「インスリンの働き」初級講座② 血糖値を下げる
インスリンにはたくさんの働きがあります。1つ1つチェックしていきましょう。
まずは皆さんお馴染みの、「血糖値を下げる働き」から。
血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度ですね。
血液中にブドウ糖が増えると、血糖値が上がります。
たとえば、食事から糖分(大半はブドウ糖)を摂ると、血液循環の中にブドウ糖がドサドサ入ってきて血糖値が上がります。
血糖値が高まり過ぎるのは危険なので、高いまま放っておくことはできません。
だぶついたブドウ糖は
放置できない。
別の場所に移さないと危険!
そこで、通常は速やかに倉庫に移されます(1時間前後かかります)。
この倉庫役を果たしているのが、骨格筋です。骨格筋は体重の40〜50%を占めていて、人体最大のブドウ糖倉庫です。
ただし、ブドウ糖は自力で骨格筋の細胞の中に入ることができません。
インスリンのサポートが
必要になります!
今回は、以前に使ったイラストよりも、ちょっとだけリアルなバージョンで解説していきます。
さて、ここは試験に出るので、必ず覚えてください(笑)。
高まった血糖値を下げる唯一の方法は、まとめて倉庫(骨格筋)に押し込むこと。
インスリンは、血糖値を下げることのできる唯一のホルモン。
では、「血液中のブドウ糖が倉庫(骨格筋)の前までやってきた」という設定で、インスリンがどのように働くかを見てみましょう。
インスリンと受容体は、カギとカギ穴のようにピタッとはまるかたちをしています。インスリンは受容体を見つけると、引き寄せられるように近づいていき……
ステップ1:インスリンが受容体にカチリとはまる。
ステップ2:受容体のスイッチが入り、連続した化学反応が起こる。
ステップ3:最終的に活性物質が作られて、細胞の中に放出される。
活性物質って初登場ですね。
この活性物質は、細胞の中で何らかのアクションを引き起こします。
活性物質にはたくさんの種類があり、アクションもいろいろあります。
今お話ししている「骨格筋にブドウ糖を入れたい」という状況ですと、受容体から飛び出した活性物質は、GLUT4を活性化させます。
活性化されたGLUT4はすぐさま細胞膜へ移動して、ブドウ糖を取り込むゲートになります。
細胞内に取り込んだブドウ糖は、すぐに整理しておかないと片付きません。ブドウ糖を一列につなげて、グリコーゲンにしておきます。このプロセスも、インスリンが指示しています。
最後にポイントを
整理しておきましょう。
食後に血糖値が高まった時には、すい臓からインスリンが分泌されます。
インスリンの作用によって、血中のブドウ糖は倉庫(骨格筋)へ次々に取り込まれていき、血糖値が下がります。
血糖値を下げるホルモンは、インスリンしかありません。
もし、必要な時にインスリンが十分に分泌されないと、血糖値は高いままになってしまいます。