【初期設計編】企業の公式note100記事UPして分かったこと
こんにちは!令和PR丸山です。
現在、スタートアップ企業を中心に広報支援を行っていますが、最近、寄せられる広報に関する相談で最も多いのは、「自社の認知度を向上させたい」というものです。
特に、事業の成長期において、企業文化に合った優秀な人材を採用したいと考えている場合、自社メディア(Owned Media)の運用をおすすめしています。その中でも、公式noteの利用は始めやすく、育てやすいメディアとして多くの企業に採用されています。
この記事では、現在支援している企業が公式noteを効果的に運用するためによく伝えるポイントと、私が企業広報として公式noteを運用し、2年弱で100記事を公開した経験から得た知見を共有したいと思います。
企業の採用広報を強化し、自社の取り組みを広く伝えたいと考えている経営者や広報担当者の方々に、ぜひ読んでいただきたい内容です!
まず考えるべきは「運用の初期設計」
施策を立てる際に最初に検討すべきは、目的、ターゲット、そしてゴールの設計です。
目的について
上の図は採用マーケティングでよくあるファネルです。一般的に採用広報と言っても「認知」「興味・関心」「理解・納得」がメイン領域となっており自社を知らない人に知ってもらい、採用応募に繋げたいのか、もしくは採用応募をした人に会社のことをより理解してもらうことを目的とするのかでも大きく設計の内容が変わってきます。
私が公式noteを運用していた頃は主に後者を目的に取り組んでいました。そのため、採用面接を行う社員や経営陣のインタビューを記事化し選考プロセスの過程でnoteの記事を紹介したり、会社の制度も全てnote記事を見れば、導入の過程や利用シーンなどもイメージできるようにしました。またコーポレートサイトのリクルートページでは社員の顔をクリックするとその社員を取り上げたnote記事にリンクが飛ぶように設計し、一緒に働く社員の仕事や考えなどがイメージを持ちやすいようにしました。
この例からもわかるように、採用マーケティングの目的に応じて、戦略の設計やコンテンツの作成方法が大きく変わるため、目的を明確にすることが非常に重要です。
ターゲットについて
誰に届けたいのかに関しては、できるだけ具体的に定義することが重要です。たとえば、「社内の取り組みを発信する」という目的がある場合でも、以下の二つのシナリオではターゲットが異なります。
一つ目は「拠点が複数あり各拠点・部署間での取り組みが見えにくいため、社内の連携を深めたい」というもの。ここでは、主な対象は社内のメンバーです。二つ目は「多岐にわたる取り組みをしているが、これまで外部に向けた発信が少なかったため、社外の人々に自社を知ってもらいたい」というもの。この場合、ターゲットは社外の人々になります。目的が複数存在することもあり得ますが、特に「これを主な目的として運用する」という明確な軸をコンセプトとして設定しておくことで、ターゲットについても方向性がブレることを防げます。
ゴールの設計について
次に重要なのはゴールの設計です。目指すべき目標を明確に設定しましょう。オウンドメディアの運用は時間がかかり、インタビューや記事の執筆には社員の時間と労力が必要です。特に、プロジェクトとして複数のメンバーで運用する場合、部署全体にとっても大きな取り組みとなります。数ヶ月間運用しても、ページビューが伸び悩み、採用への直接的な影響が見られない場合、運用の停止やリソースの削減を余儀なくされるケースが少なくありません。
このような問題は、しばしばゴール設計の段階に原因があると考えられます。オウンドメディアの成長は時間を要するため、それを踏まえた上でのゴール設定が重要です。例えば、「2年間は継続運用する」という中長期的な視点を持ってスタートすることで、効果測定の期間も変わってきます。
初期段階でページビューや成果目標をKPIとして設定することは、個人的にはおすすめしません。特に採用を目的としたオウンドメディアでは、社内メンバーの協力が欠かせません。数字を追い求めるあまり、社員に過度な負担をかけることがないよう、楽しみながら運用できることも考慮に入れたほうが継続がしやすいです。
100記事公開すれば効果が見える
初期段階は、成果目標を追い求めすぎないほうが良いとお伝えしましたが、継続し続けるためには、一定の行動目標を設定することも大事です。
ここでおすすめしたいのは、100記事公開を目標にすることです。企業広報をしていた時に、「100記事を公開すれば大きな変化がある」というアドバイスを受け、それが私の努力目標となりました。
月に4記事を公開すれば、約2年でこの目標を達成できます。もし4記事が難しい場合は、最低でも月に2記事を目標に設定しましょう。さらに積極的に取り組める場合は、月に6記事の公開を目指すのも一つの方法です。私が担当していた時は、プロジェクトメンバーと協力しながら、月に6記事を公開し、100記事達成を目指しました。
月に6記事を公開するのは、かなりの努力が必要です。私は毎月、付箋に目標を書き出し、月末までに達成するようにしていました。もちろん、ただ闇雲に記事を公開すれば良いというわけではありませんが、初期段階で量をこなすことはかなり重要です。
内容が定まっていない、企画が不足しているなど、別の課題がある場合、急いで記事を書くよりも、質の高いコンテンツを生み出せるまで後ろ倒ししたほうが良いのではという相談を受けることがしばしばあります。
しかし、メディアがまだ成長していない段階で、質の高いコンテンツを時間をかけて作成しても、その効果は限定的であるということです。まずは、量を増やしてメディアを育て、その過程で、どのような質のコンテンツがターゲットに響くのかを見極めることが重要です。
オウンドメディアとして活用すべきプラットフォームの見極め方
オウンドメディアの立ち上げにあたり、「自社サイト(独自ドメインのメディア)を構築すべきか、それとも公式noteを活用すべきか」という選択肢は、よく初期段階で聞かれる質問のうちの一つです。
▼公式noteのメリット
気軽に始められる: アカウント開設後、すぐに記事の投稿が可能です。これはオウンドメディアを迅速に立ち上げる上での大きな利点です。
SEO対策: note社がSEO対策に力を入れてくれているので、メディアが成長すると検索結果の上位表示が期待できます。実際、自社サイトよりもnoteで公開した記事が検索上位に表示され、問い合わせや資料請求に繋がるケースも少なくありません。
ターゲットへのリーチ: 自社をまだ認知していない潜在的なターゲットに対しても、SNSや検索エンジン、noteプラットフォーム上からアクセスしてもらいやすくより幅広い層にリーチすることが可能です。
コストが抑えられる:note proを契約する場合は月額コストがかかりますがそうでない場合は無料ではじめられます。構築に関してのイニシャルコストがかからないという点は大きいかと思います。
▼自社サイトのメリット
オリジナリティ: 自社サイトでは、独自性の高いデザインやコンテンツを作成することが可能ですしその自由度は高いです。
ドメインパワー:特にサービス認知を目的とする場合、少し留意が必要です。良質な記事を多数生産しても、自社ドメインの強化には直接貢献しないため、ドメインパワーを高めたい場合は、自社サイト内にコラムなどを設けるなどしてオウンドメディア化する方法を検討することをおすすめします。
結局のところ、オウンドメディアとして最適なプラットフォームを選択するには、冒頭でお伝えした目的やターゲット、リソースやコストを総合的に考慮する必要があります。それぞれの利点を理解した上で、最適な選択を行いましょう。
記事公開前に実践すべき3つのポイント
ここからは、採用広報を目的に、公式noteを運用することを前提に話を進めさせてください。
ここで記事を公開する前に、やっておいたほうが良いことを3つお伝えします。
1. 書き手の主語を設定する
企業公式noteを運用する際、広報担当者が単独で記事を書く場合もあれば、複数のメンバーでプロジェクトを組んで運用するケースもあります。一般的には、「XX XX(氏名)です」と個人名を挙げて執筆するスタイルと、「〇〇企業note編集部です」と編集部を主語にするスタイルがあります。どちらも良いのですが、noteでは「その人らしさ」が伝わる文章が読まれやすい傾向にあります。例えば、私の経験談ですと、学生インターンの視点から職場のイベントや体験を綴った記事は、新卒や学生、他のインターン生からの共感を得やすく、多くの読者に届きました。ターゲットに響く主語を選ぶことが重要です。編集部を主語にする場合でも、その特色を設計することで、複数の執筆者がいても一貫性のある人格を形成できます。
2. 「ファーストインプレッション」を設計する
note運用を開始する際には、訪れた人が最初の5秒で受ける印象、「ファーストインプレッション」を意識的に設計することが重要です。これを行うためには、「フレンドリー」「プロフェッショナル」「熱狂的」「クール」「知的」「風変わり」「遊び心のある」など、自社の特色を表すキーワードを選んで言語化します。これらのキーワードを定義しておくことで、複数の執筆者がいても一貫したトーンとスタイルを保ちやすくなります。
3.マガジン分類して執筆ジャンルを固定化する
noteを運用する際に、何をネタにしていいのかわからないという悩みを一定聞きます。そんな場合に備えて執筆ジャンルをマガジンで先に分類してしまうことをおすすめしています。
マガジンとは「お気に入りの記事をまとめて、ブックマークがわりにしたり、テーマに沿って分類したりできる」機能です。自分で作成した記事はもちろん、他の人の記事も追加できます。
これは私の個人noteのマガジンですが、こうして先に分けておくことで、広報ノウハウを執筆したら次はブランディングについて執筆しようとマガジン分類に応じて執筆ジャンルを固定化できます。
また自分に関心が高いおすすめnote記事をストックしたり、公式noteを運用しながら社員の個人noteをマガジンでまとめるといったことも可能です。
以下は企業公式でマガジン分類のお手本でいくつかピックアップさせてもらいます。
Hamee社はサムネイルがとても好みでよく参考にさせていただいています。Hamee days(日常)Hamee culture (取り組みや想い)Hamee things(福利厚生)などと統一感あるクリエーティブでマガジンヘッダーも分類されています。
SmartHR社は部署ごとにマガジン分類されていて個人noteも多くの社員さんが執筆されているものを上手にまとめていらっしゃいます。
マネーフォワード社は、Fintechやpodcastなど特定の分野の取り組みをマガジンでまとめている点が参考になります。
どのような分類が最適かを検討して、先にマガジンを作ってしまうと効率的にネタを考えられるのでおすすめです。
進捗管理シートを作成しよう
最後にお伝えしたいのは、運用する上でスプレッドシートなどで管理シートを作成すると良いでしょう。絶対必要な項目は、「通し番号」「カテゴリー分け」「タイトル」「公開予定年月日」「記事リンク」でしょうか。それ以外では、必要に応じて「執筆者」「校正チェック者」などもあると良いかもしれません。
また、公開月で数式を組んでダッシュボードで毎月の目標本数に対して十数と達成率、不足数を見える化しています。このような管理を行うことで、あと何本不足しているからこのネタをいつまでに書いていこうと対策を取ることができます。
以上、初心者向けに、企業公式noteの初期設計で大事なポイントをお伝えしました!なんと記事の執筆の仕方にたどり着く前に、初期設計だけで、5000文字を超えてしまったので(笑)前編を初期設計編とし、後編で記事作成編についてお伝えしていこうと思います。
公式noteでこれから自社発信に力を入れていきたい方のお役に立てば幸いです!お読みいただきありがとうございました。
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