見た目と先入観で決めると損をする・・・かも?
***この記事は昨日の記事の続きです。
中国の食のアグレッシブさには、私も何度目からウロコが落ちたかわかりません。私の目ん玉には一体どれだけウロコがついているんでしょう。
確かに中国の食に対する視点は、日本人とホントに「違う」んだな、と思います。どっちがどう、という話ではなくて、何か・・根本的に求めてるもんが違う・・・センスの違い?価値観の違い?
私は香港在住19年半ですが、実は今年に入るまで余り好んで生鮮市場に買い物に行く事はしてきませんでした。安くて新鮮、というのは知っていましたし、行った事がないわけでもありません。言葉に困る事もなければ、家からめっちゃ遠いわけでもありません。
でも、私はスーパーでばかり買い物をしてきました。
理由はざっくり分けて二つ。
①性格的に色々言葉を交わしながら、あれもこれもと盛り上がるのが面倒だった。
②見た目と匂いがダメだった。
だって、香港の生鮮市場って、何でもかんでもぐちゃぐちゃにごちゃごちゃっと置いてあります。この雑貨の山から自分の欲しいものを最短時間でゲットするには必ず会話しなくてはいけません。
通路は狭くて人が溢れていて、トイレや動物や魚の嫌な臭いが立ち込めているし
あちこちにこんなのぶら下がっているし
吊るされまくっているし
衛生的にどうなのって置かれ方してるし、
顔も上下左右に分かれているし
こういうカオスな状態が、まあ苦手だったわけです。
でも、今年このコロナで香港のスーパーから一時期たくさんのものが消えました。皆がパニックになってマスク、トイレットペーパーから始まって、コメ、麺、果ては野菜、果物、牛乳、卵、・・・いろんなものが棚からきれいさっぱりなくなりました。
数日経つと元に戻るんですが、そこでスーパーに置いてあるのはクッタクタで、ところどころちょっと液体化している(←わかりますか?少し腐りかけ)しなびて黄色くなった緑黄色野菜。
「え?いやいやいやコレもう傷んでるやん(元から傷んでいたり腐りかけのものも普通に売っていますが、それに輪をかけて)」
・・・コレは何か?
「何とかこの大変な中仕入れてやったんだよ、買えるだけでもありがたく思ってコレで我慢しときな」ってか?💢
で、野菜を求めて生鮮市場に行きました。
生鮮市場には青々とした野菜が溢れて、活気にも満ち溢れていました。緑が眩しく活気が嬉しく涙が出そうになりました。
「何だ、一歩枠の外に出てみればまだこんな元気な香港がここに残ってるんだ。」
あのスーパーの毎日朝開店と同時に下りて行かないとトイレットペーパー買えないとか、何日も野菜の棚がスッカスカって何の芝居?
香港は日本と違って、ほんの数社のスーパーが香港市場をほとんど独占しています。とても強気です。以前私が住んでいたマンションは下にイオンが入っていましたが、そのグループに追い出されていました。
なのでそれらのスーパーはホントに殿様商売で、お客は黙ってても来ると思っています。実際他の選択肢が余りないので、スーパーファンからしたらそうなるのです。
だからホントに消費者の為に必死に「いいもの」を確保しようと思ってくれてないんじゃないの?と思いました。
それ以来全面的に生鮮市場に切り替えました。私のマンションの下にはスーパーがあり、生鮮市場は徒歩15分以内にはありません。がホントに誠意のなさにほとほと愛想が尽きました。
通い始めてみると、肉とかも鮮度大丈夫?と思っていましたが、スーパー以下の鮮度で売っているわけがなかったのです。
自分の先入観と、その先入観に凝り固まった食わず嫌い精神が、本当にダメだなと思いました。
どの香港スーパーでも腐った肉を買った経験がありますが、市場はホントにそんな事がありません。
そして、いつも欲しい部位を言うと「ネエチャン、これで何作ろうと思ってんだい?」と聞いて、「赤ワインと煮込もうと思って」とか言うと、「だったらこっちにしときなよ。これ、ポンドあたり68$だよ。こっちはこ~んなほっそい一切れで80$するんだよ」と良心的に教えてくれるのです。
何?この親切設計。いちいち献立相談したら、どこの部位を使ったらいいかって全然自分でチャレンジしなくていいじゃん。
お前通訳の癖に何でコミュニケーション苦手とか思ってんの?(いえ、コレは仕事に関係なく性格的なものです)
とにかく、私は自分の狭い先入観と、吹けば飛ぶよな先入観のせいで、19年半損をし続けたのです。
そして、それは食材に対する見た目や先入観についても、同じことが言えると思います。
私は、香港に来てから日本にいる時は食べれなかった食材をいくつも克服してきました。セロリやナマコやレバーなど(私元々好き嫌いは少ない方ですが)
日本人的には確かに見た目はちょっとな・・と思う事はありますが、それはそれは多くありますが、でも「エイっ!」と試してみると、そこには「あなたの知らない世界」が広がっているのです。
こういう内臓の盛り合わせも
こういう干した肉や腸詰めも
ガチョウの水かきや
ガチョウの腸も
鶏が丸ごと一羽ぶつ切りで入っている雑多煮も(寝ている鶏頭を探せ↓↓)
魚の腸も(↓↓魚の腸の卵焼き)
試してさえ見れば、そこには今まで知る事もなかった美味しい世界が広がっているのです。
その先入観、その「見た目でダメ」って感覚を、一旦心の奥底にしまいこんで、とにかく試してみたら新たな世界に目覚めるかもしれません?!
(次回は「見た目がダメなものはやっぱりダメ、味が悪くなくてもやっぱり見た目でダメ」と言いたいものをご紹介します。)