしてこうなっちゃうよね↓↓
「観測」してる時⇒私は実体のある人間です
「観測」してない時⇒私は実体のないエネルギー体(霊)です
「青春ブタ野郎」にて桜島先輩の姿が周りの人たちから見えなかったのは、「観測」がないことで先輩の肉体を構成する素粒子が「粒」でなく「波」の状態、すなわち霊のようなエネルギー体になってしまっていたからである。
量子力学では
「素粒子とは、粒であり、波である。
その2つの状態が重なり合っている」
と定義されており、これを人間に当てはめると
「人間とは、肉体(粒)であり、魂/霊体(波)である。
その2つの状態が重なり合っている」
と定義できるんです。
・・と、ここまでは、科学的に解明されてる部分。
ただねぇ、死後に幽霊になるとか、輪廻転生があるとか、そのレベルの話になってくるとまた別問題さ。
個人的にはそれらが素粒子である以上、死後には「エントロピーの法則」に従い、自然に拡散するものだと考えたい。
それこそ水が、川⇒海⇒蒸発⇒雲⇒雨になって再び地上へ、といった感じで循環していくように、それとよく似たイメージでグルグル循環していくものだと思う。
ラノベみたいな「異世界」はありませんって・・。
ましてやその循環メカニズムの中で、モトの人格を維持したまま「幽霊」となるのは非常に考えにくい(人格ないやつ、一種の「バグ」ならあり得なくもないけど・・)。
仮にそれを成功させるには「観測」が必須条件だというのに、死んだ後じゃ誰も「観測」してないじゃん?
あと、私は輪廻転生にも否定的なんだよね。
大体さ、今の世界の総人口って約80億でしょ?
でも今から50年前、1974年の世界人口って約40億だったんだよね。
つまり、50年で倍増。
でさ、もし「輪廻転生」というのがシステムだとして、
40億の魂が、何で80億に増えたの?
新規の40億は、一体どこから発生したの?
ひょっとして魂には、リサイクルと新品の2種類があるの?
あるいは40億の魂を「果汁50%入り」っぽく半分に薄めて、80億に水増ししたのか?
・・ひょっとしたら我々って、お爺ちゃんお婆ちゃんの半分ぐらいしか魂を持ってないのかも(笑)。
あるいは、獣や魚や虫までひっくるめて輪廻転生するの?
仮にそうだというなら、人間(前世/人間)と人間(前世/フンコロガシ)を同列に扱っていいんでしょうか?
と、フンコロガシは考えます。
ま、いいや。
思えば今の令和って、昔の人から見たら「魔法」にしか見えない科学技術が実現してるわけで、それ考えたら、今は「オカルト」とされてることだってそのうち「科学の常識」になっちゃうこともあり得なくはないさ。
我々の孫や曾孫の世代なら、普通にターボババアと鬼ごっこをできる時代になってるかも?
いやいや、そんな世界、私にはちょっと無理。