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「刃牙」シリーズは<ラブコメ>として楽しめる!
今回は、アニメ「バキ」について書きたいと思う。
これ、Netflix放送なんだよね。
よって、有名作でありながらも意外と見てない人は多いと思う。
・・というか、これはいかにも「Netflix向き」コンテンツという気も。
なんせ、めっちゃマニアックな格闘技モノだから・・。
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これの原作は、1991年から週刊少年チャンピオンでスタートしたという。
この初代の「グラップラー刃牙」以降、「バキ」「範馬刃牙」「刃牙道」「バキ道」「刃牙らへん」とタイトルを色々変えて今なお継続中らしい。
私も、確か「範馬刃牙」ぐらいまでは一応原作を読んでたんだが、ある時期から対戦相手として原始人(?)が出てきたり宮本武蔵が出てきたりして、「あぁ、ついていけない・・」と断念したクチである。
きっと原作者・板垣恵介先生は、無類の格闘技マニアなんだろう。
そして「刃牙」シリーズの連載開始が1991年ということからして、おそらく板垣先生は当時プロレス界を賑わせてたUWF(2次)の影響をモロに受けたクチだと思う。
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いや、こんなUWFみたいな<総合格闘技系>はともかくとして、その前からプロレス界には全日本/新日本という2大勢力があったわけよ。
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もともと<保守>の全日本、<革新>の新日本というイメージがあったが、その<革新>の方から湧いて出たのが前述UWFで、これは既存の「ショーとしてのプロレス」でなく、「競技としてのプロレス」を志向するコンセプトだったと思う。
・・あ、プロレスに詳しくない人の為に一応説明しとくと、既存のプロレスとは
・相手の必殺技は逃げずに受けること
・ロープに投げられたらバウンドして帰ってくること
などの「お約束」があって、つまり五輪競技のレスリングみたいなやつとは少しニュアンスが違うわけね。
そりゃ、そういうのがないと興行としては盛り上がらないし。
だけど一方で、そういう「お約束」を撤廃した試合に多くの格闘技ファンがロマンを抱いてたのも、やっぱ事実なわけよ。
「お約束」ヌキのガチでやったら、一番強いのは誰?と。
それが、やがては「レスリング、ボクシング、空手、柔道、中国拳法などを全部闘わせたら勝つのは誰?」というニーズまで出てきて、実際90年代以降そういう興行が数多く行われたと記憶する。
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こういう時代の空気の中でこそ、「刃牙」シリーズは人気が過熱していったんだね。
・・ところが、今じゃどうだ?
地上波テレビで、格闘技なんてほとんど扱わなくなっただろ?
一時期は「K-1」を華々しく扱ってたこともあるし、いや、確かそれ以前にはプロレスをゴールデンタイムに放送してた時代すらあったと記憶する。
一時期、猪木さんの人気とか結構凄かったと思うよ?
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今の時代はコンプライアンス的にアウトだろうが、実際、猪木さんにビンタされて喜ぶ人は多かったんだ。
しかし、こういう世界観を、まずオンナノコは理解できまい!
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そう、こういうオンナノコにはワケの分からん世界観を濃縮還元したのが「刃牙」シリーズであり、今それをアニメ化しようとも、テレビ地上波では扱わなかったという流れ、なんかそれなりに納得できるんだよね(笑)。
今のNetflixは正直、昔でいうOVAみたいな位置付けになってると思うし。
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で、これの監督は誰だろうと思ったら、なんと平野俊貴さん。
そう、初代「マクロス」で作画監督やってた平野さんだよ。
でもね、この人はどっちかというと主戦場がOVAというタイプ、それこそオンナノコには理解できない系、頭悪い系のマニアックなアニメをたくさん手掛けてきた人なんだ。
正直、板垣先生の原作とは混ぜるな危険という気もしたんだが、でも見たら意外と面白かったわ。
特にいいな!と思ったのが、エンディングのアニメである↓↓
・・これ、初めて見た時は笑ったな~。
刃牙をはじめ、主要登場人物が1人も出てこないというエンディング。
出てくるのは皆、作中で「かませ犬」や「やられ役」になったザコ、つまり出番が一度しか無かったようなモブの方々である。
中には死亡した人もいるみたいだけど、やはり彼らザコの存在あってこその「刃牙」シリーズなんだと再認識。
そういう感謝の念をきちんとこういう形で示したアニメは初めて見たので、正直ちょっと清々しい気持ちになったね。
これは、とてもいいエンディングだったと思う。
あと、私は意外とこの作品を、<ラブコメ>として楽しむことができた。
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上の画は、本作のメインヒロイン・梢江である。
はい、ぶっちゃけかわいくありません。
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これほど華のないヒロインも珍しい。
いや、どう考えても中の人の方が10倍は美人だと思う。
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でもなぜか、刃牙がベタ惚れなんですよ。
で、このNetflix版「バキ」は序盤、刃牙⇔梢江のラブコメとして楽しむことが一応は可能である。
デートする刃牙と梢江
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キスする刃牙と梢江
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唾液の糸引いてる刃牙と梢江
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梢江の首筋を舐める刃牙
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・・ね?めっちゃキモいでしょ(笑)?
あまりにも生々しくて、直視するのは案外苦痛である。
それこそオンナノコが好むようなロマンティック要素はほぼ皆無で、なんかオス/メス的に粘膜系のぐちょぐちょした感じ・・。
うむ、これは実に潔く、オンナノコが見ることを一切想定してないアニメである。
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で、梢江はオンナノコなんですよ。
よって刃牙のことは好きだが、常に闘いに身を置く刃牙の生き方に必ずしも賛同してるわけではない。
実際、この子は刃牙の争いのトバッチリをモロに食らってるのよ。
刃牙の敵に拉致される梢江
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拘束される梢江
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でもね、梢江も常にやられっぱなしというわけでもない。
梢江の傍らにいるのは、喧嘩最強ヤクザ・花山薫
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なんか怒ってる梢江
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花山の脛に蹴りを入れる梢江
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ちょっとビビる刃牙
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でも、彼女はこう言った。
「最強を目指す本能なんて、たかが知れてる。
<最愛>に比べたら、<最強>なんて・・」
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この子、結構キモの座った子でした。
そうか、バトルを否定するヒロインか・・。
そりゃ確かに、基本オトコノコはバトルが好きである。
あの「ドラゴンボール」だって、当初はどっちかというと不人気作だったのに、「天下一武道会」というのを出した途端にいきなり人気ナンバーワンになったというんだから。
「誰が一番強いねん?」というのは、古今東西オトコのロマンなんですよ。
これは<人間の業>といいたいところだけど、いや、必ずしもそうともいえない。
実際、野生動物だってオス同士がバトルをし、一番強い奴がボスの座に就くというシステムになってる種が結構あると聞くからね。
で、そういう野生動物の場合、そのボスが、群れのメスたちをまるごと独占できるんだそうだ。
いわゆる、ハーレムというやつか。
つまり、このシステムでは全てのメスが群れで一番強いボスの子を産むことになるわけで、これは優秀な遺伝子をたくさん残せる⇒群れの強化に繋がるという合理的な仕組みなんだね。
徹底した一夫多妻をもって、弱い奴の遺伝子は群れの中には残さないというシステム。
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「刃牙」シリーズの世界観は、この上の図でいうと「ゴリラ系」ということになるのかな?
おそらく、人間にもそういう古い本能(ヒトに進化する以前の種の記憶)は多少なりとも残ってるので、だからオトコノコがバトル好きというのもある意味で致し方ないことといえるのかも。
ただ、問題はメスの方である。
この群れのロジックでは、メスにオスを選ぶ権利などなく、ただ強いオスを受け入れるしかない、ということになる。
・・そう、フェミニズムの視点でいうと、ゴリラ理論ってのはオンナのことを一体何だと思ってんだ?ということになるよね。
だから、梢江は怒ってるのさ。
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・・うむ、この「バキ」は、むしろ女子にこそ見てもらいたいような気さえしてきた。
梢江視点でこの物語を見てると、みんなオトコどもはアホばっかりなのよ。
とにかく壊すばっかりで、結局コイツら何も生み出してないから。
特にコイツなんて、超笑えるよ↓↓
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こういう鋼の肉体を作って、
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こういう一発芸をやったりするんです。
また主人公の刃牙も相当イタい奴で、イメージトレーニングで「最強の敵」を想定する際、「人間と同じ大きさになったカマキリ」をイメージし、それ相手に必死で闘ってるんですよ。
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・・いや、これイメージトレーニングであって、カマキリは実在しない妄想ですからね?
果たして梢江以外、こんなイタい子を受け入れてくれる女子はこの世に存在するだろうか?
そう考えると、梢江、めっちゃいい娘なんですよ。
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しかし刃牙だけならまだしも、仮に結婚してこんな奴↓↓を「お義父さん」と呼ばなきゃならんのは辛いぞ?
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あと、この人↓↓のことも「お義兄さん」と呼ばなくちゃならん。
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いや、幸せな将来が全くイメージできん・・
それでも一歩も引かない梢江は、やはり鉄のメンタルである。
なるほど、さすが「最愛」を語るだけのことはある。
あとラブコメ目線でいうと、こういう見方はする人もごく一部には存在するらしい↓↓
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で、私もそういう目線で見れるかな~と思って試してみたんだけど、いや、難しいね。
しいていうなら、ポテンシャル感じたのは烈海王ぐらいかなぁ・・。
といっても、オンナノコ目線でカッコいいといえるほどのキャラは、ホント少ないと思う。
みんな各々にキャラが濃く、ほぼ全員がキモいから。
・・あ、そういや、上記の「グラップラー刃牙はBLじゃないかと1日30時間300日考えた乙女の記録ッッ」では、確か作中、圧倒的に「愚地克已推し」だったよね。
愚地克已
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どうもBL的には、こういうのが逸材らしい。
うむ、克已はこれら顔ぶれの中ではマトモだし、私も敢えて1人選ぶとするならば、やっぱ克已一択ということになるかなぁ・・。
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