
『medium「メディウム」』相沢沙呼
概要(裏表紙より)
死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理作家・香月史郎。心霊と論理を組み合わせ真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事に立ち向かう。証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのはもはや翡翠の持つ超常の力だけ。だがその魔手は彼女へと迫りーー。ミステリランキング5冠、最驚かつ最叫の傑作
この一年の読書記録で最も衝撃的な作品でした
毎回ほぼ注意書きなしでネタバレ全開なんですけど、
今回はもし読む人がいたら絶対ネタバレしたくないので内容には一切触れないようにしたいとおもいます
何度も言いたいんですが、概要と通りほんとに最驚でした
まさかの……
言っちゃいそうになりますね
なんでこんなに綺麗に騙されたのか考えながら最後まで読んでみたんですけど
実は先生、マジシャンでもあるそうなんです
カードマジックが得意なそうで
で、トリックにマジシャンならではの技術を使っているみたいです
「偽解決法の理論」というマジックの仕組みを転用して、疑り深い読者こそ軽やかに騙す展開を作り上げていました
脱帽です
なるほどです
ということでここからは本当にネタバレなんで未読の方は絶対読まないで下さい
いや結局ネタバレするんかい、なんてすけど
やっぱりします
本作の魅力は巧妙かつ大胆なミスリード術だけにあらず
城塚翡翠のキャラ性も主張したいです
かわいいです
ほんの数秒であらゆる事件の真相を見抜く圧倒的な知能と、
読者さえも騙し通してしまう類まれな演技力
人智を越えた彼女の神秘性は、全ての読者の心に一生刻まれることになります
とにかく霊媒探偵すごかったです
そう、あとは、かわいい
とにかくめっちゃかわいいんですよ
何がかわいいって、
殺人鬼を前に可憐な美少女の仮面を被り、
解決編で実は冷淡無情なキャラを明かしたかに見えて
やっぱり乙女だったとこですよ
散在する細かい描写を読み返すと
今回の事件を通してロマンスを期待してたんだろうなぁ
ってなります
彼女が犯人に正体を明かすシーンは、
一度、城塚翡翠という人格の底知れなさにゾッとさせられる読者は
最後に、彼女が映画のチケットを捨てずに残していた事実を前に
悶え苦しむしか道はありません
という、城塚翡翠がかわいい物語でした。
『invert』という城塚翡翠の短編集があるみたいなのですよ
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