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#今日の短歌 二日月~か細く時に鋭く。近くて遠い月を想う~

今日の短歌
「春暮れて犬と散歩の長ければ家路(いえじ)の方(かた)に待つ二日月(ふつかづき)」永麗

三日月を詠む歌は多いけれど、二日月を詠む歌は意外と少ない。
私は三日月の別名「眉月」という表現が好きでよく歌に使うのだが、二日月は「繊月」とも呼ばれ、眉よりも細い繊維のような月である。

晩春の夕暮れ、まだ明るい空にうっすらと生まれたての月が見える。
その姿はか細くその光は嫋やかである。

拙歌は、夕方も暖かくなってきて、犬の散歩も長丁場になり、家路につく頃には月が浮かんでいたという歌である。春の月は朧で優しい光を纏っているので、何となく月が「おかえり」と言って待っていてくれたような気持になった。

その二日月も、時節とともに印象が変わる。
漆黒の空に浮かび上がる二日月は刃物のようにさくりと脳裏に刻まれることがある。

月はただ、規則的に無機的に地球の周りを公転しているに過ぎないのだが、どれほどの人間の心に入り込んで来たのだろう。
古より、どれほどの月の歌、月の句が詠まれてきたのだろう。

地球に一番近い星でありながら、未だ多くの謎に包まれている私たちの衛星。近くて遠い不思議な星である。


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