膝関節内側部痛の見かた ~MCL・鵞足・半月板~
膝関節内側部痛と言っても、膝関節内側には多くの組織があり、どの組織が疼痛の原因となっているのか判断が難しい場合があります。
膝関節内側で疼痛を引き起こす組織としては
・骨
・関節包(滑膜)
・神経(伏在神経)
・筋肉(鵞足等)
・MCL(付着部)
・半月板
・靭帯
これらの組織の中で何が疼痛の原因となっているのか、正しい評価をしなければ、たとえ介入方法が正しかったとしても、効果を出すことができません。
では、どのように評価を行っていけばよいのでしょうか?
残念ながら膝関節内側部痛は単一の評価で、原因組織を確定することは難しいです。それは、先ほど記載したように多くの組織があるからです。
ですが、膝関節内側部の解剖学的位置関係を知ることで、より正確な評価を行う事が出来るようになります。
「本当に解剖学的な位置関係を知ることで正確な評価が出来るようになるの?」と思われた方、とりあえず無料部分まで読んでみて下さい!
今回の記事では、膝関節内側の解剖学的位置関係(特にMCL中心)を詳細に記載していきます。疼痛の原因組織をより正確に評価できるようなヒントとなれば嬉しいです!
記事の内容
・MCLと間違えやすい疼痛部位を理解できる
・MCLと半月板、鵞足の関係がわかる
それでは、宜しくお願いします!
1.膝関節内側部痛はどこに生じる?
まずは下記の図をご覧ください!MCLの走行に沿って出現する疼痛部位を表しています。
丸の部分にはどのような組織があるでしょうか?(神経・血管・靭帯は除きます)
近位部分の疼痛(赤〇)
・大内転筋腱
・腓腹筋腱
・MCL近位付着部
中間部分の疼痛(青〇)
・MCL中間部
・半月板
・滑液包
遠位部分の疼痛(緑〇)
・MCL遠位付着部
・鵞足
・滑液包
膝関節内側部痛といってもそれぞれの部位によって、原因組織が異なることがわかります。つまり、疼痛部位によって評価方法も変化するということです!
ではそれぞれの疼痛部位の解剖学を考えていきましょう!
2.膝関節内側近位部の疼痛(赤〇)
膝関節内側近位に疼痛が出現している場合、近位部分に存在する組織を考えなければいけません。
これらの解剖学的位置関係を見てみると
この図を見るとMCL筋付着部周辺には組織が密集していることがわかります。また、よくこの図を見るとMCLよりも、近位に大内転筋腱、腓腹筋腱が付着していることがわかります。
MCLと大内転筋腱、腓腹筋腱はどれも大腿骨内側顆周辺に付着する組織ですが、この解剖学的位置関係を知っていることで、疼痛の原因となっている組織を評価するヒントになる可能性があります。
例えば、大腿骨内側顆もしくは内側顆よりも遠位に疼痛が出現している場合はMCLが疼痛の主な原因と考えることができます。
逆に内側顆よりも近位・背側で疼痛が出現している場合、大内転筋腱、腓腹筋内側頭が疼痛の原因と考えることができます。また、内転筋であれば股関節内外転、腓腹筋であれば足関節底背屈にて疼痛を再現できるかもしれません。
※注意点
MCLと大内転筋腱が連続しているという報告もあるため、MCLの張力が大内転筋へのストレスとなって疼痛が出現することも考えられます。逆もまた然りです。
まとめると
大腿骨内側顆の疼痛
→MCL付着部が原因の可能性
大腿骨内側顆よりも近位の疼痛
→大内転筋腱or腓腹筋腱が原因の可能性
どちらの筋肉が原因か確認する方法は
大内転筋→股関節内外転で疼痛の有無を確認
腓腹筋→足関節底背屈で疼痛の有無を確認
エコーが使用できる場合、必ずエコーにて左右差を確認しましょう!
エコーで近位部を見てみると、患側では付着部が黒く(低エコー)映っていることがわかります。炎症所見が認められる場合もあります。
~MCL全体の疼痛評価の動画です~
2.膝関節中間部の疼痛(青〇)
膝関節中間部分(関節裂隙)に疼痛が出現している場合、中間に存在する組織を考えなければいけません。
中間部分に存在する組織はこちらになります!
中間部分は断面図で解剖学的関係性を見ていきましょう!
MCLは三層構造を呈しており
・縫工筋の筋膜
・MCLの表層線維
・MCLの深層線維
から構成されています。
MCLは半月板中節部分を覆っており、深層線維が半月板と連続しています。
半月板の前節や後節の一部はMCLに覆われていないので、触診にて疼痛が出現した場合、半月板由来の疼痛と考えることができます。(関節包を介して触診しているので、滑膜炎の可能性もあります)
~半月板の触診方法~
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