
「インサイド・ヘッド2」:成長期を迎えて様々な感情が沸き上がる様を的確に表現。抽象的な事項をエンタメにする物語力が凄い!
<あらすじ>
転校した学校に慣れてきて新しい友だちもできたライリーの頭の中では、ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリといった感情たちが、ライリーが幸せに暮らせるように日々奮闘していた。そんなある日、高校入学を控えたライリーに人生の転機が訪れ、頭の中に突如大きな謎の警報が鳴り響き、最悪の将来を想像し必要以上に準備してしまうシンパイ、いつも周囲を羨んでいるイイナー、無気力で片時もスマートフォンを手放さないダリィ、そして、常にモジモジし恥ずかしくなるとフードで顔を隠すハズカシといった、大人になるための新しい感情たちが現れる。
評価:★★★☆
(五段階評価:★が星1つ、☆が星半分、★★★★★が最高、☆が最低)
幼い少女の感情を5つのエレメントで表現し、2016年の長編アニメーション部門でアカデミー賞も受賞した「インサイド・ヘッド」(2016年)の続編。今回は前回の(人間界の)主人公・ライリーが思春期を迎え、大人になるに向け、もともとの5つの感情以外の変な奴らも登場してくるというバタバタ劇。ネタバレは避けますが、その新しい感情の中で主役級キャラになってくるシンパイがハート内(脳内?)世界をゴチャゴチャにして、ヨコロビたちが脇に追いやられていきます。そういえば遠い昔の子ども心を思い出すと、小さい頃に心配することってなかったなー、小学校とか小さな社会性を持ち出すとみんなの前で失敗したくないという、心配が徐々に浮かび上がってくるのだなーと思います。
正直本作を観る前に、前作「インサイド・ヘッド」(2016年)を改めてチェックということはしていなかったので、お話を思い出せるか不安でしたが、もとの5つの感情の個性だったり、結局は少女ライリーの気持ちの中にしか存在しない話であるので、変な話本作から見ても物語的な理解というのはそんなに難しくないかと思います。前作でも思ったのですが、やっぱりディズニー&ピクサーの発想力の豊かさには度肝を抜きます。「マイ・エレメント」(2023年)の火・水・風・地などの妖精界の話もそうでしたが、心の中(脳の中)にある感情という形にならないものをキャラクターにするのもそうですし、そのキャラたちが冒険していく中でも、こうグルグルした持っていきようのない気持ちの表現などが上手く表現されている部分があるのです。この表現の多様さには前作もそうでしたが、度肝を抜かされます。
感情たちの冒険&バタバタ劇は実際に見ていただくとして、器であるライリーの話としては思春期を迎え、自分のやりたいことであったり、ただ単に仲良し友達だけで和気あいあいではいかないことの難しさが、青春劇として表現されていきます。どうしても映画作品としての主人公は、あくまで感情たちなので、器に過ぎない彼女の話は少し浅いかなーと思いましたが、自分の夢を実現していくためには、その時々で大切にしている何かを手放していくことも重要なのだというメッセージには素直に共感できます。いつかは離れていく友達だからこそ、青春時代には喜び・泣き・笑い・怒りもろもろを正直にぶつけあえる真の仲間に出会ってほしいなと、若い子たちに思ったりする”おじさん心”に少しシンミリする鑑賞でした(笑)
<鑑賞劇場>TOHOシネマズくずはモールにて