「ビートルジュース」:アニメーション出身のティム・バートンの出世作。パペットアニメの良さを引き出すホラーコメディ。
評価:★★
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)
上記の参照予告編はティム・バートン監督の最新作「ビートルジュース・ビートルジュース」になっていますが、この映画感想文の本題は、この「ビートルジュース・ビートルジュース」の元作品、1988年公開の「ビートルジュース」。2024年におよそ35年ぶりの公開となる続編公開に合わせ、一部劇場にて、その第1弾作品「ビートルジュース」が復活上映されました。ティム・バートン監督といえば、最近では「チャーリーのチョコレート工場」(2005年)の監督として名が知られるようになったかもですが、僕のようなちょっとおじさん世代は「バットマン」(1989年)であったり、90年代に人気を博した「シザーハンズ」(1990年)の監督としてのほうが印象が強いかもしれません。あるいはディズニー好きだったら、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」(1993年)のほうを上げる方もいるかもですが、もともと彼自身はディズニースタジオ出身ということもあって、特にパペットアニメとのコラボレーション作品というのも本作も含め、多い監督さんでもあります。それこそ1990年~2000年代には2年に1回くらいは作品を輩出するくらいの勢いがあり、彼の(違った意味での)物量感みたいなものが90年代をよくよく反映していたなと思います。
ということで、本題の「ビートルジュース」(1988年)のほうなんですが、僕はティム・バートン作を(特に初期の頃の作品は)結構見ているほうと思っていたのですが、意外に本作は初鑑賞でした(思い返せば、昔のテレビのロードショーでもやっていたかもですが)。アニメ出身の監督らしく、劇映画部分と、主人公の夫婦が囚われるようになるマイホームであったり、ビートルジュースが出てくるミニチュアセットのパペット部分が上手く構成されていて、30年以上経った今観返しても(映像の劣化部分はあるものの)すごく斬新な描写になっています。基本はドリフのコントのような人情劇であるんですが、死後の世界を扱う分だけ若干のホラー要素もあり、それをパペットの一種毒々しさとうまく構成させるのも、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」や「フランケン・ウィニー」(2012年)のバートン監督らしい闇の部分を感じさせるところでもあります。それに続編である「ビートルジュース・ビートルジュース」(2024年)にも登場する主役のビートルジュースを演じるマイケル・キートン、ウィノナ・ライダーの(当然だけど笑)の若々しいこと。続編にも同じく登場するキャサリン・オハラ(彼女の出世作はやっぱ「ホーム・アローン」(1990年)かもしれないですが)の独特な母親感も安心感というか、安定感があり、なおかつ90年代映画を象徴するような(僕にとっては)女優さんなので、彼女も今も健在というのがどことなく嬉しいです。
とはいうものの、やっぱりお話のほうが少しノレないのが正直なところ。バートンのコメディというのはドラマに少々なスパイスがかかるくらいならちょうど良いのですが、本作や「マーズ・アタック!」(1996年)のような行き過ぎた感が出てしまうと逆に引いてしまう感が出てしまっているように感じるんですよね。それにキートン演じるビートルジュースがさらに拍車をかけるように暴走してくれるんで(それが好きという人もいるとは思いますが)、作品全体にちょっと悪ノリ感がダメな意味で出ちゃっている。続編である「ビートルジュース・ビートルジュース」が現時点で見に行けていないのも、そんな理由があったりします(汗)
<鑑賞劇場>MOVIX京都にて