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「第三世代」のお笑いは、やっぱり面白い!
今春4月から始まる新アニメとして、地味に話題なのが「増田こうすけ劇場ギャグマンガ日和GO」という作品。
これは、お笑い好きの人たちだけ超楽しみにしてると思う。
一般層は、さほど気にしてないと思うが・・(笑)。
で、その新アニメの前フリとしてサブスクでは旧「ギャグマンガ日和」1~4がここにきて配信されており、もっぱら最近の私はそれ見て爆笑してるクチですわ。
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これ、テレビアニメじゃなくOVAだし、見たことない人も結構いると思う。
ひと言でいうと「不条理系シュールギャグ」ということになるんだろうが、1本(約5分)見れば大体の雰囲気は分かる。
じゃ、未見の方はまずこれ↓↓見て下さい。
1話完結で、大体こんな感じのやつが延々と続きます。
しかし、これコントとして非常に完成度高いと思うんだよね。
ダウンタウンの「ごっつええ感じ」を思い出させるテイスト。
・・というか、増田先生は明らかにダウンタウンの影響下にいる人だろう。
1976年生まれらしいから80年代MANZAIブームには直撃しておらず、どっちかというと、その次の「お笑い第三世代」の方の洗礼を受けたクチかと。
<お笑い第一世代>
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<お笑い第二世代>
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<お笑い第三世代>
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まぁ、この「世代」論はあくまでマスコミが作ったものであり、さほど厳密に体系化されてるものじゃないのはご理解ください。
ふわっと捉えるぐらいでいいと思う。
ただね、私もお笑いは嫌いじゃないから「第一」「第二」「第三」の全てをチェックしたクチなんだが、最も分かりやすく
「第一」⇒コント55号
「第二」⇒ツービート
「第三」⇒ダウンタウン
というサンプルで比較した際、
「第一」⇒欽ちゃんのツッコミが秀逸(坂上二郎のボケはサブ)
「第二」⇒たけしのボケが秀逸(きよしのツッコミはサブ)
「第三」⇒松本のボケ、浜田のツッコミのハーモニーが秀逸
という感じで、どう見ても「第三」の完成度が頭ひとつ抜けており、そこを基準に「第一」「第二」を見ると、正直めっちゃイビツなんだよね。
ぶっちゃけコント55号やツービートが今「M-1」に出ても、ほぼ確実に予選落ちするだろう。
いや、それほどに「第三」以降のお笑い偏差値は驚くほど上がってきてるんだ。
<ツービートに、きよしは必要だったのか?>
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特に私が「うぅ・・」と思ったのは、ビートきよしのツッコミである。
彼は数十秒に1度のペースで「よしなさい」とツッコむんだが、単にそれは喋り続けるたけしの<ブレス>確保というタスクにすぎず、笑いを生む構造そのものには何ら寄与していないと感じた。
・・いや、これはツービートに限らず、B&Bの洋八、紳竜の竜介にも同様のことがいえるだろう。
同じニュアンスでいうと、ドリフもまた志村/加藤/いかりやの3名はコントの中で非常に目立つ一方、残る仲本工事と高木ブーの両名はどちらかというとモブに近い扱いである。
せっかく5人という構成なんだし、もっとうまく配分すりゃいいのになぁ、と感じざるを得ない。
そこは、「奇面組」にも同様のことを感じるのよ。
この奇面組はリーダーの零、およびサブリーダーの豪ぐらいまではめっちゃ存在感あるのに、残る潔、仁、大という3名のキャラを活かし切れてるとはとても言い難い。
そう、「第二世代」までのお笑いは、おいしい奴とおいしくない奴の線引きがかなりハッキリしてたのさ。
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その点でいうとね、「第三」からはむしろ「日陰者」にメインを任せる展開になったというか、その最も分かりやすい例となったのが「伝染るんです」だと私は思う。
「伝染るんです」
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見ての通り、
「伝染るんです」では、ビートきよし的キャラが敢えて主人公である。
これが「第三」以降のお笑いにおける最大の特徴といっていいだろう。
・・正直いうとね、「第二」までは「クラスの人気者」的ポジションにいる奴らにスポットを当てた笑いだったのさ。
「おそ松くん」のイヤミとか、あれってどう見ても明石家さんまそのものとでもいうべきキャラじゃん?
さんまさんって、どう見ても「クラスの人気者」だよ。
一方、「伝染るんです」のかわうそなんて、どう見ても「クラスの人気者」からは一番遠い立ち位置にいるキャラじゃん(笑)。
でも、「クラスで人気がない奴」が、実は一番面白い!
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というところにメスを入れたのが、他でもなく「第三」以降の笑いである。
で、冒頭の「ギャグマンガ日和」に話を戻すが、この「第三」コンセプトにパーフェクトといえるほど忠実なのが増田先生のスタンスであり、この作品に出てくるキャラはほぼ全員が「クラスで人気ない奴」っぽい設定なんだよね。
あと、この増田先生と同じ匂いを感じさせるのが、うすた京介先生である。
「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!マサルさん」
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「ピューッと吹くジャガー」
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うすた先生も増田先生同様に、不条理系シュールギャグを得意とする作家である。
1974年生まれらしいので(増田先生の2コ上)、このへんの世代はこんな奴ばっかりなのか・・(笑)。
モロ、「第三」の影響下だよね~。
で、うすた先生と増田先生は、共に「赤塚賞」出身のお笑いエキスパートである。
・・あ、そもそも「赤塚賞」って皆さんは知ってる?
集英社が主催するギャグ漫画家にとって登竜門とでもいうべき賞なんだが、これの最大の特徴は
これまで100回の選考会してるけど、そのうち94回が「入選」受賞者なしなんだわ(笑)。
どんだけ厳しい審査やねん。
・・あ、ちなみにうすた先生も増田先生も「入選」じゃなく「佳作」とか「準入選」だったはず。
思えば、平成の約30年間で「入選」に入ったのがたった1人で、それがよりにもよって八木教広先生なんですよ。
八木先生って分かる?
「CLAYMORE」描いた人さ。
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「CLAYMORE」ってギャグ作品やないやん!とツッコみたくもなるだろうが、う~ん、あるいはあれ、ギャグ作品だったかも。
あれほど死を予感させておきながら、全然死なないという高度なボケだったんじゃないだろうか?
そのぐらい高度な笑いの構造じゃないと、赤塚賞の「入選」は無理だということだね。
そうか、あの作品はツッコむべきだったのか・・。
なお、うすた先生/増田先生は両名、現在「赤塚賞」審査委員を務めてるそうです。
で、2019年に29年ぶりで「入選」が1名出たらしく、それがおぎぬまXという人物、どうやら元芸人らしい。
そうか。
やっぱ、そっち系の「プロ」じゃないと「入選」は難しいんだね・・。
じゃ、おぎぬまXさんを知らん人は、こちらをご覧ください↓↓
なるほど、お笑いも日々進化していってるんだねぇ・・。
さて、話を増田先生/うすた先生に戻します。
この両先生のアニメ化作品、「ギャグマンガ日和」と「マサルさん」、この両作品は、どっちも監督を務めたのが大地丙太郎さんなんですよ。
こういう前衛っぽい笑いを手掛けるぐらいだし、大地監督というのは若い人だと誤解しちゃう人もいるだろうけど、いえいえ、大地さんは今年で69歳というジジイだから(笑)。
でも、感覚がジジイじゃないよね。
今春には久々の劇場作品、「僕とロボコ」の公開も控えているらしい。
大地丙太郎監督
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平成11年度文化庁メディア芸術祭アニメ部門優秀賞受賞
平成16年度文化庁メディア芸術祭アニメ部門優秀賞受賞
平成17年度文化庁メディア芸術祭アニメ部門推薦
2002年東京アニメアワード監督賞受賞
第4回アニメーション神戸個人賞受賞
大地さんは、お笑いの分野において日本で最も実績を残してる監督のひとりであり、大御所ともいえる存在。
また、漫画家・江口寿史先生らとユニットを組んだステージ活動もしてるとやらで、半分芸人といえるのかも?
で、この人、こういう名言を残してるんです。
「じっくり見せて、結局何がやりたいんだ?
そういう緊張感の伴った感情的なシーンは数話に1話でいい」
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別に、高畑勲や片渕須直に喧嘩を売ってるわけじゃない。
ただ、彼の「お笑い哲学」に<間>は必要ないらしく、がっつりと情報量をブチ込んでいくタイプのようだ。
いがらしみきお「ぼのぼの」とは対極のベクトルなんだろう。
でもまぁ、確かに大地さんの作るアニメは面白いし、今春の「ギャグマンガ日和GO」も楽しみである。
再び、「うさみちゃん」はあるのかな?
ベタな笑いに勝るものなし!
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