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「ヒットマン」:凡才な大学教授がヒットマンを演じることに。グエン・パウエルの演技力が存分に発揮された痛快コメディ。

<あらすじ>
ニューオーリンズで2匹の猫と暮らすゲイリー・ジョンソン(グレン・パウエル)は、大学で心理学と哲学を教えながら、地元警察に技術スタッフとして協力していた。ある日、おとり捜査で殺し屋になるはずの警官が職務停止となり、ゲイリーが代役を務めることに。これを機に、ゲイリーは依頼人の好みに合わせたプロの殺し屋になりきり、殺人の証拠を集めては、次々と依頼人を逮捕へと導いていった。そんな彼のもとに、夫婦生活に傷ついた女性マディソン(アドリア・アルホナ)が夫の殺害を依頼しにくる。セクシーな殺し屋ロンに扮して事情を聞いたゲイリーは、彼女を逮捕するはずが、「この金で家を出て新しい人生を手に入れろ」と見逃してしまう。

KINENOTEより

評価:★★★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)

ハリウッドでは突然売れっ子になる俳優が毎年必ずいるが、ここ1、2年でいうと、本作の主役しがない大学教授ゲイリーを演じたグエン・パウエルでしょう。僕は彼がそれこそ下積みの頃もなぜか知っていて、初めて見たのは「CSI:科学捜査班」(2000年~)という人気アメリカTVドラマの、なんかのエピソードですぐ死ぬ被害者役を演じていたのが最初かなと思います。当時は多分彼が20歳前後くらいで、ちょい役でもすごい印象を残すイケメン俳優だなと思ったことがあったので何となく覚えていました。近年では「トップガン マーヴェリック」(2020年)で教官トム・クルーズに反抗する生徒役でも印象的な演技を残し、「恋するプリテンダー」(2023年)や「ツイスターズ」(2024年)では主役級の演技を見せ、本作でも様々なヒットマンを演じるという難しい役を好演しています。今年(2024年)で36歳と遅咲きのルーキーという感じですが、なかなかハリウッドの中でもいないポジション(それこそトム・クルーズみたいな白人イケメン路線)と思うので、来年以降も頑張って欲しいなと思います。

そんなパウエルの演技力に魅せられる本作ですが、予告編にあるように冴えない心理学の教授がひょんなことから、警察のおとり捜査として、最初は技術アドバイザーだったのが、捜査官の不祥事で自分が捜査官として表舞台に立つことになってしまったという巻き込まれコメディ。おとり捜査官というのは頭ではわかっていても、日本ではあまり描かれない(どちらかというと、「インファナル・アフェア」(2002年)など香港や韓国映画で多いイメージ)ので、ピンとはこないのですが、殺しが行われる前に殺人教唆(殺人を依頼する)という殺人の実行犯より重たい罪を事前検挙していくというのをメインで動いている警察。観ていて面白いけど、単純にこれで犯罪として検挙できるのかなというのが少し疑問にも思いつつ、ただコメディなので、こういう設定で楽しむのが本作の正しい鑑賞法なのかなと思います(笑)。

僕はコメディコメディしている狙った作品より、本作のようなちょっと生真面目な主人公がおとり捜査をしなければいけないという状況に巻き込まれていく巻き込まれコメディのほうが好きだなと観ていて思います。特に、前半部のコンサルタントから、本職の捜査官に仕立てられ、最初は嫌々やっていたのが、段々ノリノリになってくるという姿が関西風にいうとノリ突っ込みできそうなお話になっていて実に面白い。グエン・パウエルの百面相的演技も楽しいし、主人公ゲイリーがこの新たな仕事によって、今までの大学での講義も冴えに冴えてくるというところも愉快です。ただ、中盤である犯人になりそうな女性を言葉巧みに救ったところから、巻き込まれコメディがドタバタコメディに移っていくのが、個人的にはちょっと話がスマートでなくなってしまって少々残念。でも、日本ではなかなか見られないジャンルの作品だと思うので、デート映画で見ると、なかなかの映画通を気取れるのではないか(笑)と思います。

<鑑賞劇場>テアトルサンク福井にて


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