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かがみの孤城(辻村深月)
概要
いじめや家の都合など、様々な理由で学校に通えていない少年少女7人が、かがみの孤城というファンタジー空間に集められる。5時を過ぎるとオオカミに食べられてしまうがそれまでならいつまでいてもいい。一年間の猶予のうちに、城の秘密の鍵を見つければ、見つけた一人だけ願いが叶う。しかし、それぞれ願いや想いを抱えた子供たちは、同じ境遇の仲間がいるかがみの孤城が温かい居場所になるようになり……最後の驚き、そして優しい感動にあふれる、劇的な本屋大賞受賞作!
読了後、少しだけ救われたような心持ちになりました
私も主人公のこころと同じだったからです
主人公のこころは、学校でいじめに遭い、不登校になってしまいます。
不登校が尾を引いて家にいると母とも気まずくなる中、
おもむろに自室の鏡が光って、かがみの古城に招待されます
彼女にとって同じ境遇を持つ仲間がいる場所であり、
唯一、真に心を開ける場所になっていきます
わたしはなんとなく感じました
わたしと彼女はどこか似ている
同じようなことを経験した覚えがあったからです
こころが、
かがみをくぐって彼女とその仲間だけが知る世界に
飛び込むその表情が、どんなにほころんでいるのが
どれだけそれが心の支えになっているのか
わたしには痛いほど共感できました
(*ここから少しだけネタバレ含みます)
けれど、彼女たちは同じ時代に現実で会うことは叶いませんでした
近い歳でいられるのは城だけで、
実はそれぞれに違う時代を生きていた。
それはどういうことか
目の前の現実は、一人で乗り越えていかなくてはいけないということです
仲間がいた、共感してくれたひとがいた
その優しさを胸に、
けれどこの先は自分で道を切り開かなければならない
思い返せばわたしもそうでした
傷を見せ会える仲間はいなかった
わたしにとってのかがみの孤城は、物語の世界でした
こころが城に逃げるように
私は物語に逃げて
こころが仲間に悩みを打ち明けたように
私は登場人物に共感してもらいました
かがみの孤城という物語もその一つです
しかし、物語は現実にわたしを救ってはくれません
当たり前のことですが、
自分でどうにかしなければならないのです
それでも、『かがみの孤城』には
もう一歩、もう一つだけ私を救ってくれることがありました
冒頭から出ていた喜多嶋先生が、古城の仲間、大人になったアキだったことです
こころには、
本当は会えないはずの人が寄り添ってくれていた
そうやってこころが救われたことで、私は自分も救われたように感じました
かがみの孤城という孤立した空間世界を
自分自身が読んできた物語の世界に代替的に投影していたからです
物語の登場人物が現実に出てきて私を助けてくれることはありません。
だからこそ喜多嶋先生に、ありえないはずの優しい展開に
非常に感慨深いもの感じて、
少しだけ涙して、
そして少しだけ楽になりました
以上、おすすめです