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【第10回】自然が私たちの不安や恐怖、ストレスを減少してくれる
みなさんは普段の生活で自然に触れていますか?
実は、自然の触れることは「かなり効果の高い疲労回復の方法」であることが、さまざまな研究で明らかになっているんです。
自然の凄いところは即効性が高いという点で、人は「自然に触れると0.2秒でポジティブ感情が増加する」ことがわかっています。
自然には不安や緊張をやわらげる効果がある
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2016年にダービー大学がおこなったメタ分析では「自然に触れることで人体の副交感神経の働きが活性化する」と発表されており、このデータでは「d=0.71」という効果量が出ています。
一般的に効果量が0.5を超えると「かなり効果がある」と判断されます。自律訓練やマッサージなどのリラクゼーションが「0.57」くらいなので、自然にはかなりのリラックス効果があるといえそうですね。
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副交感神経は「腸のぜん動運動」とも深く関わっているので、便秘の改善にも効果が期待できるかもしれません。
また、不安や恐怖などの感情と関わりが深い「扁桃体」の活動を低下させる効果があることもわかっています。
ほかにも、都会の中を歩いているときと森の中を歩いているときを比較すると「森の中を歩いている方がストレスホルモンのコルチゾールが約13%減少した」という報告もあります。
自然は免疫細胞を増加させる
1日2~3時間森の中の散歩を3日間続けると、ナチュラルキラー細胞が40%も増加したという研究が出ています。
ナチュラルキラー細胞は、リンパ球の一種で「ウイルスやがん細胞などの異物が体内に侵入したときに、攻撃して破壊する」働きがあります。
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ナチュラルキラー細胞は「ストレスを受けると大幅に減少する」こともわかっています。
普段からストレスを抱えている人は、できるだけ自然に触れる時間を長くすることで、免疫機能を整える効果が期待できそうですね。
また、2015年のスタンフォード大学の調査では「森の中を90分間散歩すると反芻(はんすう)思考のレベルが低下する」という結果が出ています。
反芻思考とは「ネガティブなできごとを繰り返し思い出して悩んでしまう考え方」のことで、うつや不安障害を引き起こす原因の1つとされています。
自然の中の「音や匂い、視覚情報」がよい影響を与える
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なぜ自然に触れることが私たちに多くのメリットをもたらすのかというと、自然の中にある「水の流れる音」「鳥のさえずり」「土や草木、花、雨上がりのにおい」などに癒しの効果があるとされています。
自然に関する研究はたくさん存在しますが、フィンランドの研究では、1ヵ月に少なくとも5時間は自然の中で過ごすことで「ストレスの軽減」「活力の向上」「気分が明るくなる」などの効果が得られることがわかっています。
普段から自然に触れていないと感じている人は、週に60~90分くらいを目安に自然に触れる機会を作ってみてください。
参考書籍
※今回の内容は複数の書籍や動画などを参考にして自分なりにまとめています。そのため、著者の考えと違う点があることはご了承ください。