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シヌマスカシト

 昨日の夕方市場に行くと、時間が遅めだったので既に叩き売り態勢。その中に、見るからにずっしり重そうな立派な房のマスカット。

「香印、香印!たったの40$~、今日だけだよ~」

香印、それは「シャインマスカット」の中国語訳の名前として流通している名称。

シャインマスカット独特のあの皮の質感とか、甘さとか、日本物なら香港のスーパーとかでは普通に100$越えどころか、数百ドルも珍しくない代物。(100香港$約1360円)

「え~、40$(約544円)って、めっっちゃ破格~!」と思って近づいていくとラベルには「シヌマスカシト」。

おいおい。

・・・ってまあ、予想しちゃぁいましたけどね~。

ま、確かに、お店のお兄ちゃんは「日本の」という謳い文句は一言も言ってません。数年前、日本のシャインマスカットというものが香港市場に出回ると、すぐに!シャインマスカット風のマスカットが出回り始めました。「台湾香印」とか「韓国香印」とか。

最初は「香印」と言えば日本のシャインマスカット。

それがあっという間に「〇〇で作ったシャインマスカット風のマスカット」みたいな感じで、だんだんと総称へと変わっていき、しまいには「香印」と単独で使っても、皆の頭の中ではそれは、「ああいう質感のマスカット」という認識に変わりました。


でも、実は、調べてみると、日本はこのシャインマスカットを品種登録した時に、輸出を想定してなかった為に、国外での品種登録をしなかったそうです。

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それで、どこでも誰でもこの品種を栽培して、この名前をつけていい状況になってしまったみたいです。(詳細はこちら↓↓)

あ~あ日本。ホントに詰めが甘いというか・・・残念過ぎる!


「シヌマスカシト」

おかしな日本語と笑うなかれ!

もちろん、間違った日本語が当てられている事は日常茶飯事であるけれども、それは必ずしも、その日本語訳を担当した人の日本語レベルが低いから、とは限らない、時にはそれは、巧妙に計算された間違いで、「シヌマスカシト」なら「シャインマスカット」のコピーだとの指摘をかわせる上、日本語を知らない人たちに対しては絶大な威力を発揮します。

(ま、勿論、中途半端な日本語レベルでそのままいっちゃってる場合も多々ありますけど。まがい物じゃないレストランのメニューとか)

 香港人は価値のあると感じた物にお金を支払う事には、割と気前良く、空輸代で有り得ない程跳ね上がった価格がついた日本の果物も「日本の果物は美味さが全然違う!」と購入する人多数。(日本人は逆に大体日本での価格をわかってるから買いませんが。あ、いや、もしかしたら駐在員の奥様達は普通に買ってるか・・。)

香港の所謂「お金持ち」は日本の一般的な「お金持ち」とは、ちょっと金銭感覚が全く違う生き物。10万円でも、私の100円くらいの感覚で、いとも簡単に「買う」というハードルを越えます。でもそういう「お金持ち」以外で、経済的にそんなに余裕のない人も、ちょっと割高の日本製品を購入する人は多く、「日本品質」における信頼は依然として絶大。

 そうした人たちを騙して買わせるには、この似て(?)非なる「シヌマスカシト」40$は狂喜乱舞して飛びつく破格の値段には違いないのです。

って言うか、日本が国外の品種登録をしてなかった時点で、ま~もう何も文句は言えませんけど。ホントに日本はもっと自国の産業をしっかり守る為に国として策を講じて欲しいものです。

製造者側も、ただ、「いいものを作る」だけじゃなくて、その「いいもの」のクオリティが、どんだけ世界に絶大の信頼を誇る「日本品質」の一つか、という事を知り、もっと自信と誇りを持ち、堂々と特許申請、品種登録していただきたいです。製造業のご家族、御親戚、ご友人、お知り合いがいらっしゃったら、どうか、どうか、よくお伝えいただきたいです。

あなた方が地道に、頑なにこだわり、作り続けている製品は、世界では日本国内の何倍もの高い評価を受けています!!

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っていうか、シヌマスカシトうんま!

どこで作られたシヌマスカシトか知りませんが、この量とこの味なら、普通に40$の価値はあるんだから、おかしな日本語ラベルとか貼る必要、全然ないのに・・・。とシヌマスカシトをいただきながら思うおばちゃんなのでした。


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