
「ライオン・キング」:1994年のアニメの名作を30周年記念で再上映。ディズニーアニメの根源を知れる作品。
<あらすじ>
ジャングルの王として動物たちの尊敬を集めるムファサ(声=ジェームズ・アール・ジョーンズ)は、息子のシンバ(幼年期の声=ジョナサン・テイラー・トーマス)に、自然界を支配する微妙なバランス、生命の環″サークル・オブ・ライフ〃について教え、いつか王となる日の心構えについて教える。だが、遊びたい盛りのシンバは、ガールフレンドのナラ(幼年期の声=ニキータ・カラム)と遊んでばかりの日々。ムファサの弟で邪悪なスカー(声=ジェレミー・アイアンズ)はシンバが王になるのを望まず、親子を亡き者にしようとしていた。彼は手下のハイエナたち(声=ウーピー・ゴールドバーグ、チーチ・マリン、ジム・カミングス)と、ヌーの大群の暴走の中にシンバを誘い込み、息子を助けようとしたムファサは傷ついた末に、スカーの手によって殺される。スカーはシンバに、王の死はお前のせいだと思い込ませ、ジャングルから追放する。
評価:★★★★
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)
1994年に公開されたディズニーを代表するアニメ映画「ライオン・キング」。僕が映画をよく見るようになったのは1998年くらい(ちょうど「タイタニック」の公開前後くらい)なので、本作はテレビやビデオで見ていたことはあったものの、劇場で観たのは今回が初めてでした。日本では劇団四季で長く公演されていることもあり、そちらのほうがむしろ有名なのかなと思います。ちなみに今回の劇場再公開は1994年から30周年記念ということもありますが、今年(2024年)12月公開のディズニーの新作「ライオン・キング:ムファサ」の公開記念ということもあります。
ディズニーアニメというのは長く愛されていることは皆さんご存じだと思うのですが、ミッキー・マウスを除いて、長編アニメーション映画の第1作は何かご存じでしょうか? それは1937年公開の「白雪姫」(戦争の影響もあり、日本での公開は1951年)なのですが、これが今までのアニメ映画にはない25万枚という驚異的なセル画数(この記録は昨今のアニメ映画も越えられていないんじゃないかな?)を誇り、パタパタの絵がつながっているだけというアニメの常識を超えたなめらかな絵づくりというのを実現しました。でも、ウォルト・ディズニーの本質というのは、その次に作られた1942年製作の劇場第2作の「バンビ」じゃないかと思うのです。無論、人間も動物の一種なので、人の動きというのはオリンピックや様々なプロスポーツを見ても実感するのですが、僕は動物の動きやしぐさのほうが人工的なアニメ動画に落としていくのが難しいんじゃないかと思います。特に、人を含めた二足歩行の動物より、バンビのような四足歩行の動物のほうが(ご自宅にいる犬猫と見ても分かると思いますが)じっくり観察すると想像以上の複雑な動きをしていることは何となく理解されるかなと思います。特に、「バンビ」はウォルトの伝記とか読むと、実際にスタジオに様々な動物を招き入れて、その動きを生で見ながら模写をしていたとのこと。まだ、CGとかのデジタルな絵づくりがない時代の凄さをまざまざと感じます。
そんなディズニーの系譜を上手く受け継いでいるのが、この「ライオン・キング」(1994年)という作品だと思います。「バンビ」の製作方式を引用したのは、まさにこの「ライオン・キング」あたりからアニメの中にCGを使いだしたエポック的な作品でもあるのです。特に目を引くのが、シンバが谷に追い込まれ、スカーの陰謀でムーの群れに襲い掛かられる場面。このムービングが絵ではなく、プログラムで実行されているというところから、アニメ映画にも大きなインパクトを与えました。これの到達点が実写版(まぁ、フルCGなので実写と言えるかどうかですか、、)の「ライオン・キング」(2019年)につながってくるのですが、この実写には心が動かない(可愛くない笑)のが正直なところでもあります(笑)。動物の可愛さ、カッコよさの源泉というとこがどこにあるのかを考えさせられる名作です。
<鑑賞劇場>テアトルサンク福井にて