カントより普通に、ラッセルが好き『言語哲学が始まる』野矢茂樹
ヒット御礼。
言語と論理学。このあたりは、勉強したいけど、難解な思想家について『言語哲学大全』飯田も第二巻は購入しただけど、一気読みは無理よ、です。
哲学者の死は、論破されることでは無く、忘却である。(過去の思想家は参照されていく訳です。ラッセルさん)
本書では、著者の本領発揮を、論理からウィトゲンシュタインで、それに先立つフレーゲからラッセルを、正確な記述で構成されてます。
論理学の哲学史的な列挙(記号論と区別するのだと思う)
・フレーゲ
・ラッセル
・ウィトゲンシュタイン
これは、分析哲学などでは必修のようですので、学べて良かった岩波新書の品質証明です。
さて、本書についてまとめると入門書としての機能を充分に発揮しながらも、筆者の最近の考えを充分に指示している。
フレーゲについては、おそらくマルクス・ガブリエルの議論を批判しているのだと思います。
「意味の意味の意味」というような問題意識は、対象(もしくは記号)についてナイーブな表現だと。著者は、それを発展したウィトゲンシュタインの方を重視します。
ガブリエルは、ドイツ哲学(カント)の方向から、とりわけ英米の現代思想を批判していくスタンスで、ウィトゲンシュタインも一部批判されます。
個人の意見ではガブリエルは、グレアム・ハーマン(主にハイデッガーから現象学フッサールの師弟対決をアップデートする)と共通点も多く、アート思想で活用されるように、ある程度受け入れやすい印象です。
「感覚」が論点だと思います。
最も、ガブリエルは、かなり過激に批評するタイプの人なので、そこに、わだかまりも生じる。
一方で、論理実証主義のようなウィーン学団の過激な物理(数学)主義も、かつての批判から再評価される傾向もあるかもしれない。
その意味で「ラッセルが好き」これも成立するという論理です。批判と懐古が、強いリスペクトを、本物の哲学者は死なないのです。
この本は必読。かもです。