精神科の薬は本当に怖いのか？—闘病者の私が語るリアルな経験

2024年10月18日 19:00

「精神科の薬を飲んだら、頭がおかしくなるんじゃないか？」

「薬漬けになって、やめられなくなるって聞いたけど……」

　そんな不安や恐怖を抱えていませんか？

　実は、私も精神科にかかるようになる前は、同じような思いを抱いていました。しかし、実際に服薬してみるとその印象は大きく変わりました。

　私は医療関係者ではありません。なるべく間違いがないように書きますが、正確な医学情報をお求めの方は医療機関のホームページなどを探してみてください。

　うつ病、双極性障害の診断を受け、精神科で処方される気分安定薬などを利用してきた一人の経験者として、私の体験をお話ししたいと思います。

　精神科の薬と聞くと、ネガティブなイメージを持つ方が多いかもしれません。頭がおかしくなる、ひどい副作用がある、依存性があってやめられなくなる——私自身も、そういったイメージにとらわれていました。

　確かに、副作用で苦しむこともありました。私もいくつかの薬で副作用を経験し、それについて記事を書いたこともあります。しかし、副作用は人によって現れ方が違います。全く副作用を感じない人もいれば、私のように大きく影響を受ける人もいます。

　一方で、薬の効果は見逃せません。生きているのが辛い、何も手につかない、そんな状況を改善してくれる力があります。多少の副作用があっても、日常生活を取り戻すためのサポートとなるのです。

　例えば、私の場合、双極性障害の症状が薬によって安定し、以前のような極端な気分の浮き沈みが減りました。そのおかげでプログラマーとしての仕事にも集中できるようになりました。

　「薬に依存してしまうのでは？」という不安もよく聞きます。特に、頓服薬（不安になったときに飲む薬）に対して、依存性が高いというイメージがあります。

　確かに、昔は依存性の強い頓服薬——例えば、〇パスなど——が多く処方されていた時代もあり、お医者さん自身も気兼ねなく服用するぐらいメジャーだったそうです。

　しかし、（医師の判断次第ではあるものの）現在では新規の患者さんにそういった依存性の強い薬を処方することは基本的にありません。医療も進歩し、安全性が高く効果的な薬が選ばれるようになっています。

　それでも処方された薬に不安があれば、気兼ねなく医師に確認してみてください。逆に、気軽に聞けないような医師ならば転院を考えるくらいでも良いかもしれません。

　薬を減らしたりやめたりする際に、離脱症状で苦しむこともあります。特に、カプセル製剤であるサインバルタやイフェクサー（意欲などを改善する効果が高いとされている薬）は、カプセルなので減薬の調整が難しく、独特の「シャンビリ感」やめまいのような感覚が現れやすいと言われています。私自身も経験があります。

　しかし、これも個人差がありますし、医師と相談しながら慎重に減薬を進めることで対処していきましょう。あくまで私の感覚ですが、耐えられないほどひどい離脱症状ではありません。

　大切なのは、一人で悩まず医師に相談することです。

　精神科で処方される薬の多くは、脳内の働きに直接作用する薬であるため、一時的に頭がぼーっとしたり、認知機能が低下したように感じることもあるかもしれません。

　私自身、あまりにも強い傾眠症状で、試験中に爆睡した経験があります（※試験は受かりました）。

　しかし、それは一時的なものであることがほとんどです。時間とともに慣れてきます。

　むやみに怖がらず、自分の感じたことを医師に伝え、副作用や効果について相談しながら服薬を進めていくことが重要です。医師はあなたの話を聞き、最適な治療法を一緒に考えてくれます。

　精神科の薬は、決して人生を終わらせるような「凶悪な」ものではありません。むしろ、あなたが自分らしく生きるためのサポートとなるものです。私自身、薬との出会いがなければ、今の生活を取り戻すことはできなかったかもしれません。

　もし、精神科の薬を飲むことに不安を感じているのであれば、自己判断で飲まないという判断をする前に、医師に相談してみてください（健康保険は効きませんが、セカンドオピニオンを試すのも良いでしょう）。

　自分の状態や不安を伝えることで、適切なアドバイスや治療を受けることができます。

　精神科で処方される薬は、辛い症状を改善してくれる力を持っています。過去と比べて処方内容も改善されています。利用してやろうぐらいの気持ちで考えるぐらいがちょうど良いんじゃないかな、と私は思います。

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