アキレス腱断裂　評価・介入編

前回はアキレス腱断裂の基礎編について記載しました。今回の記事はその続きになります！

疫学・原因・臨床的な特徴を知っていても、評価・介入ができなければ頭でっかちになってしまいますよね💦

前回の基礎的な内容をしっかり理解したうえで、この記事を読んで頂けると嬉しいです。

前回の記事はこちらより確認ください！

5.アキレス腱断裂の評価

問診、視診・触診、筋力、関節可動域、整形外科的テストなどアキレス腱断裂を評価する方法は多くあります。一つ一つ説明していきます！

5-1.問診

アキレス腱断裂は問診にておおよそ検討がつきます。

問診の内容としては
・受傷機転（ダッシュ・ジャンプ・着地動作）
・大きな亀裂音やポップ音が聞こえたか？
・刺されたかのような痛みがあったか？
・足に力は入りにくいか？　　etc

問診にて、上記のような内容が聴取できたらアキレス腱断裂を疑います。

5-2.視診・触診

視診・触診では
・アキレス腱に陥凹があるか
・腫脹があるか？
・歩行状態はどうか？（問診の前から見る）
・足部の回内外

アキレス腱断裂が生じていも、歩行可能な方はよくいらっしゃいます。歩行ができるから、アキレス腱断裂ではないと考えるのはよくありません。

※注意点として
アキレス腱断裂後、腫れや血腫のため、陥凹を触診することが難しい場合もあります。20％では臨床所見を見つけることが難しい場合もあります。

5-3.筋力評価

アキレス腱は腓腹筋とヒラメ筋から構成されており、アキレス腱が断裂すると、立位での踵挙上ができなくなります。

立位での踵上げは負荷が強いので、私は長坐位での自動底屈運動が出来るかどうかも確認しています。

※注意点として
アキレス腱断裂が疑われても足関節底屈筋力は、後脛骨筋、足底筋、および腓骨筋によって代償されることがあります。

5-4.関節可動域

足関節の他動背屈可動域の増加、自動底屈可動域の減少が認められます。

5-5.整形外科的テスト

squeeze test・Thompson test・Knee flexion test (Matles test)について説明します！

5-5-1.squeeze test

膝伸展位にて足関節を検査台から出し、下腿をsqueeze（圧搾）し、足関節が底屈しなければアキレス腱が断裂していると判断する。

5-2-2.Thompson test

腹臥位にて膝関節屈曲位もしくは伸展位とし、足関節は検査台の端から出し自然下垂位をとります。下腿後面中1/3部位を圧搾し、底屈しなければアキレス腱完全断裂と判断する。

Thompson test陽性例はこちら！！！

Thompson test陽性❗️

エコーで確認したら完全断裂…

でも、歩行可能・自転車も乗っている…

本人希望で手術しないです

（許可を得て掲載しています） pic.twitter.com/0UyiPZrC31

— Yoshiki@エコーと足部大好き (@PtGekikara) January 13, 2020

5-2-3.Knee flexion test (Matles test)

腹臥位となり検査台から足部を出し、足関節底屈位にしたまま自動で膝関節を90°屈曲させます。正常では足関節底屈位を保持できますが、中間位や軽度背屈位に落ち込んだら陽性と判断します。

このテストは感度88％、特異度85％と報告されています。

Michael Reiman, Ciara Burgi, Eileen Strube et al: The utility of clinical measures for the diagnosis of achilles tendon injuries: a systematic review with meta-analysis. J Athl Train. Nov-Dec 2014;49(6):820-9.

これらの検査は単独で行うのではなく、複合して行い、精度と感度を高めて評価する必要があります。

5-3.エコー評価

アキレス腱断裂があると、エコーで下記のような画像が撮像できます！

撮影方法とエコー画像

dynamicなエコー撮影はこちらから！！！

エコーの良いところはこういうところ❗️

アキレス腱断裂後に断端の状態がリアルタイムに確認できる！

pic.twitter.com/Bpnn9ihoDF

— Yoshiki@エコーと足部大好き (@PtGekikara) March 17, 2020

完全断裂、深層断裂なども評価できます。エコーはMRIと同等の感度があると報告されているので、アキレス腱断裂にはまずエコーですね！

もし、エコーで確認できるならアキレス腱断裂の分類も知っておきましょう！

Kuwada GT. Classification of tendo Achillis rupture with consideration of surgical repair techniques. J Foot Surg. 1990;29 (4): 361-365.

タイプⅢ～Ⅳは手術適応の可能性があります。エコーで足関節運動時にアキレス腱断裂部の連動性が確認できた場合、保存療法が選択される場合もあるようです。

アキレス腱の断裂が評価出来たら、次は介入ですね！

6.アキレス腱断裂は手術・保存？