「ゴールデンカムイ」私は、アシリパさんが好きだ
今回は、「ゴールデンカムイ」について書こうと思う。
これ、大好きなんだよなぁ。
アシリパさん、大好き!
彼女の年齢はよく分からんのだが、小6~中1ぐらい?
子供なのにどこか崇高なオーラを放っていて、とても神々しい。
屈強な元軍人の杉元が彼女を「アシリパさん」と敬称で呼ぶのも、不思議と違和感なく、逆にしっくりくるわけで。
実際、彼女は賢くて強い。
サバイバルのノウハウは、軍人をも凌ぐだろう。
というのも、彼女は父から山で生きるノウハウを徹底的に叩き込まれてて、少なくともサバイバルに関しては彼女が杉元の師匠的立ち位置。
アシリパさん⇔杉元、この関係性がいいんだよなぁ。
疑似親子というか、疑似兄妹というか、疑似夫婦というか、あるいは映画「LEON」のジャンレノ&ナタリーポートマンというか、不思議とイーブンな関係性なんだよね。
物語については、アイヌの「埋蔵金」をめぐって、陸軍やら土方歳三の一派やらが凌ぎを削るという話。
アシリパさんたちもその争いに参入し、北海道から樺太、ロシアに至るまで旅をするロードムービーっぽい展開になっていく。
詳しいところは知らんが、多分これって元ネタは「カムイの剣」じゃないの?
1985年の角川アニメで、りんたろう監督のやつ。
これも主人公がアイヌで、埋蔵金をめぐってバトルしながら旅をしていくロードムービーだったよ。
まぁ、ストーリーとしては「ゴールデンカムイ」の方が圧倒的に面白いんだけどさ。
特に、アイヌに関する描写の精密さには雲泥の差があると思う。
「ゴールデンカムイ」は、実際のアイヌの人が「よく勉強してる」と誉めてたほどである。
彼らって、生粋の狩猟民族なんだね。
作中、まだ子供のアシリパさんが生き物を殺すのを見て、一瞬「うわっ!」と思うんだが、これは罪深い行為に見えて、しかし人間が生きていく為には必須の行為である。
現代人の生活ではその現場が覆い隠されてるだけで、現実は今なお、食用として多くの家畜が日々殺されている。
このくだりで、1期第3話は個人的に神回だったと思う。
アイヌの人たちは、山に棲む獣をカムイ、神様の化身であると認識してるのだという。
神様が獣に姿を変えてあの世から現世に降臨し、人間に食を恵んで下さっているという考え方だ。
よって獣を狩るのは神様をあの世に帰す神聖な行為でもあり、アイヌはその恵みに感謝し、狩ったものは余すところなく全てありがたく消費するのだという。
ちょっと変わった宗教観だが、私はとてもいいと思った。
この宗教観がある以上、乱獲などは絶対にしないだろう。
お金持ちがよくやってる、娯楽としての狩猟とは全くの別物である。
そして、アイヌは狩猟のプロゆえ、お肉をおいしくいただくことにかけてもプロ級に長けている。
毎回、出てくる料理のおいしそうなこと!
この作品、アニメとしては作画がとりたてていいとは思わんにせよ、グルメシーンだけはきっちりいい作画で仕上げてくれてます(笑)。
だけど、あれだね。
ヤマトでは奈良時代以降、「四つ足の獣は食べてはならない」という戒律があったはずなのに、アイヌはまた別だったということか。
農耕民族国家のヤマトに属さず、あくまでも狩猟民族としてあり続けた、ということだろう。
つまり、北海道にだけ縄文人文化が生き残ったということだ。
事実DNAを調査すると、日本人の中でアイヌ(と沖縄)が最も縄文人遺伝子が多く残ってるらしい。
つまり、元祖のネイティブ日本人(大陸から渡来人が押し寄せてくる前)はみんなアシリパさんみたいな生活をしてたわけよ。
みんなチタタプ、チタタプ、とかやってたに違いない。
誤解のないように。
日本人=農耕民族というイメージは皆さんにも根強くあるだろうが、それはせいぜい二千年程度のことに過ぎんわけで、それ以前の日本人は一万数千年にも渡ってアシリパさん的狩猟民族だったんだよ。
だから、日本人の原始宗教も太陽神アマテラスなんかとは全然違っていて、どっちかというとアシリパさん言うところの「カムイ」、神の化身としての獣など自然界を崇拝するような感じではなかったのかな、と。
その世界観は、宮崎駿監督作品「もののけ姫」でも表現されている。
でさ、DNAというのはあくまで「記憶」であり、二千年分の記憶と一万数千年分の記憶となると後者が結構な割合を占めてるともいえるわけで、つまり我々の血の中にもアシリパさん的な魂がかなりの割合で残ってるはずなんだわ。
一方、アシリパさんの相棒・杉元について。
こんなターミネーターみたいな奴、現実におるわけないやろ、と思うだろうが、実際彼に酷似した人は実在したのよ。
旧日本陸軍の舩坂弘軍曹、この人が杉元のモデルだという説がある。
結構有名な人だから、知ってる人も多いだろう。
この人は、ガチの「不死身」だったらしいね。
弾丸を何発も食らって重傷を負ってもなぜかしばらくすると回復して、頸部を撃たれた時ですら遺体安置所で何日か後に復活したという話だ。
詳しくは、こちらをどうぞ↓↓
これ、ほとんど「装甲騎兵ボトムズ」のパーフェクトソルジャーだね。
リアル・キリコキュービィーともいえる。
我々は太平洋戦争で無惨に負けたイメージを引きずってる為、どうしても
日本軍兵士=ザコと捉えちゃってるんだが、実際はそうでもなかったみたいだぞ。
ザコは昭和になって国家総動員法で徴兵されたニワカ兵士たちであり、この「ゴールデンカムイ」に出てくる明治末期の軍人たちは本物のプロで、これがなかなか練度が高く、身体能力も凄かったらしいんだ。
でなきゃ、日露戦争で軍備に優っていたロシア相手に、あそこまで戦えないでしょ。
有名な海外の「第二次世界大戦ジョーク」の中でも
Q:世界最強の軍隊を作るには、どうしたらいいのか?
A:米軍の将軍、ドイツ軍の参謀、日本軍の兵士を集めればいい
Q:世界最弱の軍隊を作るには、どうしたらいいのか?
A:日本軍の将軍、中国軍の参謀、イタリア軍の兵士を集めればいい
というのがあるように、日本の末端の兵士たちは外国の軍人たちからも一目置かれてたっぽい。
一方、日本の司令官の無能っぷりは向こうにもバレてたみたいだけど・・。
「ゴールデンカムイ」は肉体を鍛え上げた軍人が多いせいか、男の筋肉美を見せるシーンが異様なほどに多い。
みんな、うっとりするほど美しい筋肉美である。
なんか、女性向けのサービスというよりは、特殊性癖の男性向けのサービスという感じがしなくもない・・。
とはいえ、この作品は女性ファンがとても多いと聞く。
いかにも女子ウケしそうな乙女ゲーム系の美形キャラはあまりおらず、基本はガテン系のいかついオッサンばかりではあるけど。
高倉健系というか、菅原文太系というか、こういうのが好き!という女子も意外と多いのか?
この物語は主要キャラに女性が少なく、ある意味でアシリパさんヒロインの乙女ゲーム的構造になってはいるんだが、男たちは誰もが彼女を子供としてしか見てないのが逆に清々しい。
・・あ、実写版のアシリパさんは、そういう意味でいうと無理があるよな?
山田杏奈さんは23歳、立派にフェロモン出しまくりの成人女性である。
多分アシリパさんはまだ初潮すらきてない設定だと思うし、これはさすがにキャスティングが間違ってると思う。
まぁ、山田さんは山田さんで、彼女なりに頑張ってたみたいなんだが・・。
山田安奈さんもプロの女優だし、今後オシッコ浴びるシーンをやってくれる可能性もゼロではないはず。
実写映画は興行収入26億ほどいったらしく、大成功だったといっていい。
アニメも第5期制作に入ってるらしく、いよいよ大詰めである。
実写の方はWOWOWがドラマという形で引き継ぐそうだ。
おそらく、そこで山田さんがオシッコ浴びるかどうかもいずれハッキリするだろう。
アシリパさんを見てるとつい先日まで見ていた「火狩りの王」を思い出し、こういうのは日本人の原点(縄文人)ともいうべき姿なのか、と感じた。
おそらく昨今の縄文ブームも、「我々日本人の原点は何なのか?」という、知的好奇心が根拠になってると思う。
アシリパさんにせよ、杉元にせよ、彼女らは我々現代人よりも遥かに濃く、オリジナル日本人の色を体現している。
だから皆がこの物語に惹きつけられるんだと思うし、また憧憬の念をもってこのアニメを見てしまうんだよ。
まだ見たことないという人は、ぜひご覧ください。
お薦めです。
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