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戻り梅雨と能勢電鉄(里山編)

関西に住んでいろんな鉄道に足を運んだが、まだまだ未踏が多い。今回はその1つ「能勢電鉄(通称のせでん)」に乗ることにした。住宅街から大阪近郊とは思えないような光景までを堪能してきた。

フリーパスでいざ!

妙見の森フリーパス。磁気カードの肌触りがノスタルジーに包まれる。
ただし、この日「妙見の森」定休日。きっぷだけは使える。

今回は「妙見の森フリーパス」を使う。能勢電鉄全線乗り放題な上、名の由来になっている「妙見の森」のケーブルカーとリフトも乗り放題、さらにここの割引チケットも付属している。また、阪急で買った分は阪急電車も全線乗り放題となり(ただし、神戸高速線花隈、高速神戸、新開地は除く)、さらに大阪モノレールで買った分はこちらまで拡大の乗り放題だ。

阪急から能勢電鉄

十三から急行宝塚行きに乗って。
乗ったやつは初めてのクロスシート付き!
京都線特急で慣れてはいるが、違和感あるし、鎧戸との組み合わせは唯一無二。
川西能勢口では阪急から「のせでん」へダイレクトに乗り換えられる。

川西能勢口まで阪急に乗り、ここから能勢電鉄ホームへ。違う会社ながら改札レスで行ける。

阪急電車からのせでんに引っ越した5100

3種類いるうち、最初に乗るのが「5100系」の日生中央行き。マルーンをまとった見るからに…な色だが、実際に阪急宝塚線で走っていたのを譲り受けた上に大規模な検査を阪急電車の正雀しょうじゃく工場(大阪府吹田市)が受け持ってる関係で一部を除いて「のせでん」も阪急カラーを纏う。

川西能勢口を出て自動放送が流れる。日本語は加藤純子さんで名鉄の自動放送他、「イオン」のセルフレジの声の主もやってるとか。そして、英語はリアド慈英蘭ジェイランさん。NHK「ちきゅうラジオ」などで活躍し、自動放送でも都営地下鉄などで英語を担当する。ちなみに「BIGMAMA」や[ALEXANDROS]のドラマーなどで活躍するリアド偉武イブさんは慈英蘭さんの弟にあたる。

アルトボイスの多い自動放送の中で、慈英蘭さんのキュートで可愛い声はけっこう異彩を放っている。また、日本語の地名を地元アクセントらしきのも含めてそのまま読んでるところはキュンとしてしまう。

畦野駅はトンネルの上が開発されている。
緑生い茂る中を走る。
どんどん標高が上がる。
「ザ・阪急」な内装。
範囲のデカい路線図が「のせでん」から大阪への流動の多さを物語る。

個人の感想はともかく、そんな「のせでん」の線路は非常にグネグネしている。坂やトンネルが連続していて、住宅地に絡んでや山々、渓谷の風景も広がる。阪急でも千里線や宝塚線に似た光景はあるが、自然の中を走るのは阪急ではお目にかかれない。それでも、阪急だからノスタルジーは感じられる。

のせでんの駅名標は独自ながら丸みのある字体が阪急を彷彿とさせる。

山下駅では妙見口方面と日生中央方面で分かれていている。後者の方向に乗ってたが個人的には妙見口辺りがまず気になったので「妙見口行き」へと乗り換える。

伝説の電車でヨルシカのような世界へ。

白青ツートンの5100

乗り換えたのはさっきと同じ顔していながら全く異なるビジュアル。

右の広告枠に塗装の由来とモデルになった電車を解説。
カラーにするとこんな感じ。

かつて川西能勢口駅と今のJR川西池田駅のそばにあった「川西国鉄前駅」の間を結んだ電車の塗装を再現したもの。路線は廃止されて久しいが、塗装を再現するほど「のせでん」の歴史上伝説的な電車なのだろう。

里山カーテンとフォトギャラリー
新しめの電車っぽくちょっと濃い目の木目

塗装だけではなく車内も特別仕様。ロールカーテンが里山をイメージしたイラストがあしらわれていて、上にはフォトギャラリーがある。

そんな妙見口行きに乗って山下駅を出発。

笹部駅の里山。「ヨルシカの世界飛び込んだみたいやん」

次の笹部駅周囲は「ザ・里山」が広がるすごい風景。先程までとはえらい違いだ。個人的には「ヨルシカ」の「盗作」というライブツアーの映像を思い出し、『花に亡霊』『雲と幽霊』などの曲がピタッと似合いそうな光景にも思える。ただ、「戻り梅雨」なのが惜しいところ。

林を切り裂く単線。
田んぼと住宅地のコントラスト。
でも、ときわ台と光風台はマンションも建って近代化してる。
それでも、終点あたりは超田舎。繰り返しにはなるがホンマに「ヨルシカ」の世界に迷い込んだみたい。今度は晴れ間で聴いてみたい。

ときわ台、光風台は名の通り少しだけ住宅が潜んでいるが、山々のカーブやトンネル、大自然の中を元阪急電車が駆け抜けて行く様は超ミスマッチ。阪急沿線ではまずこんな里山は存在しないから。

妙見口駅とししとじ丼

後ろの建物がドラゴンボールっぽい
山々広がる妙見口駅
改札の照明がレトロ。でもデジタルサイネージ付いてる。
こぢんまりしていて、文字がレトロ
駅前
故郷にもよぉあった感じの平屋。
さっきまで川西やったから「大阪やっけ?」ってなる。

そうこうしているうちに妙見口に到着。木造の小さい駅舎で行き止まりとなっている。また、この駅は大阪府豊能とよの町にあって府内最北端の駅とされているが、鉄道で言えば「飛び地」で一度は兵庫県を跨がなければならない。「能勢電鉄」とは言っているが路線の大部分は兵庫県側に位置し、名前と同じ能勢町には乗り入れないというちょっとしたややこしさもある。それでも、寺社仏閣、アウトドア、温泉などにアクセスする玄関口という意味合いでは通づる。

そんなことはともかく、駅前を散策すると何やら気になる文字を見つけた。

ししとじ丼

さらにこんなのも

どうもしし肉の料理が味わえるとのこと。恐る恐る入ってみる。しし肉と言えば「丹波」が有名なのだが、店員さん曰くここでもたくさん獲れるそう。そりゃこんな環境ならそうだろうし、名産なのもうなづける。関西住んでも知らないことだらけだ。

たくさんのしし料理。そして片隅見るとあの人気番組で紹介されて、何かとお騒がせなあの2人が来たらしい。

店のボードを見ると、これから頼む「ししとじ丼」やぼたん鍋の他「ししフルト」なるフランクフルト、猪以外では「のせでん」の電車がパッケージのサイダーもある。

ししとじ丼

そして、お待ちかねの「ししとじ丼」がやってきた。しし肉に卵をとじた、いわゆる「他人丼」だ。まずはお肉から。豚肉っぽい食感だが、脂のノリや味わいがしし肉らしい独特さを感じさせ、「レバー」のくせ感も彷彿とさせる。それでも非常においしくて良い刺激だ。

珍しい土曜ダイヤ、そして、ここから阪急全線どこでも買えるとは

妙見口駅に戻って、元来た道を引き返す。

行きに続き3度目の5100系。でも、行き先がLEDに取り替えられている。それと祇園祭をPRするグループ全体での気合の入れぶり
中身も左上にLEDの案内装置が阪急時代から活用されているというプチ違いがある。

やってきたのはこの日3度目の「5100系」。ただこの編成は「祇園祭」開催中ということや「のせでん」自身が阪急グループということでヘッドマークを取り付けて盛り上げているやつだった。ここまで来ると「里山以外はほぼ阪急じゃねーか笑」と突っ込みたくなる。

そこから山下へ戻り、日生中央へと向かう。

つづく

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Yuki(ゆうき)
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